1. トップ
  2. 恋愛
  3. ドラマ『愛の、がっこう。』や『ちはやふる ーめぐりー』にも出演!俳優・坂口涼太郎「自分のコンプレックスが、自分の魅力だったりするんです」<前編>

ドラマ『愛の、がっこう。』や『ちはやふる ーめぐりー』にも出演!俳優・坂口涼太郎「自分のコンプレックスが、自分の魅力だったりするんです」<前編>

  • 2025.8.5

後編はこちら! → 【坂口涼太郎】ドラマ『愛の、がっこう。』出演中!「ラウール(SnowMan)さんとは、表現者として通じる部分を感じていました」

「失敗や恥を面白く書いて、励ますようなエッセイを書きたかった」

──エッセイを書いてみようと思ったきっかけを教えてください。

「2年前くらいかな。ミモレさんのインタビューを受けたときに、編集の方から『文章を書いてみませんか?』って言っていただいて、ミモレさんで毎週連載として文章を書かせていただくことになったんです。それまで文章をメインとする仕事はしたことがなかったのですが、私自身、昔からいろんな方のエッセイを読むのは大好きで。こんなにすごい人でも悩んだりするんだってわかるとすごく励まされたし、慰められたという経験があったので、自分も書いてみたいなって思ってはじめたんです。今回のエッセイでは、その連載で書かせていただいた内容と、新しく書き下ろした話でまとめています」

──どのようなことをテーマに書かれたのですか?

「成功談よりも、失敗したことや恥ずかしかったことをいかに面白く書けるか、というのが連載当時からわりとテーマでありまして、誰にも言えないようなことを打ち明けるような気持ちで書きました。誰でも、失敗したり躓くことってあると思うんですけど、それを聞く機会ってあんまりないなぁと思ったんです。だから、週刊誌の記者になったつもりで、坂口涼太郎という人物の、子供の頃の失敗や、恥みたいなものを報道する精神で書きましたね」

──『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』というタイトルも印象的ですが、どんな想いが込められているのでしょうか?

「みんな日々生活をしていて、それ自体がとってもすごいことだと思うんです。その生活しているということは同じだけど、それぞれその生活の中でいろいろなことが起こるじゃないですか。私の場合はこうなんですけど、皆さんはどうですか?って聞くような、その日の面白かったことや不思議なものを、チャブ台の前でお茶を飲みながら振り返られるようなものにしたいなぁと思ってこのタイトルをつけました。失敗をしたり、恥ずかしいこともたくさんあるけど、考えてもしょうがないし、とりあえず踊っとこうか、みたいな意味も込めています」

「諦める=明らかにする。ラメ活ではみんな自分の色を出してほしい」

──今回発売されるエッセイは、坂口さんにとって「あきらめの記録」だとお話しされていると伺ったのですが、どのような意味でしょうか?

「いろいろなことを諦めるエピソードが入っているのですが、僕自身、“他人と自分を比べること”や、“誰かのようになりたいと願うこと”、そういうことを少しずつ諦めてきたような気がするんです。仏教の世界でもそうなのですが、“諦める”ということは、“やめる”ことではなく、物事の真意を明らかにする、という意味があるんですね。自分は自分の色に合ったことをやっていくということが諦めるという行為。使い方によっては、ストップして投げ出してしまうみたいなイメージがあるんですけど、他者と自分って違うじゃないですか。やっぱり、その人自身に合ったものが魅力的に見えるし、でもその人と同じことをしたからといって果たして理想に近づけるのかっていうと、必ずしもそうではない。だから、諦めるということは、自分の色を知って、自分の色を出していくことなのかなって思うんです。そういう考えを、総じて本の中でも書いています」

──昔からそのような考えを持っていたのですか?

「全然。昔はモーニング娘。に本気で入りたいと思っていたくらいですから(笑)。今考えたら無謀だし、なれるわけがないんですよ。でもそこでね、きちんと諦めたから今がある。きっと何十年もモー娘。修行みたいなことをやっていても、多分報われないと思うんです。新しい道が開けるかもしれないけど(笑)。そこで自分が幸せになれるかといったら自信はないので。

鏡に映る自分を見て、「自分はこの中に入れないな」と明らかになって諦められたわけで、だから今ここに辿り着けている。そういう小さい諦めの積み重ねで、自分の色を知ることができたんだと思います。

私、“諦めて明らかにする”ことをラメ活って呼んでいるんです。諦めて明らかにして、あのキラキラした今を積み重ねていけるようにラメ活していこうって提唱しているんです。

──諦めることでマイナスにならずに、自分の魅力を出せる方向にシフトできるのがとっても素敵だなと思います。

「鏡を見るのも嫌な時期もあったけど、“この容姿で生まれてきたんだから、これでどうやって生きていくかを考えよう!”ってある時から思えるようになったんですよ。肉体とか精神とか性格を活用して生かしていかないと、せっかく生まれてきたのに勿体無いじゃないですか。

そのためには、自分の顔の筋肉をこう動かしてみようとか、こうやって笑ったらアンジェリーナ・ジョリーに見える角度があるんじゃないか?とか(笑)、そういう錯覚みたいなものがだんだん起きてくるんですよ。そこで小さい理想に近づいているような感じがして、自分を見つめることができるようになったんですよね。勘違いでもいいんですよ。自分のことってものすごく細かく見て考えちゃうけど、友達や他者に対しては、「めっちゃいいやん」っていうじゃないですか。それを自分にやってあげることが大切だと思うんです。

この世界にはいろいろな体、顔、性格があるし、渋谷駅とか新宿駅とかで人混みを見ていると、“魚卵のようにたくさんある顔の中の一つなんだよな”とかって思うんですよね。ちょっと深刻になりすぎている感じがするので、誰かと比べて、こうだったら幸せなのにと思うよりかは、この容姿でこう生きていく!って思いたい。

自分の持ち味って何?ってわからなくなることもあると思うんですけど、自分のコンプレックスみたいなものが自分の強みだったりする場合もあるから、鏡を見て自分を受け入れてあげる。“いいじゃん、いいじゃん。今日も可愛いよ”って心の中で思ってあげることで、自分の色がわかってくるんじゃないかなと思います」

PROFILE
坂口涼太郎(さかぐち・りょうたろう)

1990年8月15日生まれ、兵庫県出身。連続テレビ小説『おちょやん』(’20)、『らんまん』(’23)、映画『ちはやふる』シリーズ(’16、18)、ドラマ『罠の戦争』(’23)など話題作に多数出演。俳優のほか、ダンサー兼振付師、シンガーソングライターなど活動は多岐にわたる。独創的なファッションやメイクでも話題に。

『今日も、ちゃ舞台の上でおどる』

Amazonで購入する

著:坂口涼太郎/講談社

俳優・坂口涼太郎が日々のあれこれを綴る『ミモレ』の人気エッセイ連載が、ついに書籍化! 働き方、家事、人間関係、美容、ファッション、社会問題など豊富なテーマで、「あたりまえの日常こそが人生の舞台だ」というお涼さんのポリシーに沿った内容をまとめている。いろんなことがあるけれど、明日もなんとかがんばろう。読めばきっとそう思える一冊。

2025年8月4日(月)発売

撮影/楠本隆貴 構成・取材・文/高橋夏実(Spacy72)

元記事で読む
の記事をもっとみる