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36歳シングルファザーが1200人のマチに移住「住み続けられる場所へ」奮闘の今

  • 2025.8.11

全国各地で活躍する「地域おこし協力隊」ですが、任期を終えると、地元を去ってしまうケースが少なくありません。
広島県の元高校教師を迎え入れた、日本海に面した北海道の小さな村が取った、新たな“一手”です。

連載「じぶんごとニュース」

1200人の小さなマチへ

今年4月から北海道で暮らし始めた藤原将智(まさとも)さん36歳。広島県の元高校教師です。

「海があって、すぐ崖があって…海岸段丘といって波によって削られた崖なんです。そんなことを高校で教えていた」

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藤原さんが暮らすのは、日本海に面した北海道の島牧村。
人口は1200人あまり…過疎化が止まりません。
そんな小さな村に移り住み、藤原さんは「地域おこし協力隊」としての活動を始めました。

「山はきれいだし、自然は豊かだけれど、人がいないですよね」

任期後に定住した協力隊は10年で1人だけ…

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“村を素通りしないでほしい…”
そうした願いが名前にこめられた、道の駅『寄ってけ!島牧』。

村が迎え入れた今年度の協力隊は、藤原さんを含め3人です。
外資系の医薬品メーカーで支店長だった59歳の男性に、小学校の校長だった上富良野町出身の60歳の女性と、島牧村が迎え入れた地域おこし協力隊の経歴はさまざまです。

道の駅の客足が収まった午後、藤原さんは、ある場所へ向かいました。

周辺は人の営みが消え、空き家が並んでいます。藤原さんは、自分に続く『地域おこし協力隊』の、生活の拠点を探しています。

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「空き家をリフォームして、リノベーションして、住めるような状態にしないと、次に協力隊が入ってこない…住処がないので」

『地域おこし協力隊』の任期は3年。
その後の定住も見据えた制度です。
ただ島牧村では、10年で6人を迎え入れましたが、定住したのは1人に留まります。

住み続けられるようにするには…次の一手へ

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経済的に自立できる仕事があれば、定住が進むのではないか。
そんな狙いから島牧村は去年の冬、東京に本部を置く事業構想大学院大学との連携を決めました。

4月に島牧村にやってきた3人。
大学などを通じて『地域おこし協力隊』の募集を知り、応募しました。

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藤原さんは夕方、島牧村の保育所まで、息子の地大(ちひろ)くん(5)を迎えに行きます。

シングルファーザーの藤原さん。
元は民宿で、空き家になっていた建物で、2人は暮らしています。

夜、藤原さんは、自宅の居間に置いたパソコンに向かっていました。

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オンラインで向き合う相手は、島牧村が連携を決めた事業構想大学院大学の講師。
藤原さんは2024年、この講師がいる大学に入学しました。

『地域おこし協力隊』の活動を通して“地域おこしの芽”を探し、新たなビジネスにつなげる。
それが藤原さんに課せられた大きな宿題です。

「地域資源って、地元の自分たちで気が付かないケースが多々あるんですよ」

大学の講師は、ビジネスのヒントは日常の“ひらめき”にあると、藤原さんに伝えました。

おいしい!広がる「ひらめき」の種

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ある晩、地元の居酒屋を訪ねた藤原さんと、もう一人の協力隊のメンバー。
ここでも“ひらめき”がありました。

女将が出してくれたのは葉ワサビのしょうゆ漬け。

舌鼓を打ちながら、「これこそ道の駅で出したいよね」なんて話が進みます。

これも“地域おこし”のビジネスにならないか…。何気ない日常に“ひらめき”を探す毎日です。

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島牧村に、初夏を告げる甘えび漁が始まった6月。
道の駅『寄ってけ!島牧』の一角にできたのは事業構想大学院大学のサテライトキャンパスです。

地域おこし協力隊のメンバー3人が集まり、大学から指導教官を迎えて、対面で授業です。3人は宿題として課せられていた「空き家探し」の結果を報告します。

事業構想大学院大学の客員教授、若林伸一さん。
沖縄や新潟の離島などで、新たな観光事業の基盤作りに関わり、地域の活性化を手掛けています。

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「地域おこしの課題は、全国各地でいま、うまくいってないんです。起業するっていっても、カフェかゲストハウスで、2、3年経ったらいなくなるパターン。私が毎月来て“伴走する”というのが、今までの『地域おこし協力隊』にはなかったこと」

この日は、かつて島牧村の人気スポットだった温泉施設にも…。
閉鎖されてすでに20年が経っている施設です。

村の職員がカギを開け、地域おこし協力隊の3人と若林さんは中へ進みます。

日本海が一望できるロケーションに恵まれた場所。

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毎月、こうして”指導役の伴走”を受けながら、経済的に自立できる新たなビジネスの立ち上げを目指します。

若林さんは「まずは観光客1万人」と目標を掲げます。

「1万人の観光客があれば、1億円が入るので。この地域には課題がたくさんあるので、これが裏返せば「可能性」になるので」

任期の後にも定住するには

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地域おこし協力隊の活動を始めて2カ月あまり。
3年の任期を終えた後、島牧村に根をおろしてくれるかどうか。
村の期待を背負いながら、3人の活動は続きます。

地域のチカラとなってくれる『地域おこし協力隊』ですが、島牧村では任期後の定住者は、10年で1人という厳しい現実があります。

残る選択をしない理由はどこにあるのか。
自治体のサポートなのか、どういう体制が、任期後にあるのかをしっかり把握し分析することも必要なのかもしれません。

『地域おこし協力隊』の任期を終えた後、唯一、島牧村に定住して、現在、農業を営んでいる丸山倫徳(とものり)さんに、自身の体験として話を聞くことができました。

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「3年の任期後、1人でどうにかすることには限界がある」
「地域おこしで結果を出すより、任期の後、どういう形で定住するか考えた方がいい」と話していました。

大学との連携で“伴走役”が付くという、全国初の取り組みも注目です。

自治体側はそもそも協力隊に何をしてもらいたいのか、そして協力隊は何をしたいのか。
今までは手探りだった状態に、伴走役の方がつくことで、いろいろなアドバイスにもつながっていくことは成果につながりそうです。

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島牧村の地域おこし協力隊で、大学院の2年生でもある藤原さんですが、こんなことを6月14日に企画していました。

初めて企画したというのが「魚の詰め放題」です。

発泡スチロールにホッケやヤナギノマイなど約15匹を詰めることができて、価格は1500円。
こちらも、課題として取り組んだ試みでしたが、地元の人たちで大賑わいでした!

市場には出てこないような「未利用魚」を活用してまさに資源保護にも繋がるこの取り組み。

7月にも夏祭りを企画して、地元の魚や野菜の販売も行いました。

藤原さんは2026年の3月までに、指導教官の指導を受けながら村に定住するため、村の観光資源を活用した事業計画をまとめることになります。
大変だと思いますが、結果を出してほしいなと思います。

連載「じぶんごとニュース」

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年6月20日)の情報に基づきます。

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