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世界がハマる【Japaneseウォーキング】 3分ごとの切り替えがカギ!『インターバル速歩』を解説

  • 2025.9.27

世界がハマる【Japaneseウォーキング】 3分ごとの切り替えがカギ!『インターバル速歩』を解説

日本発の歩き方が、いま世界で注目を集めています。その名も「インターバル速歩」。ただ歩数を稼ぐのではなく、“歩き方”そのものに秘密があるのだとか。海外のSNSでバズり、専門家も驚く効果が話題です。開発者の能勢博先生に、このウォーキングの魅力を伺いました。第2回は、インターバル速歩の具体的なやり方についてご紹介します。

ハアハアと息が上がる速歩き3分、ゆっくり歩き3分を交互に繰り返す

「インターバル速歩というと、ちょっと難しそうに思えますが、要は3分ごとに歩き方を変えるだけです。ゆっくり歩きを3分したら、速歩きを3分する。これを1セットとして5回繰り返します。体を慣らすため、まずゆっくり歩きから始めて、次に速歩きをするとよいでしょう」

誰かときちんと会話ができる程度のスピードがゆっくり歩き。少し息が切れて、誰かとスムーズに会話するのが難しい程度のスピードが速歩きの目安です。

「“速歩きってどれぐらいのスピードですか”とよく聞かれるのですが、自分がちょっとキツイなあと感じる程度であれば十分です。一人一人体力は異なりますので、時速何キロとか提示することはできませんし、他の人とスピードを比べる必要もありません。

速歩きはハアハアと息が上がるような状態、その呼吸を整えてリラックスした状態に戻すのがゆっくり歩き。そんなふうにイメージするとわかりやすいと思います」

<速歩きのスピードがわからない人は>
「ややキツイと感じるスピードがわからない」という人は、まずふつうのスピードで歩いてみましょう。そして、徐々にスピードアップ。ハアハアと息が上がってきたら、それが自分にとっての「ややキツイ」と感じるスピードです。

1週間のうちに4回、好きなタイミングで。最初は速歩き2分でもOKです

1週間の中で、速歩きを合計60分行うのが、インターバル速歩のキモ!

「たとえば月火水木と4日続けて行ってもいいし、月水金日のように1日おきに行ってもいいし、月火金土でもいい。自分ができるタイミングでやればいいのです。ウィークデイは忙しくて時間がとれないという人は、週末に4日分をまとめてもかまいませんよ」

“体力がなくて、とても速歩き3分はムリ”という人は、2分から始めてもかまいません。

「速歩きのようなややキツイ運動をすると、まず、最初の1分足らずは心拍数や呼吸数の増加が筋肉で消費する十分な酸素を送るのに間に合わず、筋肉で消費するエネルギーは一部酸素を消費しないで産生されます。この筋肉が酸素不足で運動することが体への刺激となって心肺機能や持久力がアップするのです」

では速歩きの時間をより長くすれば、心肺機能や持久力はよりアップするのでしょうか?

「そこをみなさん勘違いなさるのですが、大事なのは歩く時間や距離ではなく、“運動強度”です。週に合計60分で速歩きの効果は頭打ちになります。ですから、速歩きの時間をより長くしようとがんばるのは、残念ながら意味がありません。もっと体力を上げたい、インターバル速歩に慣れてきたのでより効果を実感したい場合などは、速歩きのスピードをアップさせる=運動強度を上げる、とよいでしょう」

たとえば、インターバル速歩のコースの途中に上り坂を組み込むという方法を能勢先生はすすめています。ゆるやかな坂道でも、平坦な道を歩くより、筋肉に負荷がかかり運動強度はアップ。

「ただし膝や腰にダメージを与える心配がありますので、下り坂はNG。インターバル速歩のコースは上り坂のみになるよう調節してください」

インターバル速歩の前後、ストレッチで体をほぐそう

どんな運動の前後にも、ケガなどのトラブル防止のため、ウォーミングアップ&クールダウンは必須。とくに運動不足の方、高齢の方などはストレッチで体をほぐしてから歩き始めましょう。

インターバル速歩の後もストレッチをして、頑張ってくれた筋肉をほぐしてください。

<おすすめのストレッチ>

◆アキレス腱のばし
片足を前に、片足を後ろに伸ばして、体重を軽く前の足にかける。
後ろの足のかかとは地面につけたまま、アキレス腱をのばす。

◆背筋のばし
両手をまっすぐ上にあげて、5秒間キープ。
その後、体を前にたおさないように上半身を右に傾けて5秒間キープ。
次に、左に傾けて5秒間キープ。

まっすぐ前を向いて、かかとから着地。ふだんより少しだけ大またで

正しい姿勢で歩くのが理想なので、フォームの目安をご紹介しておきましょう。ただし、フォームを意識しすぎなくてOK。

「インターバル速歩で重要なのは、速歩きのときややキツイと感じる状態を維持すること、つまり一定の強度のある運動を週に合計60分間行うことです」

正しい姿勢で歩ければベターですが、姿勢にばかり意識がいって運動強度が不足してしまったら意味がありません。最初は息がきれる程度の早歩きをしっかりすることを重視。早歩きに慣れてきたら、姿勢も意識するとよいでしょう。

<理想のフォーム>
◆目線はまっすぐ前。25メートル(電柱2本分ぐらい)前を見る
◆肩に力を入れない
◆背筋を伸ばす。反り腰にならないよう気をつけて
◆ひじを約90度に曲げ、手は軽く握って
◆足の指先で地面をけり、かかとから着地
◆ふだんより3~5センチ程度広めの歩幅を意識する

速歩後30分以内を目安に乳製品をとると、より筋力がアップ

乳製品に含まれるたんぱく質と糖質は、筋肉の修復や合成に役立ちます。

「とるタイミングはインターバル速歩を終えてから30分間。ややキツイ運動で疲れた筋肉が血液中から必死に栄養を取り込もうとするので、この時間帯に乳製品をとると、筋力がさらにアップするだけでなく生活習慣病の予防など、インターバル速歩によって得られる効果もより確実になると考えられます」

おすすめは乳たんぱく質と糖質が同時に摂れる牛乳!

牛乳が苦手な場合は、乳たんぱく質+糖質を組み合わせた摂り方でOKです。ただし脂肪分が多いので、アイスクリームや生クリームは避けてください。

<牛乳が苦手な人は、たとえば…>
チーズ40グラム+クッキー4枚(32グラム)
ヨーグルト200グラム+低糖度のジャム大さじ1杯
ホットミルク200㎖+チョコレート30グラム

次回はインターバル速歩によって得られる効果について、くわしく説明します。

お話を伺ったのは

能勢 博先生(信州大学医学部特任教授 医学博士)

のせ・ひろし●京都府立医科大学医学部卒業。米イェール大学、京都府立医科大学などを経て1995年信州大学医学部教授、2003年信州大学大学院医学研究科教授、2018年より現職。信州大学、長野県松本市、民間企業、市民が参画する健康づくり事業「熟年体育大学」の運営組織であるNPO法人熟年体育大学リサーチセンターで、理事長・副理事長を務め「インンターバル速歩」を指導。8700人以上の中高年に運動指導を行なってきた。趣味は登山。著書、マスコミ出演多数。

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