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【東京】ルレ・エ・シャトー加盟ホテルの名店「LʼOrangerie 光庵」で味わう四季折々のビストロノミー

  • 2025.8.15

ルレ・エ・シャトーの美食に触れる「LʼOrangerie 光庵」

世界で約580軒のみが加盟を許される「ルレ・エ・シャトー」は、格式や華やかさだけでなく、地域文化への敬意や心のつながり、環境への配慮、そして卓越した美食とおもてなしを基準に厳選された、最高峰のホテル・レストランの国際組織です。日本国内ではわずか21軒の加盟施設があり、そのうち13軒がホテル、8軒がレストランに限られています。ホテルとしては東京で唯一「ザ・キタノホテル東京」がこの名誉ある組織に加盟し、国内外から高い評価を受けています。

その「ザ・キタノホテル東京」のメインダイニングである「LʼOrangerie 光庵(オランジュリー こうあん)」は、まさにルレ・エ・シャトーの理念を体現した場所です。ビストロノミーでありながらアラカルトも頼めるカジュアルさを備えるスタイルが特徴で、フレンチの技術を基盤にしつつも、身体に優しい料理を追求し、季節の食材を繊細に調理しています。料理長の加茂 健氏は、フランス農事功労章シュヴァリエを受章し、スイスやカンボジアでの豊富な経験を経て、広島の食文化を生かした料理を追求しています。彼の料理は、正統的な技術と日本ならではの繊細な美意識を融合させ、訪れるゲストに心身ともに満たされる体験を提供しています。

今回は、そんな「LʼOrangerie 光庵」で特別な記念日を過ごしてきました。都会の喧騒を離れ、記憶に残るひとときを過ごせる唯一無二のレストラン体験を、たっぷりとご紹介します!

灯りと木の温もりに包まれて。心をほどくインテリア

店名の「LʼOrangerie 光庵」の“オランジュリー”とは、フランス語で「ガラス張りの温室」を意味する言葉。その名にふさわしく、店内には穏やかな光と自然の気配が満ち、都心とは思えない静謐な時間が流れています。和の美意識とフランス料理のエスプリが交差するこの場所では、日本の四季や文化を繊細に映したコース料理が楽しめます。

「LʼOrangerie 光庵」のディナータイムの空間は、昼とはまた異なる静かな気品を纏い始めます。柔らかな間接照明が天井や壁をほんのり照らし出し、席に着いた瞬間から、心がすっと落ち着いていくのがわかります。都会の中心にいることを忘れてしまうほど、静寂と穏やかな光に包まれた空間です。

インテリアには、上質な木材が惜しみなく使われており、木のぬくもりが空間全体をやさしく包み込みます。ベージュやイエロー、淡い浅葱色を基調とした色使いが、キャンドルのように控えめな照明と絶妙に調和していて、ゲストの表情やお皿の上の料理が一層美しく引き立ちます。テーブル同士の間隔もゆったりと設計されており、ほどよい距離感が保たれているので、どの席にいても自然と声のトーンが落ち着いてくるような心地よさがあります。

ディナータイムには、特別な日を過ごすパートナー同士や、しっとりと語り合う大人のゲストが多く、空間全体に穏やかな緊張感と心地よい高揚感が漂っています。少人数向けの個室もあり、プライベートな時間を重視したい方にはぴったり。スタッフの立ち居振る舞いも静かで丁寧。料理を運ぶ所作一つひとつが美しく、この空間の格式をそっと支えています。

夜の「LʼOrangerie 光庵」は、喧騒から切り離されたような静寂の中で、大切な人とただ一緒にいる時間の尊さを思い出させてくれる場所。目の前に運ばれてくる一皿一皿に気持ちを集中しながら、感性をほどいていく――そんな、大人のための特別な時間が流れています。

