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CHANEL【革新を継ぐということ】シャネル メークアップ クリエイティブ ストゥディオ「コメット コレクティヴ」インタビュー

  • 2025.8.21

シャネルの歴史と繋がる驚きのある製品を届けたい

─── セシル パラヴィナ

【上】フリュイド アンルミネール
【上】フリュイド アンルミネール

ハロー

¥7810/(現在は販売終了)シャネル

セシル パラヴィナは、2025年2月に発表されたコレクション、“カメリア フトゥーラ”を手掛けた。ガブリエル シャネルが愛した花、カメリアの力強さと柔らかさの二面性にインスパイアされたラインナップを誕生させた。
グリーンの光沢を放つピンクニュアンスのリキッドハイライター。

【下】カメリア フトゥーラ

¥11110/(現在は販売終了)シャネル

カメリア模様がエンボスされた3色のチークカラーは、コレクションのアイコニックなパレット。

シャネルへの想い、日本文化へのリスペクト

──コメット コレクティヴを始動して感じた、シャネルの素晴らしさは?

アミィ パリのシャネルにある、アーカイブを収納したパトリモニーを訪れたときに、モダンでありながらタイムレスな魅力を感じました。

セシル 私はそのアーカイブに触れたとき、特に印象を受けたのがパッケージです。たとえば香水の『シャネル N°5』は、ラボにあった瓶をそのまま使ったそうで。装飾性の高いデザインが流行していた1900年代に削ぎ落とされたものを採用したのは革新的だったはずです。

ヴァレンティナ まさに二人が言ったようにアーカイブを観たり、ガブリエル シャネルのことを知れば知るほどブランドのクリエイションの凄さを感じて、尊敬の気持ちが大きくなっています。プロダクトの“色”だけをつくるのではなく、背後にあるストーリー全体をデザインしているんだ、ということがシャネルの美しさなのだと気づかされました。

──プロダクトをつくるうえで心がけていることとは?

アミィ 既存の製品にはないもので、シャネルというブランドと深く共鳴するものをどう形にするか、ということを重要視しています。特に色に関しては、新たな色調を見つけだすことは大きな挑戦でした。歴史を振り返ってみても、色に対する冒険があったと思うんです。メジャーなカラーでなかったとしても、シャネルが発信することで強いメッセージ性が生まれると思っているので。

ヴァレンティナ シャネルのアリュール、つまり魅力とは何かと考えたときに、自分は唯一無二の存在であると認めることだと思うんです。刺激的な赤の使い方やピンキッシュなイエローだったり、20年前にすでに提案しているのを見ると、当時から今のトレンドを予見しているようなアヴァンギャルドさがシャネルらしさなのかな、と。そのDNAを変えることなく、私たち3人の異なる背景や視点を加えて新たなものを生み出していきたいですね。

セシル 新しいものをつくり出すのはリスクも伴いますが、そこからアヴァンギャルドが生まれてくるもの。ガブリエル シャネルの歴史に深くコネクトしつつ、いろいろな可能性を模索しながら、驚きやひねりを加えて製品として提供したいです。

ただ“色”をつくりだすのではなく背後にある物語全体をデザインする

─── ヴァレンティナ リー

【左】ルージュ ココ フラッシュ
【左】ルージュ ココ フラッシュ

サンセット 264

¥6270/シャネル

今年の夏の“レ ベージュ ゴールデン アワー コレクション”は、ヴァレンティナ リーが担当。夏の夜明けと、夕暮れ時だけに訪れるエモーショナルな情景をプロダクトに落とし込んだ。
目元と同様に、ゴールデンアワーの温もりを感じるつややかなリップも登場。

【右】レ ベージュ パレット ルガール

ゴールデン

¥9900/シャネル

太陽を感じるオレンジやコッパー、温かみのあるピンク、きらめくパールが配されたアイパレット。

──ちなみに、日本の美容や女性、文化から影響を受けたことは?

