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「ウィンブルドン」へGO!おしゃれさんのテニス観戦ルックに注目【たかまるゆうかの英国スケッチー海外生活で気づいたことー】

  • 2025.8.27

2025年6月にイギリスに渡り、新天地での生活がスタートしたイラストレーター・たかまるゆうかさん。イギリス滞在中に体感した文化や歴史、気になるグルメやスポット、現地マダムのファッション事情などを月に1回のペースでお届けします!

「ウィンブルドン2025」へ参戦

テニスの4大大会といえば、全米オープン、全仏オープン、全豪オープンそしてイギリスが舞台の全英オープン(ウィンブルドン選手権)がありますね。
私は運動の方は全くダメなうえ、基本的にインドアなタイプ。プロのテニスの試合は学生時代に少しだけ見たことがあるくらい。そんな完全なるテニス素人の私ですが、主人の希望により週末にかけて遥々ロンドンまで行くことに……!

7月初旬のとある金曜日、私たちは電車でロンドンへ向かいました。ホテルで一泊してから会場に行くつもりだったのですが、翌朝支度をしていると、「今日はもう入れないかも…」と主人がポツリ。実は私たち、チケットを保有せずにここまで来ていたのです。
とはいえ、当日のチケットが売り切れたから入れない、ということでもありません。ウィンブルドンの一般的な観戦方法は主に2つ。1つ目は「目当ての試合のチケットを購入して観戦する」2つ目は、「Queue(列)に並んで当日販売の自由席のチケットを購入して観戦する」。ちなみに、queue(キュー)とはイギリス英語でlineと同じ『列』という意味です。今回、私たちは2つ目の方法で観戦予定でしたが、この「Queueに並ぶ」という行為が一筋縄では行かない方法でした……。

なぜなら、朝1番で列ができるわけではなく、前日からも待機が可能。ウィンブルドン会場横の待機場所に野宿しながら並ぶことができるのです。そして試合当日の朝に、列の先頭から予告なくQueueカードが配られます。このカードは整理券のような役割で番号が記されており、そこで初めて先頭から何番目なのかが確認できます。
ただ、このQueueカードはゲットしたところで入場が確実に出来るわけでもなく、会場には入場制限がある為、都度入場者数に応じてQueueカードの番号順に順次チケットの購入と入場出来るという仕組み。

ここまでウィンブルドンの観戦方法について書いていきましたが、今回はQueueに並ぶという方法でチケット購入&入場を予定していた私たち。話を元に戻すと、主人はこの日のQueueカードの配布終了の情報をネットで見つけ、「今日はもう入れないかも…」と呟いたわけです。
この日の観戦は絶望的でしたが、ロンドンまで遠路遥々来たため簡単に諦めることはできず……。情報収集も兼ねて、とりあえず現地へ向かってみたところ、待機場所の公園のゲート前のスタッフに「チケットは持っているか?」と聞かれ門前払い。私たちは仕方なく翌日に賭けることにしました。
その後、現場やSNSで出来るだけ最新の情報を探し、朝4時すぎに待機場所に着いた人がお昼ごろに入場できたという内容の情報に辿り着き、翌日の予定が決定しました。結果、朝2時半起床、3時半出発というとんでもない予定に……!

やっとQueueへ! リベンジなるか?

翌日は、早朝? いや、ほぼ夜中の時間帯に起床。まだ真っ暗な時間にホテルをチェックアウトし、タクシーで会場へ。前日にチェックした情報より、早めに到着することができました。
今回は、待機列に並ぶと同時にQueueカードをゲット。ここから長い長い待機時間が始まるのでした。

待機方法は人それぞれで、前日からの野宿組はテントを貼って就寝中。
私たちや周辺の待機勢は主にシートを敷いて早朝ピクニックのような感じ。隣の学生はゼロ装備で芝生に寝そべっていました。
行列に並びつつ、出店のぬるいホットチョコレートを飲んだり、朝ごはんを食べたりしながら過ごしていると7時ごろにスタッフに起こされ、列が徐々に動き始めていきます。
起立して周りを見渡すと、案外みなさん綺麗な格好をしている。さっきまでテントや芝生に転がっていたとは思えないような、ドレスアップした人がちらほら。この姿に、イギリス人のウィンブルドンへの特別な気持ちが垣間見ることができました。
この日、私たちは予定より早くQueueに並ぶことが出来たため、11時ごろにはチケットを購入し遂に会場入り!