東南の角に位置するダイニングは、昼間は自然光に満ちた明るさがありますが、夜はそのガラス張りの設計が、外の静けさとともに優しい余白をもたらします。窓の向こうに揺れる木々の緑が、夜風にそっとたなびき、まるで時間の流れまで緩やかになったように感じられます。

なかでも印象的なのが、ボックスのソファ席。やわらかなクッションと包み込まれるような背もたれが特徴のこの席は、特別感のある空間をつくり出してくれます。周囲との視線がさりげなく遮られていて、まるで静かに浮かぶ小舟のよう。ゆったりとくつろぎながらも、食事のひとときを凛とした空気の中で過ごすことができ、記念日ディナーにはまさに理想的です。

「Kitano Finds Japan」第1弾コース

2025年4月1日から5月31日までの期間限定で提供されていた「Kitano Finds Japan」第1弾コースでは、広島県産の食材をふんだんに用いた特別メニューが展開されました。今回はそのコースを実際に味わってきました。地元の恵みを最大限に活かした一皿一皿が、料理長・加茂健氏の確かな技術によって美しく仕上げられています。

そんなコースでは、料理全体を通してまるで広島を訪れたかのような豊かな味わいと感覚を味わうことができました。このコースは、料理長の視点と技術で地域の魅力を伝える特別なディナー体験として提供されています...!

また、「LʼOrangerie 光庵」で大切にしているのは、訪れる人が自分のペースでリラックスでき、自分の要望が叶う空間であることだそう。高級なシャンパンを開けて盛り上がるスタイルもあると思いますが、どちらかというと"ゆったり過ごせる居心地の良さ"を重視しているのだとか。

東京には美味しいお店がたくさんある中で、旅で疲れて外に出られない時や体調が優れない時にも安心して利用できる「身体に優しいフレンチ」を提供したいと考えたんだそう。コース料理だけでなく、アラカルトも必ず用意し、リゾット一品だけでも気軽に楽しめるスタイルにしています。工夫を凝らした料理で、食後も翌日も胃もたれしないことが特徴です。

このように、加茂シェフの“医食同源”の精神に基づいた料理は、広島の食材の力強さと繊細さを余すことなく表現しており、身体に優しく、心に響く味わいが印象的です。また、ビストロノミーの形式を採用しているため、コース料理とアラカルトの自由な組み合わせが可能で、ノンアルコールペアリング対応も充実しています。大人の記念日や特別なひとときに最適な、上質な空間と料理が揃っていることも魅力の一つです。

ヴィシソワーズ 自家製ピクルス 焼きナスドーム

ディナーの最初に運ばれてきたのは、見た目にも美しい華やかなアミューズ。特に印象的だったのは、丸くぽてっとしたフォルムが愛らしい「焼きナスドーム」です。タルト生地の上に乗ったムースはなめらかな食感で、口に含むと優しく香ばしさと深い味わいが広がり、見た目とのギャップに驚かされ、一度で二度楽しめる一品でした。
まさに「LʼOrangerie 光庵」らしい、日本とフランスの繊細な美意識が見事に融合したアミューズは、これから始まるコースへの期待感を高める唯一無二の一皿でした。

山菜ベニエ トルテリーニ レモンタイムオイル

次に運ばれてきたのは、春の香りを感じる「山菜ベニエ トルテリーニ レモンタイムオイル」。ふんわりと揚げられた山菜のベニエは驚くほど軽やかな食感で、口に入れるとサクッとほどけ、中から山菜特有のほろ苦さが顔を出します。中でも、上にちょこんと乗っている、くるんとした見た目が特徴的な「ルイ」は特に印象的で、シャキッとした歯ごたえと香りがアクセントになっていました。

お皿の中央に添えられているのは、パスタの一種・トルテリーニ。黄色がかった生地は、まるで小さな帽子のような可愛らしい形をしていて、なかにはなめらかなリコッタチーズが包まれています。ラビオリのように一度包んでから、くるりと巻かれたこの手の込んだ仕上がりに、思わず目を奪われました。

