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「放っておいてほしいのに…」美容師さんが、何度も何度も 話しかけてくるワケ “知られざる” 4つの理由とは

  • 2025.9.4

「静かに過ごしたい」ときもあるのに

美容室のイメージ
美容室のイメージ

「会話が苦手」「今日はゆっくり雑誌を読みたい気分」「美容室で何かと話し掛けられるのが苦手で、ギリギリまで行くのを我慢してる」……。そんな話を耳にすることがあります。美容師が施術中に話し掛けてくるのにはどんな理由があるのか、元美容師の筆者が解説します。

美容師が話し掛けてくる理由は、大きく二つあると考えられます。一つは、利用客のスタイリングなどに必要な情報が欲しくて尋ねてくるパターン。もう一つは、会話好きな美容師が担当してしまったパターン。

多くの美容師は利用客の雰囲気や仕草で何となく察知して、「今日は最低限の会話だけにして、あまり話し掛けないようにしよう」などと判断します。しあし、残念ながらそのような美容師だけではありません。少数ではありますが、とにかく話し掛けるのが好き、話していたいという美容師もいます。

先述の通りたいていの美容師は、利用客の雰囲気や仕草で何となく察知しますが、伝えてもらった方が対応しやすい場合もあります。そのため「静かに過ごしたい」「雑誌やタブレットを見ていたい」など、遠慮なく伝えてもらえるとありがたいです。

中には、“話し掛けないでオーラ”を発しているにも関わらず、話し掛けられて「勘弁して……(泣)」といった声も。実は、たいていの美容師たちもその空気感を分かってはいるのです。「あー、話し掛けてほしくないんだろうな」と。美容師側としてもなるべく話し掛けないようにしているのですが、必要に応じて声掛けせざるを得ないこともあります。それは一体どんな場面なのでしょうか。

美容室では、「朝は忙しいのか、出掛けるまでに多少は余裕があるのか」また「どのような業界にお勤めなの」、「何が好みでどういった趣味をお持ちなのか」といったライフスタイルを聞かれたことがあるかと思います。

「ライフスタイルを聞いたところでなんの役に立つのだろう?」と思う人もいるかもしれません。しかし例えば、朝忙しいという話が出ればパパっとまとめやすいスタイルを提案するかもしれませんし、役所勤めなど固め仕事をしている人なら少しダークなヘアカラー、アパレル業界など比較的自由度の高い勤め先なら少し明るめのカラーを提案するかもしれません。

このように、ライフスタイルや趣味、好みなどから、利用客にとって“似合う”&“扱いやすい”スタイルを提案したいと考えているのです。

最近は風潮に変化があったかもしれませんが、筆者が美容室で働いていた頃は「とにかくお客さまと会話をする」という雰囲気がありました。ほかの美容室でも同様だったのではないかと思います。

なぜ話をするのかというと、会話を通して利用客の人となりを知って仲良くなりたいから。仲良くなれば継続的に担当させてもらえるかもしれないし、来店率アップにつながるかもしれない。そんな狙いがあるのです。

特に就業したばかりの下積み時代は、利用客と直接関わる場面の少ない仕事です。先輩スタッフと一緒にお客さまに関わらせてもらえたときは、自分のことを覚えてもらうために話し掛けるよう指導されていました。

店販(てんぱん)とは、美容室で販売しているスタイリング剤などの商品のことで店頭販売(商品)の略語です。この店販について、売り上げ目標を決めている美容室もあります。ノルマを達成するためには、まず利用客と会話をしなければなりません。

リピートしてくれる利用客でもない限り、自ら店販を購入してくれる人はほとんどいません。そのため、静かに過ごしたいと意思表示をされている利用客も声を掛けることになるのです。

施術中は、ふとしたタイミングで鏡越しに目が合ってしまうことがあります。こうした場合、一瞬気まずい雰囲気になったとしても軽く会釈したりほほ笑んだりして和やかに終わらせる美容師が多いでしょう。

ところが利用客への対応に不慣れな美容師だと、「あっ、どうしよう……静かに過ごしたいって言ってたから、気が付かなかったふりをする? でも目が合わなかったふりはさすがにできない。何も話さないと無視されたと思って印象が悪くなる……?」と慌ててしまい、結果、「何か話した方が良いかも……」とついつい中身のない話を始めてしまうのです。

美容室側は、利用客にリラックスして過ごしてもらえることが一番です。静かに過ごしたいからと会話を断ったとしても、美容師が不快になることはありませんし施術内容に差が出ることはありません。

そして、美容師の中にも会話が苦手な者もいます。また、利用客との会話をしないことで、次の段取りに取りかかれるので助かると思っている美容師もいます。その日の気分に正直に、遠慮なく「今日は静かに過ごしたい」と伝えてみてください。

(マキタサナエ)

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