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「学校に行きたくない」「消えたい」《あのちゃん》に学ぶ感情の言語化「ジャーナリング」のメリット

  • 2025.10.4

あのちゃんも実践する「ジャーナリング」とは

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歌手・タレントの“あのちゃん”ことあのさんが8月31日放送の「#8月31日の夜に。」(NHK Eテレ ハートネットTV)に生出演。人間関係や学校生活に悩む10代の心に寄り添い、メッセージを送りました。

自らも中学校時代に不登校を経験し、このまま消えたいという「消滅願望」もあったというあのさん。「学校に行きたくない」「9月1日になって欲しくない」など番組に寄せられた声に対し、「僕もそうだったなと思いました」と回顧しました。また、思いつめたときの発散法として「誰も見ていない非公開のブログサイトに、ばーっと自分の感情とか、気持ちを書いたりしています」とも語っています。今回は、あのさんが実践する「感情の言語化」について、心理学の観点から解説します。

あのさんが実践してきた、自分の感情を言語化する行為は「ジャーナリング」といいます。日記のように1日の出来事を振り返って記録するのではなく、頭に浮かんだ感情をそのまま書き出し、自己と向き合うのが特徴です。「書く瞑想」とも呼ばれ、自分の思考を客観視して新たな気づきが得られるため、メンタルケアの1つの方法としても注目されています。

ジャーナリングは、誰かに見せるものではないので、高い文章力が必要なく誰でも簡単に取り組めます。一般的にはノートとペンを使いますが、スマートフォンのメモ帳や、あのさんのように非公開にしたブログを活用してもOKです。

次にジャーナリングのやり方、3つのステップを紹介します。

(1)集中できる環境を整える ジャーナリングの効果を得るには、集中しやすい環境づくりが重要です。仕事後や休日など誰にも邪魔されないタイミングで、自分の部屋など心が落ち着ける場所で行いましょう。ノートとペンでジャーナリングを行う場合、自分にとって使いやすいお気に入りのものを使うのがおすすめです。

(2)自分の感情をひたすら書く 時間を決めて、頭に浮かんだ自分の感情をひたすら書き続けます。内容の良し悪しや書き間違い、文章のスタイルなどは気にせず書いてみましょう。推奨される1回あたりの時間は、研究によってさまざまです。はじめて行う場合は、3~5分と短めにすると、集中して取り組みやすくなります。

(3)書いた内容を振り返る 自分の感情を書いたら、内容を振り返ります。振り返りは、時間を置いてから行っても問題ありません。書いた内容を読み返すと、自分の考えや思いが目で見て分かるようになります。期間を空けて読み返した場合は、思考の変化に気づき、成長も実感できるでしょう。

ジャーナリングで期待できる効果についても解説していきます。

(1)思考が整理され、自己理解が深まる ジャーナリングを行うと、自分の思考が目に見える形で整理され、自己理解が深まる効果が期待できます。バージニア大学のティモシー・ウィルソン氏も「書くことは、人が抱えている悩みを整理し直し、新しい意味を見つけやすくする」と述べています。頭の中の漠然とした感情が明確になれば、「私、こんなことをよく考えているんだ」という思考のくせにも気づけるでしょう。また、今まで自覚していなかった「自分の意外な一面」を発見し、新たな考え方に出会える可能性も高まります。

(2)ネガティブな感情が緩和される ジャーナリングを続けると、ネガティブな感情の緩和効果も期待できます。京都光華女子大学の谷本拓郎氏の研究でも、1回20分・10日間のジャーナリングの継続で、大学生の「疲れた」「嫌だ」などの記述が減ったという結果が報告されました。感情を言語化すると「実はそんなに悩む必要はなかった」と気づき、ネガティブな気持ちに振り回されにくくなるでしょう。また、ジャーナリングには、誰かに悩みを話したときのように気分がスッキリする効果(カタルシス効果)もあるといわれています。そのため、ネガティブな感情を断ち切りたいときにも効果的です。

(3)ストレスを軽減できる ジャーナリングでは、ストレス軽減効果も期待できます。実際に、1980年代から2000年代にかけての追跡調査に基づくと(ストレスによる受診回数の減少、免疫機能の改善、血圧の低下、肺機能の改善、肝機能の改善、入院日数の減少、気分・感情の改善、心理的な幸福感の向上、試験前のうつ症状の軽減、トラウマ症状の改善)のように、ジャーナリングは精神的なストレスだけでなく、身体的なストレス症状の緩和も見込めるのです。

(4)仕事のパフォーマンスが向上する ジャーナリングは、仕事のパフォーマンスの向上も期待できます。感情の言語化から得た新たな気づきが、仕事で重要なアイディアとして活かせる可能性があるからです。歌手として活躍するあのさんも、自分で書いた感情が「曲になることもある」と話しています。また、ノースカロライナ州立大学の研究によると、外からの情報を一時的に記憶し処理する能力「ワーキングメモリ」の向上効果も実証されています。大学通学への考えや感情を書くように指示された学生は、些細なテーマについて書くよう指示された学生よりもワーキングメモリが大幅に増加したことが明らかになりました。ワーキングメモリの向上は、集中して段取りよく仕事を進めるうえでも役立つでしょう。

【まとめ】あのさんも実践するジャーナリングは、ノートとペン、もしくはスマホがあれば誰でも簡単にできるメンタルケアの手法です。習慣にすると、自己理解が深まる、ネガティブな感情が緩和される、ストレスが減るなどの効果が期待できます。誰かに見せるものではないので、誤字脱字や内容の良し悪しを気にする必要もありません。「よくわからない不安で毎日辛い」「モヤモヤを発散したい」と悩む人は、ぜひ始めてみましょう。

(おおしまりえ)

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