全体をまとめるのが、レモンタイムを使った爽やかな香草オイル。一口ごとに鼻に抜けるさっぱりとした香りが、山菜の持つほろ苦さやチーズのコクと見事に調和していて、余韻までも心地よく感じられます。
和の山菜とイタリアンのトルテリーニが絶妙に調和し、繊細でありながら力強い味わい。まさに「LʼOrangerie 光庵」らしい、季節感あふれる一皿でした。

金目鯛 春野菜 ノイリーソース

続いて登場した魚料理は、「金目鯛 春野菜 ノイリーソース」。分厚い金目鯛は“バプール”という蒸し調理法で仕上げられており、ふんわりと柔らかく、上品な旨味が口の中に広がります。絶妙な火入れによって、金目鯛本来の繊細な味わいが引き出されており、そのしっとりとした質感も魅力のひとつ。

添えられているのは、春を感じさせる人参などの彩り豊かな野菜たち。旬の野菜の甘みと食感が、魚の味わいをより一層引き立てます。そして味の決め手となるのが、ベルモット(香草やスパイスを加えたワイン)をベースにしたノイリーソース。ほのかに苦みを感じるこのソースは、深いコクと香りがあり、金目鯛と春野菜を優しく包み込みます。

尾道産 春猪(うまず) グリーンアスパラガス にらソース

メインディッシュとして登場したのは、「尾道産 春猪(うまず) グリーンアスパラガス にらソース」。この一皿には、広島・尾道の山々で採れる貴重な“春猪”が使われています。冬を越えたメスの猪は、栄養をしっかり蓄えていて、脂と赤身のバランスが絶妙。さらに驚くべきはその狩猟方法で、罠などを使わず、紀州犬を連れて山に入り、一対一で丁寧に向き合いながら仕留めるという、非常に自然で誠実な手法が取られているのだそう。

提供される猪肉は、猟の名人・村上さんによってその個体に最適な熟成を施され、驚くほどくさみがなく、しっとりとやわらか。脂身にはまろやかな甘みがあり、赤身には山の生命力を感じるような深い味わいが。正直、ジビエという言葉から想像する“野性味”とはまったく異なり、洗練された上品さに包まれています。ナイフを入れるたびに肉の繊維がほろりと崩れ、口に運べば、力強くも穏やかな旨みがじんわりと広がる……。そしてとにかく香ばしくジューシー。忘れられない味になりました。

添えられているのは、村上さんのご家族が同じ尾道で育てているというグリーンアスパラガス。太くて力強く、噛むたびにみずみずしい香りが弾け、まさに春の到来を感じさせてくれます。また、ほくほくとしたジャガイモのニョッキを揚げたもの、香り高い春ニラのソースが猪肉と美しく調和し、野趣と繊細さが共存する一皿に仕上がっていました。

「ジビエって、こんなにやさしく、きれいな味なんだ」と、驚きと感動が何度も押し寄せてきます。料理の背景を知ることで、味の奥行きがさらに深まる。素材の命をまっすぐに受けとめ、それを料理というかたちで伝える「LʼOrangerie 光庵」ならではの姿勢が、ひしひしと伝わってくるお料理でした...!

デザート:ミキ

コースの終盤、お口直しとして登場したのは、「ミキ」を使った一品。ミキとは、奄美大島など南西諸島で親しまれている伝統的な発酵飲料で、柔らかく炊いたお米にサツマイモを合わせ、自然発酵させてつくられます。ほんのり甘く、やさしい酸味を感じるその味わいは、まるで乳酸菌飲料のようでもあり、身体の内側から静かに整えてくれるような、穏やかなおいしさ。

