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要チェック!【脂漏性角化症】とは? 良性のイボだと思っていたら「悪性腫瘍」なんてことも

  • 2025.9.12

要チェック!【脂漏性角化症】とは? 良性のイボだと思っていたら「悪性腫瘍」なんてことも

いつのまにか顔や首、手の甲などにできている、シミが少し盛り上がったようなイボ。表面がザラザラしているものの多くは脂漏性角化症という良性の腫瘍ですが、他の病気の場合があるので一度は皮膚科を受診しておきましょう。

治療がマストではないけれど、色や形状の変化を見逃さないで

脂漏性角化症は別名、老人性疣贅という。疣贅というのはイボのことで、脂漏性角化症は老人性イボとも呼ばれている。

「脂漏性角化症は顔や手の甲、うなじ、体などにできます。シミが少し盛り上がったような見た目で、表面がザラザラした感じの皮膚病変です。色は茶褐色や黒に近い色などさまざまで、大きさは数ミリから1センチを超えるものまで。痛みやかゆみは基本的にありません」と、常喜医院院長の常喜眞理さん。

「良性腫瘍の一つです。老人性といわれますが高齢者特有のものではなく、30代頃からできる人もいて、40代から増えていくようです。白色人種に多く、日本人でも色白で日に焼けて赤くなるタイプの人に多く見られます。

原因は紫外線の影響や、加齢による皮膚の老化、そして肌質など遺伝的なことも関係しているといわれます。おなかのように日光にさらされない場所にもできますが、紫外線にさらされているところのほうができやすく、加齢とともに増えていきます」

イボには、子どもがよくかかる水イボなどウイルス性のものもあるが、脂漏性角化症はウイルス性ではないため感染の心配はない。そのままにしておいても問題はないという。しかし、脂漏性角化症だと思っていたら、実は悪性腫瘍(皮膚がんなど)だったという場合があるので、一度は皮膚科で診断を受けたい。

「鼻を中心にして手のひらを当てたときに、手のひらで覆われる部分、ほおの半分くらいまでのところにできた茶色から黒っぽいものは、悪性腫瘍の場合があるので注意が必要です」

皮膚科では視診やダーモスコピーという拡大鏡で、メラニン色素や毛細血管など細胞の状態を見て診断する。

「診断がつかない場合は、組織を取って調べることもあります」

脂漏性角化症と似たような病変を起こす悪性腫瘍には、有棘細胞がん、前がん状態のボーエン病、足の裏などにもできる悪性黒色腫(メラノーマ)などがある。

「いずれも進行は遅い病気ですが、色が濃くなったり、大きくなったり、形がゴツゴツしてきたりと変化が見られたら、すぐに皮膚科専門医の診察を受けてください」

良性と診断された場合も、大きさや状態に変化がないか、経過を見ることが大事。

「一年に一度は皮膚科でみてもらうといいですね。かさぶたのような状態になったり、同じエリアに色の違うものが出てきたりと、何らかの変化があったら早めに再診を」

除去治療には液体窒素、手術、炭酸ガスレーザーなどがある

放っておいて問題はなくても、顔や首、手の甲などにできた脂漏性角化症が美容上、気になる人もいる。

「自然に消えることはないので、気になる場合は治療を受けてもよいでしょう。治療法には液体窒素、手術、炭酸ガスレーザーを使うものなどがあります」

患部に液体窒素を当てて低温やけどを起こし、壊死させてかさぶたにしてはがす方法は、手軽だが一度では取れず、数回の処置が必要になることが多い。除去手術は局所麻酔で行い、一般的に日帰りで受けられる。液体窒素と手術には健康保険が適用される。

「病変が大きいときや、手術のほうがきれいに取れる場合は手術を選択します」

炭酸ガスレーザーでの治療は、患部にピンポイントでレーザーを照射し、取り除く。保険適用外で費用は全額自己負担となる。

「液体窒素やレーザー治療では病変部が失われるので組織を調べることができませんが、手術では組織を取って調べることができるというメリットがあります。治療回数や治療後のケア、費用など、それぞれメリット、デメリットがあるので、医師と相談のうえ選択しましょう」

炭酸ガスレーザー治療は美容皮膚科でも受けられるが、まずは皮膚科専門医から悪性腫瘍ではないという確定診断を受けておきたい。

日光にさらされる部分は一年を通して紫外線対策を

加齢とともに増えていく脂漏性角化症。防ぐ方法はないのだろうか。

「紫外線対策は大事です。顔や首、手の甲や腕など、紫外線にさらされる部分には、一年を通して日焼け止め(紫外線防止剤)を使用したいもの。帽子や日傘なども活用しましょう」

イボに効くという漢方薬のヨクイニンにも、予防や改善の効果はあるのだろうか?

「ヨクイニンは皮膚の代謝を促し、ウイルス性のイボに効くとされていますが、脂漏性角化症には効果がありません」

脂漏性角化症とは別に、首イボともいわれる首からデコルテにかけてポツポツと飛び出したようにできるイボや、ほくろが少し盛り上がったようなイボを気にしている人も多いが……。

「これはスキンタッグやアクロコルドンと呼ばれるもので、良性の軟性線維腫です。こちらもウイルス性ではないので放っておいても問題はありませんが、気になる場合は液体窒素や炭酸ガスレーザーなどで治療できます」

【ドクターから一言】
気になるなら除去治療も受けられますが、各治療法のメリット・デメリットを確認し納得したうえで選択しましょう。

※この記事は「ゆうゆう」2024年10月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。



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