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20年前、数々の栄冠を獲得した“控えめだけど胸を打つ”エロかっこいいソング ギャップで時代を牽引した“しっとりバラード”

  • 2025.10.14

「20年前の秋、どんな音楽が心を満たしていたか覚えてる?」

2005年。まだ街にはCDショップの看板が輝いていた。9月の夕暮れ、少し涼しくなった風に揺れる街路樹を眺めながら、ふと耳にしたメロディに足を止めた……そんな記憶を持つ人も少なくないだろう。

倖田來未『Promise』(作詞:Kumi Koda・作曲:Daisuke”D.I”Imai)――2005年9月7日発売

秋色に染まるラブソング

この曲は、ベストアルバム『BEST〜first things〜』の先行シングルとして届けられた。

当時、倖田來未は“エロかっこいい”というキャッチコピーで時代の先端を走っていたが、同時にデビュー当初からバラード作品にも力を注いできた。『Promise』はその系譜にありながらも、とりわけストレートに想いを響かせた一曲で、切なくも真っ直ぐなバラードとして多くのリスナーの胸に残った。華やかなダンスチューンの表舞台と並行して、彼女の表現の幅を確かに示す存在となったのだ。

倖田來未という存在感

2000年のデビュー以来、彼女は挑発的で大胆な表現で注目を浴び続けてきた。その一方で、『Promise』のようなナチュラルな歌声を響かせる楽曲も大切に歌い重ねていた。

倖田來未にとって『Promise』は、シングルとしてはバラード路線の代表作のひとつに数えられる。ステージ上では力強く弾ける彼女が、この曲ではしっとりと歌い上げる。そのギャップこそが、彼女が時代を牽引した理由のひとつだった。

揺れるメロディに宿る想い

『Promise』の魅力は、Daisuke”D.I”Imaiこと今井大介による繊細なサウンドの積み重ねにある。シンプルなピアノラインに寄り添うストリングスが、秋の空気のように澄んだ余韻を残す。そこに倖田來未の少しハスキーな歌声が重なると、恋の儚さや強さが自然と浮かび上がる。

この楽曲を聴けば、街を歩く人の足取りさえ少しゆっくりになるような、そんな時間が流れる。

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2005年、『第47回輝く!日本レコード大賞 レコード大賞』に登場した倖田來未 (C)SANKEI

栄冠を手にした象徴的な瞬間

『Promise』は、リリースからほどなくして倖田來未のキャリアを象徴する出来事と結びつく。第20回日本ゴールドディスク大賞で彼女は邦楽部門「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に輝き、授賞式でこの曲を披露したのだ。

しかも、アーティスト・オブ・ザ・イヤーだけでなく、ロック&ポップ・アルバム・オブ・ザ・イヤー、ミュージック・ビデオ・オブ・ザ・イヤーと、複数の賞を同時に手にしていた。受賞の場で静かに響いた『Promise』は、栄光を飾る記念碑のようにファンの心に刻まれた。

あの秋の余韻とともに

2005年の音楽シーンといえば、次の時代の胎動が感じられた頃だった。その過渡期に、『Promise』はCDという形で手に取り、大切に聴かれる喜びを思い出させてくれる楽曲となった。

今振り返ると、この曲はただのシングルではなく、倖田來未というアーティストが持つ多彩さを示す証だった。煌びやかに輝く一方で、ひとりの女性としての素直な息づかいを感じさせる歌声――その二面性が、彼女を唯一無二の存在へと押し上げたのだ。

秋の空気に溶け込むように、今も『Promise』を聴けば、20年前のあの日の街の匂いや、誰かを想った切なさが蘇ってくる。倖田來未が歌に託した“誓い”は、時を超えて私たちの胸に生き続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。