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「主体性保育」って自由放任てこと?小学校の集団生活で困るって本当?家庭でできる「主体性」の育て方

  • 2025.8.24

こんにちは! 現役保育士のはるです。保育園の見学や、年度はじめの説明会、おたよりなどで、最近「主体性保育」という言葉を耳にするようになったのではないでしょうか。「うちは主体性保育を大事にしています」「主体性保育に取り組んでいます」私が勤める園でも、保育方針としてよくお伝えしている言葉です。「主体性を大切にする保育」という考え方自体は、実はずっと昔から保育の世界にはありました。2008年の「保育所保育指針」の改定でも「主体的な活動」「主体的な生活」という表現が見られるようになり、この頃から、保育園でも「主体性を育む保育」という説明が多くなり、保護者向けにも使われるようになりました。2017年に「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」が改訂され、幼稚園・保育園・こども園の教育目標の共通化が進み、その中で「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として「主体的に行動する力」が明記され、「主体性保育」という表現がより一般的になりました。「主体性保育」が現場で浸透するようになったのはここ10年ほど。私が新卒で保育園に入社した時はほとんど聞いたことがありませんでした。

そもそも主体性保育って何?

主体性保育という言葉を聞いた保護者の方から、「主体性保育って、結局どういう保育なんですか?」「自由に好きなことをさせるってこと?」「なんでもしていいの?」という疑問もよく聞かれます。「主体性保育」という言葉だけが先歩きして、中身についてはあまり説明されていないんですよね。私も主体性保育について学ぶことが増え、「自由」と「主体性」は違うということが理解できましたが、保育現場でもいまだに「主体性保育」の理解をはき違えている場合もあります。・自由って、どこまで自由なの?・やりたいことを全部やらせたら、秩序がなくなっちゃうんじゃないの?・危険なことまで止めずにやらせるの?そんな現場でも出てくる疑問についてまとめてみました!

主体性保育は「自由に何でもやっていい」ではない

まず、一番誤解されやすいのが「主体性保育=自由に何でもやっていい」というイメージです。確かに、子どもたちが自分の好きなことを選べる時間はとても大事です。でも、それは「何をしても許される」という意味では決してありません。主体性保育とは、子どもたちの「やってみたい!」「こうしたい!」という気持ちを大切にしながら、その中でいろんな経験を積み重ねていく保育です。その「やってみたい」を安全で安心な環境の中で実現できるように、大人がしっかりと環境を作る。ここがとても大事なポイントです。

主体性保育で秩序がなくなるのでは?

例えば、子ども同士が同じおもちゃを使いたくてケンカになったとき。ただ自由にさせておくだけでは、トラブルはどんどん大きくなってしまいます。そこで「順番こだよ」と注意するのではなく、まず「どうしたい?」と聞く。この「どうしたい?」「どうすればいいかな?」という問いかけが主体性保育に大切な考えでもあります。「貸してって言いたい」と子どもが答えたら、その言い方を一緒に練習したり、相手の気持ちも聞いてみたり。こうしたやりとりを重ねることで、子どもたちは自分の思いを伝えながら、周りと折り合いをつける力を身につけていくのです。私自身、主体性保育は「自由にさせる保育」というよりも、むしろ保育者の関わり方がすごく大事になる保育だと感じています。もちろん子どもの年齢や発達によって保育士の対応は変わってきますが、大人にしてみれば「順番だよ」「今使ってるって」と言うだけの方がどんなに楽か。子どもの自由を担保しながら、場の秩序を保つ。それがで実現できる保育環境を整えていきたいと日々考えています。

わがままな子を容認するのか

主体性を育むことは、決してわがままを許すこととは違います。とはいえ、主体性保育を長年経験してきた園長はよく「このくらいわがままに自分の意見を言えることって大事だし、言える環境を作ってあげることも大事」とよく話していました。例えば今日は散歩に行く気分ではないときに、周りの子が準備をしているからイヤイヤながら集団の散歩の準備をするのではなく、保育士に「今日は散歩に行かないで、LEGOで遊んでいたい」と言える子を育てること。そして、その気持ちを「共感して受け止め」たうえで、「帰ってきたらLEGOができるように準備をしておこう」「周りの友だちは準備をして待っているからじゃあ早めに帰ってこようか」という、自由にさせるだけではなく、「相手の気持ちもあるんだよ」「こうしたらお互い気持ちがいいね」といったことを、大人が繰り返し伝えていきます。私自身、主体性を育むことでむしろ子どもたちは「人の話を聞く力」や「自分の気持ちをコントロールする力」が育つと感じています。一方的に「こうしなさい」と言われるより、自分で選んだことには責任を持とうとするんですよね。もちろん、言うことを聞かないように見える時期もあります。でもそれは、子どもが自分の考えを持ち始めた成長の証。そこを丁寧に支えていくのが、保育者の役割だと思っています。

