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「学校がすべてじゃない」──《井上咲楽》の不登校時代から学ぶ、自己肯定感が低いときの“心の支え方”

  • 2025.9.18

「ブス」と言われ孤立…井上咲楽が抱えた自己肯定感の低さ

井上咲楽さん(2017年07月10日撮影、時事通信フォト)
井上咲楽さん(2017年07月10日撮影、時事通信フォト)

「みんな私のことが嫌い」「全員が敵」──タレントの井上咲楽さんは、高校時代に孤立し、不登校を経験した過去を明かしました。今では明るい笑顔で活躍していますが、当時は自己肯定感の低さに悩み続けていたと言います。そんな彼女を救った“あるきっかけ”とは何だったのでしょうか。本記事では井上さんの体験をもとに、自己肯定感を高める方法を紹介します。

井上さんは、学校での孤立をきっかけに自己肯定感を失い、不登校を経験しました。こうした状況は、誰にでも起こり得ることです。では、人はなぜ孤立や批判によってここまで苦しんでしまうのでしょうか。心理学的な観点からみると、以下の3つに整理できます。

(1)承認欲求が満たされない(2)目立つことで妬まれ、自己評価が下がる(3)信頼の裏切りによる人間不信

人は誰しも「認められたい」という欲求を持っています。井上さんの場合、いじられキャラとして笑いを取る中学時代はその欲求が満たされていましたが、高校では周囲の評価が否定的に変わり、承認欲求が満たされず自己否定感が強まりました。

しかし、芸能活動を始めてテレビに出演するようになると、「目立っている」と見られ、同級生から距離を置かれるようになりました。周囲の反応は、羨望や妬みによる反応とも考えられます。注目されるはずの行動が否定や冷たい態度に変わったため、「自分は受け入れられていない」と感じ、結果として自己評価が下がってしまったのでしょう。

また信頼していた人から裏切られるという行為は、誰しも心に傷を負ってしまいます。井上さんは、慕っていた後輩からSNSで心ない言葉を投げられ、「人を信用できない」という感覚を深めました。信頼の裏切りは自己肯定感を大きく傷つけ、心を閉ざしてしまうきっかけになりやすい傾向にあります。

救いになった“もう一つの世界”──外の居場所が心を支える

不登校の日々の中で、井上さんを支えたのは“学校以外の居場所”でした。学校以外に居場所を持つという姿勢は、学生に限らず、大人にも通じるヒントです。ここからは、心を守るためのポイントを3つに整理してみましょう。

(1)新しい人との出会いを持つ 身近な環境で行き詰まってしまっても、別の場に行けば違う価値観や生き方に触れることができます。「悩んでいる時間はもったいない」と気づけるのは、さまざまな人との出会いがあるからこそです。

新しい人と出会うには、「地域のイベントに参加してみる」「オンラインコミュニティに入ってみる」「ボランティア活動に足を運んでみる」など、身近にできることから始めてみましょう。一歩外に踏み出すだけで、自分のことを理解してくれる人や、気持ちを切り替えるきっかけと出会えるチャンスが広がります。

(2)複数の居場所を持つ 心理学の観点からも居場所を一つに絞らず複数のコミュニティに属することは、自己肯定感を守る大きな力になると示されています。実際に、内閣府の調査(令和元年度「子供・若者の意識に関する調査」)でも、居場所の数が多いほど「自己肯定感」「充実感」「チャレンジ精神」などの心理的指標が高いことが明らかになっています。

家庭や職場だけでなく、趣味や地域活動といった“サードプレイス”を持つことが、「ここでは自分らしくいられる」という安心感につながるでしょう。また「気になるカフェや本屋で開催される小さなイベントに参加してみる」「SNSで同じ趣味を持つ人をフォローして交流してみる」「図書館やスポーツジムといった公共の場を活用する」なども居場所を増す一歩です。踏み出したいという気持ちさえあれば、自分らしくいられる場所は見つかり、自然と自己肯定感も高まっていきます。

(3)外の世界からエネルギーを得る 別の世界を知ることは、前に進むための原動力につながります。そこでは「ここでは受け入れられている」と感じられ、孤独を和らげることができるのです。

「新しい人間関係や経験を得られるアルバイトをしてみる」「気分転換にお気に入りのカフェに出かけてみる」など、自分ができそうなことから始めてみましょう。ほんの少し視野を広げるだけで、不思議と前向きな力が湧いてきます。

揺れる気持ちを受け入れる──自己肯定感を守る日記の力

井上さんが長く続けている習慣のひとつが「日記」です。特別なスキルや道具は不要で、誰でも実践できるシンプルな方法ですが、心理学の観点からも「自己理解や感情の整理に役立つ」行動として注目されています。ここでは、日記を記すことで期待できる3つの効果を紹介します。

(1)感情を外に吐き出せる ネガティブな感情を言葉に書き出すと、頭の中で渦巻いていた思考が整理され、客観的に自分を見つめ直しやすくなります。心理学の観点では「エクスプレッシブ・ライティング(感情表出の筆記)」という方法が知られており、思考や気持ちを文字化する行為はストレスの軽減や自己理解のサポートにつながると考えられています。

重要なのは正しく書こうとしないこと。「〇〇がイライラした」「〇〇されて悲しかった」など、思ったことをそのまま言葉にしてみましょう。最初は「寝る前にひと言だけ」「今日いちばん心に残った出来事だけ」と小さく始めるのがおすすめです。無理なく続けるうちに、心が整い、自己肯定感を守りやすくなります。

(2)幸せを感じやすくなる 日常のポジティブな出来事を書き留める習慣は、心理学の分野において 「カウンティング・ブレッシングス(counting blessings)」と呼ばれています。ありがたいと感じた出来事を定期的に記録する方法で、主観的な幸福感や心理的な安定につながる可能性があるとされています。

日記には、「美味しいコーヒーを飲めた」「友人と少し話せた」といった小さな出来事を記すのがポイント。感謝を日記に書くことは、日常を前向きに乗り切るきっかけにもなります。まずは「今日あった良かったことを3つ」書き出してみましょう。短い言葉でも続けることで、日々の幸せを意識しやすくなり、幸福感が少しずつ育っていきます。

(3)心の安定につながる 心理学において、日記を書くことは「ワーキングメモリ」と呼ばれる認知の仕組みに良い影響を与えると考えられています。ワーキングメモリは作業や判断に必要な情報を一時的に処理する機能を持っているものの、感情や思考が過剰に溜まると容量が圧迫され、集中力が低下したり気持ちの切り替えが難しくなったりします。

心の安定を意識したいときには、1日の終わりに「出来事」「感じたこと」「感情の強さ(%)」を簡単にメモしてみましょう。長文である必要はなく、3行程度で十分です。短い記録でも続けることで、思考の整理がスムーズになり、気持ちを落ち着けやすくなります。

【まとめ】井上咲楽さんの体験は、孤独や不登校といった苦しい状況でも、心を守る方法を見つけられることを示しています。心理学の観点からは、「複数の居場所を持つこと」と、「日記で気持ちを整理すること」が自己肯定感を保つ大切な手がかりです。

学校や職場で思うようにいかなくても、「今日あった良かったことを3つ書き出す」「新しいコミュニティに足を運ぶ」といった小さな一歩から始められます。続けていくうちに、安心できる居場所や前向きな気持ちが育ち、自分らしく歩む力へとつながっていくでしょう。

(おおしまりえ)

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