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黄ばみもニオイも解決!水量やすすぎの回数を見直そう【永久保存版】洗濯王子直伝の正しいお洗濯方法

  • 2025.9.1

夏になると増える衣類の悩み。いつの間にかTシャツやシャツのネックが黄ばんでいたり、きちんと洗濯したのにニオイが気になったり。お気に入りアイテムこそ登板回数が多くなるためこういうトラブルに陥りがち。ただでさえ暑くておしゃれを楽しむのも一苦労なのに、夏に必須の清潔感がないと、テンションが下がりますよね。
 
夏ならではの衣類の悩みをどうやって解消すればいいのか。ここは洗濯のプロに聞くのが一番! ということで、”洗濯王子”の愛称で親しまれ、さまざまなメディアに引っ張りだこの洗濯家・中村祐一さんに、黄ばみやニオイの除去法を聞いてきました。

お話を聞いたのは…… 洗濯家・中村祐一さん

長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開き、「洗濯王子」の愛称でさまざまなメディアに多数出演。全国各地のクリーニング店メンバーと共同で運営する、洗濯のキホンを伝える講座「ゼロから学ぶ洗濯」も好評開催中。

「夏ならではの衣類の悩みは、じつは洗濯を見直すことで解消できることがほとんど。そもそも黄ばんだり嫌なニオイが発生するのは、きちんと洗えていないことが原因なんです。毎日のように洗濯しているのに、かけなくていい手間や負担しなくていいコストを払うことになるのはもったいないですよね」と、中村さん。
 
「また、この30年ほど洗濯機は節水を続けて進化しているのですが、水量が少ないとキレイになりません。洗濯は、衣類の量と水量のバランスが重要。それを浴比(よくひ)というのですが、衣類が1に対して水量は10以下になるとキレイにならないと言われています。でも、衣類が入りすぎていたり、水量が少なすぎて、この浴比が下回ることが増えています。そうすると洗濯機の中できちんと洗濯物が動くことができずに汚れが落ちにくくなったり、落ちた汚れが衣類に戻ってくる”逆汚染”が発生して、黄ばみや黒ずみ、嫌なニオイの原因にもなってしまうんです。つまり、せっかく洗濯しているのに十分に洗えていないことになります。衣類の悩みを解消するには、まずは洗濯方法を見直すのがベストです」
 
中村さんいわく、洗濯の基本となる3つのポイントを見直すことが大切とのことなので、それぞれのポイントを詳しく解説していきます。目からウロコの情報が満載ですよ!

ポイント1:洗濯機の設定を見直そう

洗濯機で衣類を洗うとき、自動モードなどを使う人がほとんどだと思います。そのほうが楽だし、洗濯機に搭載されている信頼感もありますよね。でもそれには大きな落とし穴があると中村さん。「僕たちからすると、今の洗濯機はキレイになる設定になっていないんです。洗う時間も短いですし、水の量も少ない。さらにはすすぎも十分ではない場合もあります。これは消費者のニーズに合わせた結果でもあるのですが、これだと汚れが落ちきらないんですよね」
 
「汚れが落ちる洗い時間の目安は10〜20分なのですが、洗濯機の設定は10分弱になっていたりします。早く洗濯を終わらせたいところではありますが、汚れがきちんと落ちないと元も子もないので、まずは洗う時間を15分に。さらにすすぎが不十分だと汚れがすすぎきれず、それが黄ばみやニオイの原因にもなるので、すすぎは3回に設定するのがベストです」
 

最近は”すすぎ1回でOK”の洗剤も見かけますが、ここも注意すべき、と中村さん。「昔は主流だった箱型の粉洗剤は弱アルカリ性が多いのですが、洗浄力重視でしっかり落とす反面、アルカリが残っていると”アルカリ焼け”という黄ばみが発生してしまいます。だからすすぎを繰り返すことが推奨されていました。今、すすぎ1回と書いてあるのは、中性の液体洗剤がほとんど。中性の洗剤は仮に衣類に残っても黄ばみなどの問題は出にくいのですが、すすぎ1回で汚れまで落とすのは難しい、というのが正直なところです。もちろんメーカーさんもさまざまなテストをしているのですが、その評価ポイントが特定の条件でのテストだったり、洗濯洗剤に含まれる界面活性剤が残っているかどうかが中心だったりします。なので、すすぎ1回と書いてある洗剤でも、汚れをキレイにすすぎきるためには、すすぎ3回が必須です」

ポイント2:衣類・水・洗剤の量を見直そう

洗濯機に衣類を詰め込みすぎたり、洗剤の量をなんとなく入れていたり。洗濯に手間と時間をかける人は少ないかもしれませんが、テキトーに洗濯をしていると仕事を増やすことになることも。「洗濯機でキレイに洗い上げるには、衣類・水・洗剤の量のバランスが超重要になります。まず衣類の量は洗濯機によって異なるのですが、縦型は洗濯槽の6〜7割、ドラム式は半分が適正。それ以上の量は汚れが残ったり、戻ってしまう可能性が高いです」
 
「続いて水量。洗濯機は自動で重さを測ってそれに適した水量を入れる仕組みになっていますが、その水量では少ないことが多いです。縦型は水流を起こして洗うので特に重要。洗濯物が6〜7割で、水量は最高水位で洗うくらいの浴比が目安です。洗濯物の量がそれほど多くない場合は、洗濯機が示した水量のひとつ上を選択するのがオススメですが、洗濯物がある程度まとまったら洗うようにした方が無駄がなく、本当の節水につながります。また、ドラム式は水量を変えられないことが多いですが、もし変えられるなら水位高めの注水すすぎに。衣類の量はドラム式の特徴であるたたき洗いがしやすいように、洗濯物の量を洗濯槽の半分にして、衣類がドラムの上から落ちて、たたき作用が出ているか確認しましょう」

