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「胸がきゅーってなる」20年前、歌謡史を変えた“平和を問いかけるバラード” 教科書にも採用された“国民的名曲”

  • 2025.9.25

「20年前の冬、あなたはどんな音楽を耳にしていた?」

2005年。街はイルミネーションに彩られ喧騒に包まれていた。しかしその華やかさの裏側で、日本は戦後60年という節目を迎え、「平和」という言葉の重みをあらためてかみしめる年となっていた。そんな時代に、ひとつの歌が人々の祈りを代弁するかのように広がっていった。

SMAP『Triangle』(作詞・作曲:市川喜康)——2005年11月23日発売

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

戦後60年に生まれた“祈りの旋律”

『Triangle』は、SMAPの38枚目のシングル。すでにSMAP『オレンジ』で名バラードを生み出していた市川喜康が作詞・作曲を手がけた。

2001年のアメリカ同時多発テロ、そしてアフガニスタンで続く戦闘の映像を目にした市川は、「音楽で伝えなければ」と強い衝動に駆られたという。自ら歌うことも考えたが、あまりに重く、普遍的なテーマを託すには、国民的な存在であるSMAPこそふさわしいと感じた。そうして生まれたのが『Triangle』だった。

大トリで響いた“未来へのメッセージ”

2005年の大晦日、第56回NHK紅白歌合戦。戦後60年の節目を象徴するように、この年のテーマは「平和」だった。番組の最後を飾ったのはSMAP。選ばれた曲はもちろん『Triangle』。

視聴者が見守る中、5人の声が重なり合って奏でられる「命の尊さ」のメッセージは、歌謡史に残る特別な瞬間となった。華やかなショーとしての紅白の枠を越え、「国民全体で平和を祈る」という時間を共有した舞台。それこそが『Triangle』が果たした役割だった。

教科書に刻まれた“歌の力”

『Triangle』はヒットチャートで30万枚以上を売り上げるだけにとどまらず、その後の評価も高まっていった。2008年には高校の音楽の教科書に採用され、次の世代に歌い継がれる存在となったのである。

音楽は一瞬の流行に終わることも少なくないが、この楽曲は「時代を超えて残すべき歌」として位置づけられた。授業で耳にした世代が、人生の折々でふと思い出す——そんな確かな普遍性を宿している。

ウクライナに重なった“言葉の刃”

そして2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったとき、この歌は再び注目を浴びる。SNSには歌詞の一節が投稿され、多くの人がこの曲に耳を傾け直した。

戦う者も、戦火に巻き込まれる者も、その命の重さに違いはない。『Triangle』は、その当たり前でありながら忘れられがちな真実を、静かな旋律に乗せて訴えかける。

銃口が向けられるのは決して遠い国の出来事ではなく、私たち一人ひとりの心に突きつけられている——そんな強いメッセージも込められている。だからこそ、この曲は再び注目され、世界が揺らぐ今を生きる私たちに鋭い問いを投げかけ続けているのだ

今を生きる私たちへの問いかけ

戦後80年を迎えた今年、『Triangle』はただの懐メロではなく、現在進行形で私たちに「平和とは何か」を問いかける歌だ。

大切な人の顔を思い浮かべること、命の重さを等しく尊ぶこと。 それが、平和を築く最初の一歩なのだろう。

20年前の冬に響いた歌声は、時代を越えて今もなお生き続けている。だからこそ、節目の今年、この曲を耳にしたときには、ぜひ立ち止まって考えてほしい。

「平和とは何か、そして自分にできることは何か」

その問いを胸に刻むことこそ、『Triangle』が私たちに託した最大のメッセージなのだ。

そのメッセージを受け取った今もなお「胸がきゅーってなる」「一番好きな楽曲」「泣けてくる」などの声であふれている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。