ヴァレンティナ これは私から答えないと(笑)。というのも、私がこの世界に入ったのは浜崎あゆみさんがきっかけなんです。「JEWEL」のMVを観た時に、鳥の羽のような白いまつげとダイヤモンドの瞳を見て、心から感動して大ファンになってしまって、その他のMVもすべてチェックしたほど。子供の頃から漫画にも触れてきたので、日本の影響は大いに受けていますよ!

アミィ 私はバルセロナで生まれ育ったのですが、アニメ文化がとても盛んで、日本のアニメに育てられたといっても過言ではないほど。さらに、メイクアップアーティストの吉田奈未さんとご一緒したときに、モデルを目の前にしてつくり上げていくメイクプロセスから、日本文化特有の感覚というものを感じましたね。

セシル 私も漫画が大好きなのですが、それに加えて日本の歴史からも影響を受けています。江戸時代のメイクアップの手法やお歯黒や眉の描き方、ベニバナでつくった紅のほか、埴輪のような陶器を見ながら美しさとは何か、と思考を巡らせたり。ミュージアムを訪れたりもして、メイクアップする際の大きな参考にしています。

──今後作りたいプロダクトはありますか?

3人 これは3人一緒なのですが、マルチユースなアイテムを作りたいねってよく話しているんです。『ボーム エサンシエル』のような。ひとつのケースに収まっていて、持ち運べて使い勝手のいいものを。ぼかしたり重ねたりしやすく、グロッシーなツヤが長時間続くものを常に作りたいと思っています。

アミィ でも、どれだけ制作に時間がかかったとしても、気楽に手にとって使ってもらえるものにしたいです。

ヴァレンティナ 私は、あとそこに遊び心も追加したいですね。メイクアップは自分を愛することであると同時に、自己表現であり自己探究でもあると思うので。なので、シャネルのプロダクトを楽しんで使ってもらいながら、新しい自分を発見してほしいです。違ったなら、メイクは落とせばいいだけですからね。

セシル そうですね、使うみなさんにとってユニークで特別で、毎日使いながら刺激と気付きのあるものをお届けしたいと思っています。

シャネルというブランドと深く共鳴するプロダクトをどう形にするのかが重要

─── アミィ ドラマ

【上】ジュー ドゥ ルミエール
【上】ジュー ドゥ ルミエール

¥13090/(現在は販売終了)シャネル

2025年春夏コレクションの“MIX MATCH”を手掛けたのは、アミィ ドラマ。その名の通り色と色や同系色で揃える色遊びのほか、マットとサテンのテクスチャーの組み合わせで起こるプレイフルなメイクを提案した。
コレクションのスターアイテム。上質な光沢感を放つ4色のパウダーは、目元や頰、デコルテとマルチに使用可能。

【下】シャネル ルージュ ココ ボーム

チェリー バースト 756

¥5830/シャネル

みずみずしいツヤとカラーが広がるリップクリーム。

──最後に、シャネル製品の中でお気に入りアイテムを教えて下さい。

ヴァレンティナ 『レ ベージュ ヘルシー グロウ クッション』です。パーフェクトな肌に仕立てるための、マストハブなクッションファンデーションです。ポケットに忍ばせて、一日中潤い溢れる滑らかな肌をキープして。

セシル 私は、『ル ルージュ デュオ ウルトラ トゥニュ 174』がおすすめです。デイリーシーンに映えるお気に入りの色で、落ちにくい処方のリップとして日本でも人気ですよね。お直しを気にすることなく、一日中快適に過ごせるのですが、それこそが真のラグジュアリーだと思っています。

アミィ やはり『ボーム エサンシエル スカルプティング』ですね。ナチュラルなツヤを与えてくれる理想的な製品ですが、目元や頰、唇にボディとマルチに使用できるアイテム。いつでもどこでも、量のコントロールもしやすい所も魅力です。

What’s コメット コレクティヴ
What’s コメット コレクティヴ

メイクアップ製品やビジュアルのクリエイションを担うクリエイティブ ユニット。(右から)ヴァレンティナ リー、セシル パラヴィナ、アミィ ドラマの3人が担当している。2022年10月より始動。

撮影/ヤノコージ(STIJL) 取材・文/森山和子

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