ウィンブルドンと夏のファッション

ウィンブルドンといえば白色の「オールホワイト」のウェアの着用が有名ですね。
審判員とボールパーソンのユニフォームを担当するのはラルフローレンですし、ロイヤルファミリーやおしゃれしたセレブの来場なども毎年話題に。以前から、ファッション業界においても大きな意味を持つイベントのような印象がありました。

ここで、印象に残ったウィンブルドンでのファッションをご紹介。

① 大柄の花柄やタイル柄など様々なブルーのドレスやニット素材のシューズ
② ストロベリー&クリーム(ウィンブルドン名物のデザート)のようなレッド×ホワイトの組み合わせ/グリーンのストライプやボーダーのアイテム
③ 様々な小花柄のドレス
④ オールホワイトのスタイル フリルのカットソーやフレアパンツが目立ちました
⑤ シェル柄のアイテム ブラウスやドレスなど夏らしいシェル柄はトレンドのよう
⑥ オールブラック オールホワイトとは真逆のブラックのコーディネートも
⑦ カットワークレース/刺繍のアイテム

「社交の場としてドレスアップして行く場所なんだ!」「おしゃれしてテニス観戦楽しむぞ!」という気持ちがひしひしと伝わるような雰囲気でした。

今月のひとことメモ

今回の一連の体験を通して、選手のプレーはもちろん、会場周辺もウィンブルドン一色。最寄りの駅やQueueの待機列、会場内……すべての場所でウィンブルドンを楽しむ人々の様子が印象的でした。
 
私たちは夕方の列車でロンドンを離れなければならず、トータルで見ると観戦時間よりも待機時間がずっと長かったのですが、なんだかんだ楽しかったです! ウィンブルドン選手権がイギリスで夏の一大イベントといわれている意味が分かった、そんな一日でした。

最後にウィンブルドンを訪れた際に気になったことをご紹介します。
それは、ウィンブルドンの色です。
ウィンブルドンの現在のロゴマークは、日本人デザイナー佐藤忠敏氏によるもので、緑・白・紫の配色は、スタイリッシュでありながら伝統を感じさせるデザインです。前記の通り会場内も同様に緑・白・紫の草花で美しく彩られていました。
佐藤氏はこの色に「芝コートの緑」「白線の白」「伝統を表す紫紺」という意味を込めたそうです。紫は日本では古くから高貴な色とされ、冠位十二階の最高位や、十二単、高僧の袈裟などに用いられてきました。今日の日本でも高貴さや伝統を感じさせる色ですよね。
興味深いことに、イギリスでも16世紀までは紫は王族や上流貴族だけが身に着けられる特別な色でした。世界的に染料が貴重で手間もかかったため、自然と“高貴さ”の象徴となったもよう。遠く離れた日本とイギリスで、紫色に対する共通の感覚があるのはとても興味深いことです。
また、家の近所などを散歩していると夏のイギリスには紫が溢れていることにも気づきました。ラベンダー、ブッドレア、アスター、ブルーベリーなどが、なんでもない道端に咲いているのです。そんな夏の草花の様子から、紫には夏の色のイメージもあるのかな? と感じました。こうして見るとウィンブルドンのロゴマークは正にベストな配色ですよね。とにもかくにも、初めてのウィンブルドン観戦は非常に思い出深い経験となりました。

それでは、また次回の英国スケッチで!

この記事を書いた人

イラストレーター
たかまるゆうか

たかまるゆうか

東京都出身。2020年よりイラストレーターとして活動を開始。日本画の素材や鉛筆の質感などをミックスした画風で、アイボリーの背景に「海外を思わせる空気」をまとったイラストレーションを描く。雑誌、書籍、文房具など様々な媒体で活動中。

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