その上にそっと添えられているのは、豆乳でつくった自家製アイスクリーム。クセがなく、なめらかな口あたりが印象的で、ミキのやわらかな甘さと溶け合います。さらに驚いたのが、トッピングとして振りかけられたカンボジア産の完熟胡椒。ぱらりと散らされたそれは、一粒ひと粒がふくよかな香りとスパイシーさを持ち、口に含むたびにふわっと立ちのぼる芳香が、アイスやミキの甘みをきりっと引き締めてくれます。

甘さ、香り、発酵のやさしさ……まるで小さなデザートのように楽しませてくれる、秀逸なお口直し。コースの流れにそっと寄り添いながらも、しっかりと記憶に残る、そんな存在感のある一品でした。

デザート:びわのコンポート

デザートには、季節を感じさせる「びわのコンポート」が登場しました。つややかに仕上げられたびわの果肉はやわらかくもサクッとした食感があり、ひと口食べると、ふんわりとした甘みとともに、初夏の涼やかな香りが広がります。

中にはクリーミーなチーズが忍ばせてあり、この組み合わせが絶妙。果実の爽やかさにまろやかなコクが加わり、まるでチーズケーキを果物で包み込んだような贅沢な味わいです。

添えられたアイスクリームもまた秀逸で、ひんやりとなめらかな口どけと、やさしい甘さが、コンポートと絶妙にマッチ。季節の果物を主役にした、シンプルながらも記憶に残る一皿でした。

ミニャルディーズ:バトンミント ダックワーズ オリーブ バタースコッチ

コースの余韻を優しく締めくくってくれたのは、3種のミニャルディーズ。それぞれに個性があり、最後までシェフのこだわりが光ります。

まず「バトンミント」は、すっと抜けるようなミントの爽やかさが印象的。シャリっと軽やかな食感で、リフレッシュ感のある後味が心地よく、口直しにもぴったりでした。

「ダックワーズ オリーブ」は、ナッティで香ばしい生地の中に、オリーブの塩気とホワイトチョコレートのまろやかさが絶妙にサンドされた、大人のためのひと口菓子。オリーブの旨みとコクがアクセントになっています。

そして「バタースコッチ」は、コクのある濃厚なバタースコッチの中にピスタチオが忍ばせてあり、香ばしさとまろやかさが見事に調和。ひと口で満足感が広がり、思わず目を閉じてしまうような美味しさでした。

最後のひと皿まで、物語のある一口一口。五感すべてで楽しませてくれる「L’Orangerie 光庵」のディナーは、まさに特別な時間を彩るコースでした。

最後のひと口まで、美意識に包まれて

「LʼOrangerie 光庵」でのディナーは、一品ごとに丁寧な仕事と優しい味わいを感じられる、心あたたまる時間でした。日本の食材とフランスの伝統が自然に溶け合い、口にするたびに驚きと幸せが広がります。

特に、希少なジビエや春の野菜など、素材の背景にある物語まで想像しながら味わうひと皿は、まさに唯一無二の体験。見た目の美しさもさることながら、味の奥深さに感動しました。

最後のデザートまで、心を込めた繊細な料理が続き、食べ終えた後も心に残る余韻がやさしく広がります。次に訪れるときは、どんな新しい発見があるのかと、今から楽しみで仕方ありません。「LʼOrangerie 光庵」は、日常の中で特別な時間を過ごしたい方にぜひおすすめしたい場所です。

<オランジュリー光庵>
営業時間:
ランチ 12:00-15:00(L.O.13:30)
ディナー 18:00-22:00(L.O.21:00)
定休日 :日曜日、月曜日、火曜日のディナー
お電話 :03-6261-1351(オランジュリー光庵 直通)
Web予約:https://www.tablecheck.com/ja/lorangerie/reserve/message

<ザ・キタノホテル東京>
住所:東京都千代田区平河町2丁目16-15
電話番号:03-3288-0015
アクセス:東京メトロ有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」4番出口から徒歩約1分
総客室数:70室
チェックイン:15:00(最終チェックイン24:00)
チェックアウト:11:00

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