1. トップ
  2. 「90年代感が凄い」日本中の胸を射抜いた“読モシンガーの荒削りボイス” 40万枚を売り上げた“未完成な応援歌”

「90年代感が凄い」日本中の胸を射抜いた“読モシンガーの荒削りボイス” 40万枚を売り上げた“未完成な応援歌”

  • 2025.9.10

「30年前の夏、街に響いていた“あの声”を覚えてる?」

1995年。渋谷センター街には厚底ブーツやルーズソックスの女子高生が行き交い、深夜のカラオケボックスには若者たちの歌声が溢れていた。CDショップにはダンスナンバーが並び、街の空気はいつもどこか高揚していた。

そんな熱気の中で、読者モデル出身の女性シンガーが放った一曲が、等身大の輝きで多くのリスナーの胸を射抜いた。

hitomi『GO TO THE TOP』(作詞:hitomi・作曲:小室哲哉)——1995年7月26日発売

扉を開いたタイトルトラック

『GO TO THE TOP』はhitomiにとって4枚目のシングルであり、同年9月に発売された1stアルバム『GO TO THE TOP』の先行シングルでもあった。しかもアルバムの冒頭を飾るタイトル曲。「ここから始まる」という物語の扉を開くように配置され、アルバム全体の世界観を象徴する存在となった。

アレンジは小室哲哉と久保こーじが担当。ギターやリズムを軸にしたシンプルでストレートなサウンドが印象的だ。余計な装飾を排したバンド感のあるトラックは、hitomiの声を前面に押し出す構成になっており、彼女の表現がより鮮明に伝わってくる

等身大の彼女が歌になった瞬間

hitomiは雑誌『Fine』の読者モデルなどで活動したのちに1994年11月に歌手デビュー。クールなビジュアルとカジュアルなファッションセンスで“ギャルカルチャー”から支持を集めた。『GO TO THE TOP』に込められた歌詞は、そんな彼女の等身大の視点から描かれている。

飾らない言葉で“進んでいく強さ”を示すフレーズは、10代から20代へと歩み出す世代のリアリティそのものだった。背伸びをせず、でも堂々と未来へ歩み出す姿勢は、同世代の若いリスナーたちにとって大きな共感となった。

undefined
1999年、109でゲリラライブを行うhitomi (C)SANKEI

荒削りだからこそ伝わる真実味

この楽曲の最大の魅力は、シンプルで力強いビートと、hitomiの真っすぐなボーカルにある。小室サウンドの中では派手な仕掛けが少なく、むしろ“無骨さ”さえ感じるほどの潔さがあった。その中でhitomiの歌声は決して技巧に頼らず、未完成の瑞々しさをそのままぶつけている。

完成された歌唱ではないが、その“荒削りなままのエネルギー”が曲の持つ真実味を高め、聴き手に「自分も前に進める」と思わせる説得力を生み出していた

伝説へとつながるスタートライン

1stアルバム『GO TO THE TOP』は最終的に40万枚を超えるセールスを記録。まだ未知数だったhitomiが、この作品で確実にシーンへと存在感を刻み込んだ。

小室ファミリーがチャートを独占し、音楽シーンが華やかさを極めた時代。その中で『GO TO THE TOP』は、煌びやかなダンスナンバーとは一線を画す“自分自身へのエール”として輝いた。

hitomiの歌詞は決して抽象的ではなく、日常の感覚をそのまま言葉にしたような素直さがある。それが時代の空気に共鳴し、同じ世代の若者たちに“これは自分の歌だ”と感じさせたのだ

あれから30年。『GO TO THE TOP』のフレーズは今聴いても瑞々しく、シンプルな力強さを失っていない。時代を映す鏡であると同時に、世代を超えて響く普遍的なメッセージを持つこの曲は、hitomiのキャリアにおいても特別な意味を持ち続けている。

現に、SNSでは「なんとも90年代。たまんない。」「40過ぎた今も最高な曲」「この曲聴くと当時に戻れる」「90年代感が凄い」「この時代最高だった」など、『GO TO THE TOP』を聴いて当時を懐かしむ声が飛び交っている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。