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AI時代に必要な「自分で考える力」を育てるために、米国在住ママが実践するたった一つの家庭習慣

  • 2025.8.25

アメリカでシングルマザーをしながら、子育てについて発信しているひろこです。息子がまだ幼稚園に通っていたころ、本で出会ったこの言葉が、今でもずっと心に残っています。「なぜ?という問いには、その答えよりも100倍の価値がある」これは、アインシュタインが残したと言われている有名な言葉です。私はこの言葉に出会ってから、「なぜ?」と考えることそのものが、子どもたちの思考を広げる大切な一歩だと感じるようになりました。今は、AIがどんな正解も一瞬で出してくれる時代です。だからこそ大事なのは、「自分で考える力」と、「自分の言葉で伝える力」だと思っています。今回は、その力を育てるために、家庭でできるちょっとした工夫を「おうちグローバル教育」の一環としてご紹介します。

「どう思う?」のひとことが、考える力のスタートに

子どもの考える力や自分の言葉で伝える力を育てるために、アメリカの家庭で行われているのが、正解のないことについて親子で議論することです。「あなたはどう思う?」「どうしてそう思ったの?」と、日常の中で子どもにたくさん質問しています。いきなり議論を始めるのは難しい......と感じる人は、本をきっかけに始めてみるのもおすすめです。

ユダヤ人に伝わるタルムード:親子で「答えのない問い」を楽しむ時間

「タルムード」という本をご存じですか?タルムードは、ユダヤ人に伝わる伝統的な問いの本で、2000年近く前から読み継がれてきた議論集です。特徴的なのは、あえて結末を示さず、「あなたならどうする?」と問いかけて終わるお話が多いこと。たとえばこんなお話があります。学校の校庭に落ちていた、新品のコートを拾いました。名前は書かれていません。そこへ1人のお友達が来て「これ、ぼくのだよ」と言いました。すぐあとに別のお友達も「いや、それはぼくのだよ」と主張します。2人に1つのコート。証明するものは何もありません。さて、あなたなら、どうする?タルムードには、こうした日常のやりとりから、正義や人生の選択といった深いテーマまで、さまざまな問いが登場します。「これってどうなんだろう?」と、子どもと一緒に「答えのない話」を楽しむのにぴったりな題材です。私は『ユダヤ式Why思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)という本でタルムードについて知り、子どもと議論することを意識するようになりました。他にも『ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集』(集英社)などが出版されています。電子書籍であれば子ども向けの絵本も発売されていたり、最近ではyoutubeでもいくつかお話が紹介されているよう。親子で議論をする習慣を始めるのにおすすめです。

“Would you rather?”で、幼児期から楽しくはじめる対話

まだお子さんが小さい場合、いきなり議論するのはちょっと難しいですよね。アメリカでは、“Would you rather?”という質問を使って、子どもとおしゃべりを楽しむことがあります。いわゆる「究極の選択」のような質問で、日本でもよくこういう話題で盛り上がったりしますよね。たとえば、「空を飛べる力と、透明になれる力、どっちがほしい?」こんなふうに、ただただ会話を楽しむための質問です。でも、そこから「なんでそっちを選んだの?」と理由を聞いてどんどん子どもの考えを膨らませることができます。子どもなりの価値観や考え方に触れられて、親としても新しい気づきがたくさんあります。

子どもの「伝える力」は、親の返し方で育つ

自分で考える力に加えて、それを自分の言葉で伝える力も大切です。この力を育てるうえで、親の返し方はとても重要になります。子どもが意見を話したとき、「それは違うよ」「普通はこうでしょ」「みんなそんなこと言わないよ」などの言葉で否定してしまっていることがあります。また、「なんでそんなこと言うの?」のような問いかけも、トーンや表情によっては「責められた」と感じさせてしまうこともあります。否定されたと感じた子どもは、「言わなきゃよかった」と思い、本音を話さなくなっていきます。そのうち、相手が望む「正しそうな答え」を言うようになり、本来の考えが見えにくくなることも。だからこそ、たとえ親が「うーん…」と思う内容でも、まずは、「〇〇ちゃんは、そう思ったんだね」「おもしろい考え方だね」と、どんな意見でも一旦は否定せずに肯定することが大切です。そのうえで、「ママはこう思ったよ」「〇〇ちゃんはどう思う?」とやりとりを続けることで、子どもは「話しても大丈夫」と安心できるようになります。この安心感が、自分の考えを伝えるための自信につながっていきます。

「教える」より「知ろうとする」ことが、自己肯定感につながる

この「子どもと議論する時間」は、考える力や伝える力だけでなく、自己肯定感を育てる時間にもなると思っています。親が子どもの考えを否定せずに聴いてあげることで、子どもは「自分の考えには価値がある」と感じられると思うからです。「この子はどう考えてるんだろう?」と知ろうとする親の姿勢こそが、子どもの「その子らしさ」を支えてくれるはずです。みなさんのおうちでは、どんな会話をしていますか?ぜひ教えてください!

【Profile】ひろこ(@hirorokok)

 (1635211)

カリフォルニア在住、8歳男の子のママ。20歳でアメリカに留学。カレッジを卒業後、コンサルティング会社、貿易会社に勤務。2児のシングルファーザーだった元夫と結婚。非行少年だった長男と自閉症の次男の子育てを通して、ペアレンティング(子育て)について専門家から学ぶ。その後自身の息子を出産、離婚してシングルマザーに。現在は日系企業のアメリカ支社で経理部に所属。誰かの役に立つことを願い、アメリカの子育てアイデアを発信。初の著書『LA在住のママがやっている アメリカ式・はじめてのお金教育』(KADOKAWA)が好評発売中。

Instagram:ひろこ(@hirorokok)

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