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うちの子天才?!「全国〇位」の勲章がくれたもの

  • 2025.8.29

そうか。最後まで泳ぎ切れてよかった。透き通った夏の競泳用プール。小学生たちが一斉にバシャバシャと水を蹴り、青く澄んだ水面が乱反射して目にまぶしい。そんな光景を見ながら、母である私は心の中で「よく頑張ったなあ」と、じんわりと感慨深い気持ちに浸っていました。普段は「もうちょっと提出物を出しなさい!」と怒ったり、「勉強も中途半端で終えない!」とぼやいたりしてしまう母ですが、今日ばかりはただ純粋に、我が子がプールを最後まで泳ぎ切った姿を見届けて「それだけでいいや」と思えたのです。ちょっと、数年前を回想させてくださいーーーーー

突然かかってきた『あの電話』

数年前のことです。ある日、思いもよらぬ電話が鳴りました。「○○スイミングの本部、広報を担当している者です。全国のプール会報誌に、お子さんのお名前を載せてもよろしいですか?」……え? なんですと?通っていたのは、大手スイミングスクール。そこでは年に一度、全スクール生を対象にした【公式記録会】が行われます。いわば“構内模試”の水泳版。泳いだタイムを計測し、上位に食い込んだ子は表彰される。さらに全国のスクールと成績が照合され、なんと20位以内に入った場合は期間限定で公式ホームページに名前が掲載されるというのです。そんな大それたこと、全く知らずにいた我が家。なにせ当時はコロナ禍まっただ中。保護者の見学も制限され、「今週は女子の保護者のみ」「来週は男子の保護者のみ」とルールがありました。私は下の子(三男)がまだよちよち歩きで、見学どころではない。結局、毎回スクールの玄関で車をベタ付けし、子どもたちを送り迎えするだけ。泳ぎを直に見る機会などほとんどありませんでした。だからこそ、あの電話は寝耳に水。いや、水どころか冷水シャワーを浴びたような衝撃。「成績上位につき、全国の名前リストに載せてもよろしいですか?」何位だったと思いますか?なんとなんと、

「全国で10位以内」とのこと

はい、ビビりました。人違いじゃないですか?と真剣に思いました。実際、その電話を受けたのは夫だったのですが、彼も「いや、うちの子じゃないですよね?」と確認したほど。ですが本部の答えは「間違いございません。確かにお子さんです」と。さて。ここでクエスチョン(世界ふしぎ発見!風)みなさん、自分の子が「全国10本の指」に入ると聞かされたらどうしますか?ええ。我が家の回答。スーパーひとしくんと共に出させていただきます。もちろん、

親、調子に乗る

それでは、正解です。正解は、【親、調子に乗る】でした。はい、正解!パチパチパチパチ。黒柳さんとぽにさんに、スーパーひとしくん人形を差し上げます。うん。あのですね~繰り返しますが、親は100%、調子に乗ります。普段は自慢話が大嫌いな夫でさえ、その年の正月の親戚の集まりで子どものスイミングの話を嬉しそうに語っていました。夫側の親戚の面々は大学教授や医師などハイスペ揃い。誰も大学合格程度で自慢なんかしない場なのに、夫は堂々と「実はうちの子、スイミングで全国10位に入って……」と。私も同じ。普段なら「うちの子なんて~」と謙遜するタイプなのに、その時ばかりは友人やママ友に「ちょっと聞いて聞いて!」と声を弾ませていました。いや~この時初めて知りましたよ。自分自身の成果以上に、我が子が認められることの喜びは計り知れない。鼻高々にひゃっほーー!ってなります。親としての“有頂天モード”を味わったのです。その後、通っている小学校校内でもちょっとした噂になりました。「ぽに長男、水泳めちゃくちゃ速いらしい」なんせ、地元のスイミングスクールに通う同じ学年の中では1位ですもん。スイミングスクールの掲示板には、表彰状と共に名前も張り出されました。一時的にせよ、校内で名の知れた存在になった息子。一方で、我々夫婦は「何ができてもできなくても、長男のことが大好き」というスタンスを崩さず、下の子たちにも平等に接したいこともあり、必要以上にプレッシャーをかけることはしませんでした。スイミングに関しても、「もっと通いたければ回数を増やそう。やめたければそれもいい。自分で考えて」という声掛けをしました。長男は「学童も行きたいし、友達と遊びたいから今のままの週1でいい」と。結局、特別な方向転換はせずに、これまで通り。もし才能がずば抜けているなら、その時はきっと特別コースに引き抜かれるだろう——そんなふうに考えていました。それでも【全国10位以内】という小さな勲章は、彼に大きな自信を与えました。陰キャ寄りで控えめだった息子が、話し方まで少し堂々と変わったのです。友人との会話でマウントを取ったり取られたりという小競り合いも減り、「自分は自分でいいんだ」という確信を持てるようになったように見えました。たった一度の経験が、子どもの自己肯定感を底上げする。これは親にとっても新しい発見でした。しかし、時は流れーーーーー

