1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【大阪・関西万博】昭和レトロな公衆電話がポツン…受話器から聞こえてくるのは“感動”だった!「NTTパビリオン」屋外展示に注目

【大阪・関西万博】昭和レトロな公衆電話がポツン…受話器から聞こえてくるのは“感動”だった!「NTTパビリオン」屋外展示に注目

  • 2025.8.22

予約なしで体験できる、心温まる4つの電話機

夜に浮かび上がる電話機。左3台は懐かしい昭和レトロな公衆電話です。思わず近づいてしまうのは、私だけではないはず。
夜に浮かび上がる電話機。左3台は懐かしい昭和レトロな公衆電話です。思わず近づいてしまうのは、私だけではないはず。

大阪・関西万博(以下、万博)の東ゲート近くに建つ、「NTTパビリオン(NTT Pavilion)」。その屋外に、誰でも予約不要で体験できるハートフルな4つの電話機が展示されていることをご存知でしょうか。どんな体験ができるのか? 何のために展示されているのか? 取材しました!

受話器から聞こえてきた、心和む親子の会話

「NTT Pavilion」敷地の一画に設置された、昭和レトロな公衆電話機(左3台)と未来の伝話機(右端)。予約なしで誰でも気軽に体験することができます。
「NTT Pavilion」敷地の一画に設置された、昭和レトロな公衆電話機(左3台)と未来の伝話機(右端)。予約なしで誰でも気軽に体験することができます。

そのハートフルな電話機を知ったのは、丸1日がかりの万博取材を終えた夜20時過ぎ。帰るために東ゲート方面へ歩いていると、暗闇にポツンと浮かぶ公衆電話を発見。

かつて、たばこ店の店先などで見かけた赤い公衆電話。改めて実物を見ると、カワイイ…。
かつて、たばこ店の店先などで見かけた赤い公衆電話。改めて実物を見ると、カワイイ…。

「こんな場所に?」と吸い寄せられるように近づくと、「せかいがきこえる伝話(でんわ)」と書かれています。受話器を耳にあて、ガイダンスに沿って10のタイトルから興味を持った番号(#ハッシュタグ+数字3ケタ)をプッシュ。

100円玉も使用できるタイプとして初登場した黄色の公衆電話機(左)、ポップなカラーが愛らしい小型電話機(右)。どの電話機でも10の物語を日本語または英語で聞くことができます。
100円玉も使用できるタイプとして初登場した黄色の公衆電話機(左)、ポップなカラーが愛らしい小型電話機(右)。どの電話機でも10の物語を日本語または英語で聞くことができます。

私が選んだのは「春」というタイトル。すると、受話器から受験の合格発表の結果を電話で報告する男子学生とお母さんの会話が聞こえてきました。クスッと笑えて、じんわり心が和む、何気ないけれど、いとおしさがあふれた会話。疲れていたはずなのに、なぜか元気が出てきました。そして、私も無性に母親の声を聞きたくなりました。

NTTパビリオン副館長・飯村栄彦さんによると、昭和世代は懐かしさ、令和世代の子どもやZ世代は新しさを感じるツールになっているそう。「携帯電話しか知らない世代には、受話器の重さが衝撃みたいです(笑)。親子や3世代で体験される方も多く、公衆電話のちょっとした思い出を語り継ぐきっかけにもなっているようです」(飯村さん)

触感や鼓動まで伝わる、未来の伝話機

昭和レトロ電話機(左3台)の右隣りには見慣れない装置が…。
昭和レトロ電話機(左3台)の右隣りには見慣れない装置が…。

昭和レトロな3台の電話機のすぐ横には、見慣れないテレビ電話のような展示も。「いのちふれあう伝話」と書かれています。なんと、同じ万博会場内の『いのち動的平衝館』と次世代通信インフラ『IOWN(アイオン)』でつながっていて、声と動画だけではなく、触感や鼓動を伝えあうことができるのです。

次世代情報通信インフラ『IOWN(アイオン)』を用いた、「ふれあう伝話」。私も離れた万博内の『いのち動的平衝館』にいる親子と言葉や笑顔、振動で交流しました!楽しい~!
次世代情報通信インフラ『IOWN(アイオン)』を用いた、「ふれあう伝話」。私も離れた万博内の『いのち動的平衝館』にいる親子と言葉や笑顔、振動で交流しました!楽しい~!

