マッチングアプリで出会った彼。デート当日、写真と全く違うイケメンが現れた驚きのワケとは？【短編小説】

「もう、仕事と家の往復だけの日々はイヤ！」

そう思い立ったのが半年前。私、高橋美咲（たかはしみさき）、28歳。勇気を出してマッチングアプリに登録しました。いろんな人から「いいね」をもらう中で、一人だけ気になる男性がいました。彼の名前は伊藤拓也（いとうたくや）さん、30歳。

正直に言うと、彼のプロフィール写真は、まあ普通…というか、ちょっと野暮ったい感じでした。でも、自己紹介文がとても丁寧で、メッセージのやり取りもすごく誠実なんです。

私の趣味の話を熱心に聞いてくれるし、言葉の端々に優しさが滲み出ていて。私はいつの間にか「この人に会ってみたい」と強く思うようになっていました。

そして、ついに私たちは会う約束をしたのです。

当日、待ち合わせのカフェ前。少しドキドキしながら待っていると、スラリとした長身の男性が近づいてきました。整った顔立ちに、モデルみたいなスタイルの人。

（うわ、イケメン…。絶対あの人じゃないよな…）

思わず目をそらした私に、その男性が声をかけてきたのです。「あの、美咲さんですか？」「え…？」声は、いつもメッセージでやり取りしていた拓也さんそのものでした。でも、顔が、全然、違う！写真よりも何百倍もカッコイイ！

混乱する私に、彼は申し訳なさそうに頭を下げました。「ごめんなさい！驚かせましたよね。僕、拓也です」「え、あ、はい…。あの、写真とだいぶ印象が…」戸惑いながらそう言うと、拓也さんは少し寂しそうに笑って、理由を話してくれました。

「実は、前の彼女に『顔しか取り柄がない』って言われて振られたことがあって…。それ以来、外見で判断されるのが怖かったんです。だから、あえて写りの悪い写真を選んで、中身を見てくれる人と出会えたらなって…」

その言葉を聞いて、私は胸がキュンとなりました。写真が普通だったからこそ、私は拓也さんの誠実な内面に惹かれたのです。彼の悩みも、真剣な出会いを求めていたことも、全てが嬉しく感じました。

その日のデートは本当に楽しくて、あっという間に時間が過ぎていきました。もちろん、私たちはその日をきっかけに、お付き合いを始めることになったのです。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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