成長とともに変わる“泳ぎ”

成長とは時に無情なものです。5年生になった頃、久しぶりに見学した長男の泳ぎに、あれ?っと違和感を覚えました。体はぐんと大きくなったのに、以前よりも肩の可動域が狭まり、水を切っていない。泳ぎのキレが落ち、スピードもやや鈍っているように見えたのです。「そうか、そういうことか」人間、成長すれば体型も変わるし、得意不得意も移ろうもの。長男の泳ぎは普通の、ごくごく普通の小5のスイミングに通っている子供の泳ぎでした。それでも本人はスイミングが大好き。中学受験勉強で忙しい中でも、週に1回はルンルンで通い続けていました。

受験とスイミングの両立

そして迎えた小6の夏。中学受験界隈では「天王山」と呼ばれる大事な時期です。なのに息子は小学校を通して市の公式記録会にエントリー。親としては「いや、大丈夫なの受験……?」と正直ハラハラしました。しかし、勉強漬けの毎日にスイミングを挟むことで、リフレッシュになったようです。夏休みは、スイミングスクールの契約を変更。週1ではなく、いつでも通ってもよいスクール生として足しげくプールに通いました。透き通るような青空の下。市民プールにて。大会が始まりました。緊張して順番を待つ長男。なんてったって、ひときわ白い。周囲の参加者は真っ黒に日焼けした中、中学受験と両立した白い肌が際立ちます。よーい、スタート!バシャバシャ…長男は目立たない番号で、目立たないコースを泳ぎ、特に目立たない順位で帰ってきました。数年前に全国上位に名を刻んだ子と同一人物とは思えないほど、成績は平凡。でも、ゴールして、プールサイドに上がった長男は笑っていました。大会が終わった後、「いや~楽しかった。泳ぎ切った!」と言って、見学していた私と弟たちの元に帰ってきました。きっと彼の中では納得できる順位ではなかったはず。数年前の「水泳で、みんなを驚かす存在になれるかも」という夢も、現時点ではどこかに行ったのかもしれません。それでも、

本人は前を向いていました

そして母である私は、真っ青な夏空を見上げながら思ったのです。「結果がどうであれ、この子は自分の力で、自分の物語を泳ぎ切っている」それこそが一番誇らしいことなんだと。

おわりに

全国10位以内に食い込んだ!という小さな勲章は、長男の人生を大きく変えました。もちろん、その後は記録が伸び悩み、記録会は平凡な成績で終わりました。けれども——あの経験は、特に運動神経が抜きんでているわけでもない彼の勇気となりました。「昔は速かってんけどな~ははは!」と、まだ11年しか生きていないのに“過去の栄光”を語れる。それもまた立派な宝物です。水泳は終わりではなく通過点。中学受験もそのひとつの挑戦に過ぎません。結果がどうであれ、子どもが「自分は自分でいい」と思えること。それ以上の収穫のような気がしてきました。——そんなことを思いながら、夏の空をあおぐ母です。ではまた!

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