「洗剤の量は水量や衣類の量に合わせるのが基本ですが、一定の濃度が水の中にないと汚れは落ちません。目で見える汚れがないと洗剤を減らす方がけっこういるのですが、それが一番よくないんです。そもそも洗剤には、汚れを落とすだけでなく汚れを戻さない効果もあります。洗剤の量が少ないとそれができなくなってしまうのです」
 
さらに洗剤の種類も重要だと中村さん。「最近は重曹やマグネシウムだけで洗ったり、アルカリイオン水だけで洗うコインランドリーもあったりしますが、界面活性剤を使用せず洗濯をするのはオススメしません。これらは汚れを落とす効果はあるのですが、汚れを戻さない働きがないのです。キレイに洗い上げるには汚れを落とす作用だけでなく、汚れを戻さなくなせる作用が必要です。いずれにせよ、衣類・水・洗剤の量を適正にしてあげることが大切。そうすれば現状の洗濯機でも問題なく、コストをかけずに衣類をキレイにできますよ」

ポイント3:柔軟剤・漂白剤・洗濯ネットの使い方を見直そう

洗濯をするときについ使っちゃう柔軟剤や漂白剤、洗濯ネット。柔軟剤はふっくらイイ香りに仕上がるし、漂白剤は汚れがひどいときに使いたくなります。洗濯ネットは衣類が絡まないように活用するなどの使う理由はきちんとありますが、まずは使うのを一回やめてみましょう、と中村さん。「ポイント1と2で伝授した正しい洗濯法をしていれば、+αのアイテムを意味なく使っていたことに気づきます。もともと、柔軟剤はウールのニットを洗って柔らかく仕上げたり、静電気防止のために使われていたものです。それを全てのアイテムに使うのは、本来の使い方ではありません。ニオイ防止のために使いたいという方もいますが、きちんと洗えていれば臭うこともないので必要ないですよね。それにタオルは柔軟剤を使用しないほうが吸水性もアップします。柔軟剤は一番最後につけて、衣類に残すもの。同時に洗濯機にも残るので、洗濯機が汚れる原因にもなってしまうのです」
 
「漂白剤も柔軟剤と同じで毎回使う必要はないものです。漂白剤は洗濯しても落ちなかった黄ばみなどが残るときに、その色素を壊すために使うもの。まずは、洗剤で洗って落とせる汚れを落とすのが先。その後に色素が残ったなら、漂白剤の出番です。漂白剤に先につけ置きをする人もいますが、汚れが残っていると効果が出にくかったり、逆に変色のリスクを高める可能性も。例えば、日焼け止めに塩素系漂白剤につけると赤く変色したりします。先に洗剤できちんと洗えば、それだけで落ちる汚れも多いですし、赤くなるなど変色のリスクも低くなるので、まずは正しい方法で洗濯してください」
 
「最後に、洗濯ネットも必要ないのに使っている人が多いです。黄ばみやニオイのほとんどが、汚れが落としきれていないのが原因。洗濯ネットを使うと洗浄力が下がるので、汚れが残りやすくなります。そのまま洗うと衣類が絡まって傷みそうとか、ネックが伸びてしまいそうなど、なんとなくよかれと思って使った洗濯ネットが、洗浄力を下げてしまうのです。逆に、本当に洗濯ネットが必要なほど繊細な衣類はクリーニング向きだったりします。また、洗濯前の仕分けのしかたの問題や、服の不良の問題を洗濯ネットに入れることで守ろうとしている方も多かったりもしますが、ご家庭で洗う衣類に洗濯ネットは必要ないことがほとんどなので、洗濯ネットの使い方も見直してみてください」

【番外編】正しい洗濯方法で黄ばんだTシャツを洗ってみた!

中村さん直伝の洗濯方法で、本当に黄ばみなどが落ちるのか気になりますよね。なので、試しに筆者の黄ばんだTシャツを洗ってみました。単品ではなく、他の洗濯ものと一緒に洗ってみたのですが、一回でだいぶ黄ばみが落ちていますよね? 特殊な洗剤を使ったわけでも、最高級の洗濯機で洗ったわけではないのに、この仕上がり。いかに普段の自分の洗濯がテキトーだったのか思い知らされました(笑)。
 
お伝えし忘れましたが、部屋干しのニオイもこの洗い方が有効。ただ、黄ばみやニオイも含めて、一回の洗濯で悩みが解消できないこともあるそう。「正しい洗濯法で洗っても黄ばみなどが落ちないこともあります。そうなると次の手段を考えたくなりますが、この場合は落ちなかったのではなく、少しでも薄くなっていれば、その1回の洗濯で落ちる量は落ちたことになります。クリーニング屋さんでも、一度でキレイにならないときは何度も洗って除去することがあるので、全てを1回で解決しようとせず、汚れの落ち方を見て、何度か洗ってみるといいですよ」と中村さん。

当初は黄ばみやニオイの対処方法を教えてもらう予定でしたが、まさか洗濯の根本から見直す提案をしていただけるとは思いもしませんでした。確かに正しい洗濯方法で洗っていたら、黄ばみやニオイのリスクがないのはかなりうれしいかも。中村さんも「じつはこれが一番ラクで効果的なんです」と言っていました。結局のところ洗うのは洗濯機で、私たちはボタンを押すだけですしね(笑)。中村さん直伝の洗濯方法は、まさに一生モノ! みなさんもこの機会に覚えて、洗濯で生活も変えちゃいましょう!

text:KYOKO CHIKAMA

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