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コンビニなのにレコードがバカ売れ中? 浜町で話題の“レコードコンビニ”が世界中から注目されるワケ

  • 2025.8.10

いまだ下町の空気感が残る街、日本橋・浜町。そこには「夜こそ人が集まる」という珍しいコンビニがあります。店先の看板には「レコードコンビニ」の文字。レコードとコンビニというギャップしかない組み合わせに今、浜町どころか世界中が注目しているようで……?

ただのコンビニじゃない!音楽と人が交わる奇跡の空間「レコードコンビニ」って?

東京は日本橋・浜町。浜町公園と隅田川にかかる新大橋の近くに、一見すると普通のコンビニ「ヤマザキショップ」があります。しかしその店先には、通常なら雑誌棚が置かれている場所に、なぜかレコードが並んでいるのです。

ヤマザキショップ上総屋、またの名を「レコードコンビニ」。店長を務める進藤さんは、このお店の3代目です。

進藤 祖父が千葉県上総にあった酒蔵を東京に進出させ、浜町で「上総屋酒店」として創業したのが始まりでした。その後、父親の代を経て、1999年にコンビニエンスストア「ヤマザキショップ上総屋店」として改装され、僕が3代目店長に就任しました。

最初は普通のコンビニだったヤマザキショップ上総屋は、進藤さんの「小さな好奇心」から、その後思わぬ方向に進化を遂げていきます。

進藤 実は僕は、10代の頃から趣味でレコードを集める音楽愛好家でした。最初は店を継ぐつもりはなくて、音楽バーでバーテンダーとして働いていました。時々家業も手伝っていたのですが、店内で流れる有線に物足りなさを感じ、自分のレコードをかけるようになりました。店内にレコードの音が流れ始めると、それにつられてレコード好きのお客さんが集まるようになり、自然とレコード談義に花が咲くようになりました。

たしかに、店内でレコードが流れているコンビニなんて聞いたことがありません。店外から見えるイートインコーナーの目隠しとしてレコードジャケットを飾ったところ、ユニークなコンセプトが話題を呼び、レコードジャケットを肴に酒を飲むという、ヤマザキショップ上総屋ならではの角打ちスタイルが確立しました。いつの間にか“レコード好きが集まるコンビニ”になったヤマザキショップ上総屋は、その後も新しい取り組みを続けていきます。

進藤 レコードをかけ始めたことで、商店街の人たちからも注目されるようになりました。そこで、せっかくだから何かしてみようと、地下の在庫置き場を改装して、フリーマーケットを開いたりするようになりました。そこで僕が出品したレコードが予想以上に売れたことがきっかけで、レコードを売ってみたいという欲がジワジワ湧いてきました。

2017年には、レコード販売のために古物商の免許を取得した進藤さんは、レコードコンビニとしての本格的な活動をスタートします。

進藤 店内奥には本格的なDJブースが併設されており、週末にはほぼ毎週DJイベントが開催されています。某有名アーティストのDJイベントで100人以上を集めたこともあって、最近は海外の観光客の方々の来店もかなり増えてきました。店を飛び出しての活動も活発で、銭湯で音楽イベントを行ったり、イベントにレコードショップとして参加したりもしています。

しかも、進藤さんやその仲間たちの「レコード好き」を増やしたいという思いから、地下で定期的にDJ教室も開催しているのだそう。CDJ教室やレコードDJ教室、スクラッチ教室など、1回きりでも気軽に受講できるのがレコードコンビニならではの特徴です。

若者もレコードにハマる、今らしい理由

進藤 DJイベントや教室には、近所のレコード好きだけじゃなく、若い方も来てくれています。僕も若い頃からレコード界隈に顔を出していますが、最近は若年化が進んでいる印象です

イベントやショップを訪れるお客さんには、レコードの全盛期に生まれていない高校生や、20代前半くらいの世代も多いそう。レコードは若い世代にとって、どんな魅力があるのかを聞いてみました。

進藤 現代は、サブスクリプションで音楽を聞くことが当たり前。音楽が手軽に聴ける時代になった一方で、若い世代からは『アナログなものとして持っておきたい』というニーズが高まっていますね。レコードジャケットの大きさも魅力の一つで、コレクションとして飾って所有欲を満たす目的で購入する人も多いです。中にはプレイヤーを持っていなくても、ダウンロードコードが付いているため、デジタルの音源は持ちつつ、物理的なレコードを所有する人もいるほどです。

それだけではなく、“ディグる”楽しさに宝探しのような体験を求めている人もいます。 安価で見つけられたときの喜びも格別ですし、インターネットで簡単に相場で買える時代だからこそ、リアル店舗での偶発的な出会いや発見が価値を持っていると思います。それになんと言っても、アナログならではの音の良さや音の鳴り方に、知らない時代の温かさを感じるという若い子もいます。

レコード店では、店主や店員、他のお客さんとのコミュニケーションが生まれます。好きな音楽の話で盛り上がったり、知識がない人でも店員におすすめのレコードを選んでもらったりと、人との繋がりを通じて新たな音楽やジャンルに出会えることも大きな魅力です。レコードコンビニも、若者が気軽に入りやすいレコード店の一つ。昔のレコード店のような敷居の高さはなく、気軽に話せる雰囲気の店が増えていることも、若者が入りやすい理由、と進藤さん。

進藤 デジタル音源とは異なる、レコードならではの音の温かさは、一度その音を体験すると“人生が変わった”と感じる人もいるほどです。デジタルが主流の現代だからこそ、アナログならではの音質が改めて評価されていると思いますね。

安価に売るのは「レコードをもっと身近に感じてもらいたいから」

コンビニでの接客やイベントを通して「これから時代をつくっていく若年層にもレコードの魅力を届けていきたい」と語る進藤さん。コンビニに置いてあるレコードの多くは、進藤さんがレコードのほうがCDよりも安かった時代に、二束三文の価格で買い集めたというコレクションの一部なんだとか。安価で大量に仕入れられた過去のストックがあるため、手頃な価格で提供することが可能となっています。

進藤 レコードコンビニのコンセプトは、お手頃なレコードと、コンビニ商品を一緒に買ってもらうような手軽さを提供することです。そのため、非常に高価なレコードは店頭には置かず、必要であればECサイトやオークションに出すなどして、意図的に高値のレコードを避けるようにしています。レコードコンビニでは、1枚100円からレコードが購入可能です。有名な曲や昔のアイドルのレコードなども、場合によっては相場より安く展開していて、時々お客さんから突っ込まれることも(笑)。コンビニとしても、レコード屋としても真っ直ぐとは言えない商売の仕方をしていますが、この活動をきっかけに、レコードを聞いてみようと思える人がもっと増えたら、本望です。

店頭では、奥のDJブースを利用してレコードの視聴も可能。あなたもぜひ、店内でお弁当を食べがてら、お気に入りのレコードを探しに行ってみては?

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