まさに、未来の伝話(でんわ)機!見ず知らずだった人とリアルタイムで笑顔と声を交わし、さらにお互いの手のひらで振動を伝えあう…。それだけで初対面なのに親近感が湧いてくるから不思議です。

パビリオン内部を構成する3つのゾーン

実は、この4つの電話機(伝話機)は、NTTパビリオンのコンセプトである「パラレルトラベル」を「自分ごと」として追体験するための屋外展示でもあるそう。ちなみに、パビリオン内の展示は以下の3つのゾーンに分かれています。

●Zone1(ゾーン1)

手紙などのアナログ的なコミュニケーションから現在のスマートフォンに至るまでの通信の変遷を映像やレプリカ展示で体験。だけど、映像や音だけでは伝えきれない感覚や言葉にならない気持ちってあるよね…。そんなメッセージを感じるゾーンとなっていました。

●Zone2(ゾーン2)

2025年4月2日に万博会場の舞洲と約20km離れた吹田の万博記念公園の電気通信館跡地の特設ステージを『IOWN(アイオン)』でつないだ、世界初の実証実験が行われ、パフォーマーとしてPerfumeが参加しました。そのライブパフォーマンスを完全再現し、来場者が五感で丸ごと体験できるゾーンです。専用の3Dグラスを着用すると、目の前のPerfumeのタップダンスに合わせて、足元の床全体から振動まで伝わってくる臨場感に驚かされました。

●Zone3(ゾーン3)

自分の分身「Another Me」を作って、新しい自分の可能性と出会うゾーン。レントゲン写真のような装置によって自分の3Dデータがスキャンされ、部屋の3面に設置されたスクリーンに来場者全員の「Another Me」が投影されます。やがて、自分の意思とは無関係に笑い、歌い出し、人によってはダンスまで踊り始めます。これが、もうビックリ!

NTTが描く、人と人との想いをつなぐ未来

Zone3(左側)の出口付近に、冒頭の4つの電話(伝話)機が展示され、追体験できる仕掛け。
Zone3(左側)の出口付近に、冒頭の4つの電話(伝話)機が展示され、追体験できる仕掛け。

この3つのゾーンの体験を終えてたどり着く出口付近にあるのが、「せかいがきこえる伝話(公衆電話)」と「いのちふれあう伝話(IOWN通信)」です。「せかいがきこえる伝話(公衆電話)」はZone1の追体験、「いのちふれあう伝話(IWON通信)」はZone2の追体験の役割があるそうです。

「コロナ禍をきっかけにオンライン会議や飲み会が急速に普及し、通信技術とコミュニケーション手段は劇的な変化を遂げました。ですが、便利さを感じる一方で、バーチャルではなくリアルに人と“会いたい” “つながりたい”という普遍的で大切な感情に改めて気付いた人も多いのではないでしょうか。『IOWN』による触感を含めた五感を伝達する3次元的な未来のコミュニケーションを通じて、 “離れていても一緒にいるような感覚”を体感していただきたいと思っています」(飯村さん)

飯村さんによれば、『IOWN』の技術は、エンターテインメントのみならず、医療やスポーツなど幅広い分野で社会実装を目指しているとのこと。実際に、NICU(新生児集中治療室)でのケアが必要な新生児の心音をお母さんに届けたり、入院中の子供たちがスポーツを観戦後に選手とハイタッチするなどの実証実験が進んでいるそうです。

ただ便利に進化するだけではなく、人と人の想いをつなぐ、より深まりのあるツールへ。そんな可能性を知ることができて、あたたかい気持ちに包まれました。将来的には、触感だけなく、体温やにおい、空気感までリアルに共有できる時代が来るのかも知れませんね。

万博で、大切な誰かとの“つながり”を感じて

NTTパビリオンの建物外周にも注目を。ワイヤーにセンサーが設置され、通過したり、触ったりすると音が鳴る仕掛けが!こちらも誰でも予約なしで体験できます。
NTTパビリオンの建物外周にも注目を。ワイヤーにセンサーが設置され、通過したり、触ったりすると音が鳴る仕掛けが!こちらも誰でも予約なしで体験できます。

万博も会期終盤を迎え、季節は人恋しくなる秋へ。「離れた誰かとつながりたい」「大切な気持ちを伝えたい」…。そんな想いを4台の伝話(でんわ)機に触れて、感じてみてはいかがでしょうか。なお、万博会場内の「日本館」と約30km離れた関西国際空港の到着ゲートにも『IOWN』の「ふれあう伝話」が展示され、ハイタッチの共有体験ができるそうですよ。

(野村ゆき)

元記事で読む
の記事をもっとみる