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愛と自由を求めて彷徨う“美しい女性”を好演『パルテノペナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタにインタビュー

  • 2025.8.27

『パルテノペ ナポリの宝石』
©2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathé Films - Piperfilm Srl @Glanni Fiorito
 
青くきらめく港町ナポリを舞台に、神秘的な美しさで人々を魅了する女性パルテノペの人生を描いた『パルテノペ ナポリの宝石』。美しさを自覚して青春を謳歌する日々が一変、喪失感のなかで自分の居場所を探し、愛と自由を求めて生きたひとりの女性の姿を、イタリアの映画監督パオロ・ソレンティーノ(『グレート・ビューティー/追憶のローマ』など)が壮大かつファンタスティックにフィイルムに焼き付けました。
 
「現代のヒーローは男性ではなく女性だと信じている」と語るソレンティーノ監督が、自身の作品で初めて女性を主人公にした本作は、第77回(2024年)カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された後、イタリア国内で監督史上最大のヒットを記録。女神のようなパルテノペ役を演じたセレステ・ダッラ・ポルタにも大きな注目が集まっています。
 
今回は、映画初出演にして初主演を果たしたセレステに、オンラインでインタビュー。“美しい女性”を演じた感想や現在の心境をうかがいました。

セレステ・ダッラ・ポルタ ©Greg Williams.

美しい女性を演じるということに対しては特に問題を感じませんでした

――主人公に抜擢された経緯を教えてください。また、役者になりたいと思ったきっかけは?

セレステ・ダッラ・ポルタ(以下、セレステ):初めての映画出演で、パオロ・ソレンティーノ監督と一緒に仕事をするという大きな幸運に恵まれました。この役のオーディションを何回も受けましたが、それ自体が私にとっては貴重な勉強の場でした。女優になりたいという思いは、子どもの頃から持っていました。

――『パルテノペ ナポリの宝石』は、ひとりの美しい女性の生き方を神話のように描いている素敵な映画だと思いました。一方、現在は、見た目の美しさを取り上げることに対して否定的な声があがることもあります。そのようななか、女性美の象徴のような役を演じるにあたり、セレステさんが意識されていたことはありますか?

セレステ:美しい女性を演じるということに対しては特に問題を感じませんでした。イタリアでは、美しい女性は男性からの視線を集めますし、開かれた扉があります。それは現実にそうなので、そこに関しては深く考えることはありませんでした。

 ただ、パルテノペという役の肝となるのは、彼女が外見的な美しさを持っているということよりも、どこか謎めいたところ、惹きつける何かを持っているところ、だと思うので、そういった面を表現できるように心を配りました。

彼女の視線は常に現在ではなくて別の時間を向いているのです

『パルテノペ ナポリの宝石』 ©2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathé Films - Piperfilm Srl @Glanni Fiorito

――たしかに、目を引く外見的な美しさ以上に印象的だったのは、どこか少女っぽい戸惑うような視線でした。繊細な感情を演じる際に、監督から何かアドバイスはありましたか?

セレステ:そのようなシーンに関しては、監督から多くの教えをいただきました。例えば、パルテノペは常に自由であり謎めいているということと、彼女の視線は常に現在ではなくて別の時間を向いている、といったようなことです。

パオロ・ソレンティーノ監督とセレステ・ダッラ・ポルタ ©Greg Williams

――ゲイリー・オールドマンとも共演されましたがいかがでしたか?

セレステ:俳優としても映画監督としても偉大な方と一緒に作品をつくれたことは、素晴らしい経験でした。彼が演じた孤独な作家・ジョン・チーヴァーとパルテノペが出会うシーンは、私にとって大きな思い出になっています。

『パルテノペ ナポリの宝石』 ©2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathé Films - Piperfilm Srl @Glanni Fiorito

――衣裳を「サンローラン プロダクション」が手掛けているとのことで、ドレスや水着、スーツなどファッションも素敵でした。特に気に入った衣裳はありますか?

セレステ:すべてサンローランの衣裳でした。私が特に好きだったのは、赤いジャケットにジーンズのコーディネートです。パルテノペが教会に行き枢機卿に会うシーンで着ています。

不安もあるけれど、常に自分自身でいるよう心がけています

『パルテノペ ナポリの宝石』 ©2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathé Films - Piperfilm Srl @Glanni Fiorito

――本作のヒットにより、セレステさんのキャリアは大きな転換期を迎えたと思います。注目されることでストレスもあるかと思いますが、環境の変化にどのように対応されていますか?

セレステ:自分自身でいるように心がけています。幸い家族や友達にも恵まれているのでたいていはうまくいっています。ただ、不安に駆られたり、慣れるまでに時間が必要なこともありますが、自分自身でいる、という意識は常に持つようにしています。

『パルテノペ ナポリの宝石』 ©2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathé Films - Piperfilm Srl @Glanni Fiorito

――現在27歳。これからの目標を教えてください。

セレステ:優れた女優になって多くの作品に出演し、さまざまな役を演じてみたいです。

――最後に、美しい女性とはどのような人だと思いますか?

セレステ:私にとっては、母です。

<PROFILE>
セレステ・ダッラ・ポルタ
1997年、イタリア・ロンバルディア州モンツァ生まれ。イタリア国内のTVシリーズなどに出演。オーディションを経て、本作の主役に抜擢されて銀幕デビューを飾り、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で主演女優賞にノミネート、新人賞を受賞した。

『パルテノペ ナポリの宝石』

1950 年、ナポリの海で生まれた女児はパルテノペと名付けられ、裕福な家庭で何不自由なく育つ。繊細な兄・ライモンドとは深い絆で結ばれ、幼馴染のサンドリーノに想いを寄せられるパルテノペ。男たちを虜にする美貌を持ち、大学では人類学を学ぶなど好奇心旺盛な彼女の未来は希望に満ちていた。しかし、彼女が自らの美しさを自覚して人生を謳歌しはじめたとき、兄は孤独に苛まれていき……。

監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:セレステ・ダッラ・ポルタ、ステファニア・サンドレッリ、ゲイリー・オールドマン、シルヴィオ・オルランド、ルイーザ・ラニエリ、ペッペ・ランツェッタ、イザベラ・フェラーリ、ほか
配給:ギャガ

2025年8月22日(金)より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 他、全国順次公開中

©2024 The Apartment Srl - Numero 10 Srl - Pathé Films - Piperfilm Srl @Glanni Fiorito

構成・文

ライター
中山恵子

中山恵子

ライター。2000年頃から映画雑誌やウェブサイトを中心にコラムやインタビュー記事を執筆。好きな作品は、ラブコメ、ラブストーリー系が多い。趣味は、お菓子作り、海水浴。

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