変わる幼児教育と変わらない義務教育

保育園では主に主任や年長児の担任の保育士が幼保小連携、幼保小研修と呼ばれる、地域の幼稚園、保育園、小学校の先生が集まってディスカッションしたり講義を聞いたりする機会があります。私も年長児の担任のときや、フリーで幼児クラスに入ることが多いときに、年長児担任と一緒に研修を受ける機会がありました。その際よく小学校側の講師の先生がおっしゃっていたのが、幼児教育で「主体性保育」を導入し、子どもたちの未来のために変わろうとする意欲がある一方で、小学校はまだまだ「主体性」ではなく「一斉」を重んじているという現状です。

主体性保育で育った子の小学校でのギャップ

保育園では子どもが主体で活動することが多くなり、給食の時間も子どもが自ら決めたり、今日行う活動をクラス皆で話し合って決めたり……と何かと子ども同士で会議をしたり考えたりすることが増えてきました。ですが、小学校では一斉授業や集団行動が中心になります。このギャップに戸惑い、小学校になじめないと感じる子どもも実際にいます。また、自分の興味関心に基づいて活動する保育園や幼稚園と、先生の話を聞いて課題に取り組む小学校では、学習スタイルが大きく異なります。だったら主体性保育ではなくて今までの保育で多かった「一斉保育(皆で一緒に保育士が決めた活動をする)」の方が良かったのでは?と思われるかもしれませんが、そうではなく、幼児教育が変化してきたからこそ、義務教育の場が変わる番なのではないかと思っています。

周りの子と折り合いをつける経験

現在小学校3年生の娘が絶賛困っていることの一つが相手への伝え方です。自分の思いを大切にする力は育っていたものの、集団生活ではどう折り合いをつけるか、相手はその言葉にどう感じるのかという点が難点に。家庭でもぜひ「どうしたい?」と聞くだけでなく、「お友だちはどう思うかな?」と問いかける習慣をつけると、小学校での生活に向けてスムーズだと思います。

家庭でできる「主体性」を育てる方法

主体性保育を経験してきた子どもたちは、「自分でやってみたい」「こうしたい」と感じる心がとても豊かです。家庭でできることは、そんな子どもの芽をつぶさず、さらに伸ばすことだと私は思っています。保育園で子どもたちを見ていても、自分の意見を言える子の家庭は、保護者の方が「待ってあげる」という機会が多いように思います。「待つ」って簡単なことに見えて実はとても難しい。保護者にしてみれば「早く帰ってご飯を作って寝かせたい」と思っているのに子どもはゆっくり準備をしている。思わず「早くして!」って言いたくなりますよね。私もその気持ちはよくわかります。

子どもの声を聞く

家庭でできることのひとつが、子どもの声を最後まで聞いてあげること。子どもって話が長くなって、ついつい「ああ。こういうことね」「つまりこう言いたいんでしょ」と親が先まわりしてしまいがちですし、忙しいと「あとでね」「ダメ」と言いたくなることもあるけれど、まずは最後まで聞いて、「そうなんだね」と受け止めてあげるだけでも十分。そして「どうやってやりたいの?」「何が必要かな?」と問いかけてみると、子どもはまた考えるチャンスをもらえます。すぐに助け舟を出すより、少し待ってみることも大切です。

小さな選択を大事にする

また、「どっちの靴を履く?」「ごはんはお茶碗とお皿、どっちに盛りたい?」など、小さな選択肢をたくさん用意してあげるといいと思います。自分で選んだことには、子どもも責任を感じますし、「自分で決められた!」という自信にもつながります。子どものイヤイヤ期の時にも使えるワザでもありますね。

失敗を責めずにどうしたらよいか考える

主体性保育を経験している子ほど、いろんなことにチャレンジしたい気持ちが強いです。当然、失敗もします。そんなとき「だから言ったでしょ!」ではなく、「どうしたらうまくいくかな?」と一緒に考えてあげてほしいなと思います。私もつい「ほら、やっぱり……」と言いそうになるけれど、失敗は大きな学びのチャンスなんですよね。主体性保育という言葉は少し難しく聞こえるかもしれませんが、子どもたちが「自分で考えて、自分で動く力」を育てる保育です。それは、子どもたちが将来どんな道を選ぶとしても、きっと生きるうえでの力になると私は信じています。家庭で気になることがあれば遠慮なく園の先生に声をかけてくださいね。これからも一緒に、子どもたちの「やってみたい!」を大切に育んでいけたらうれしいです。

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