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【柏駅】日本画『福永明子展LIVE LIFE』絵を描くことは生きること@パレット柏市民ギャラリー

  • 2025.7.30

こんにちは、柏 おどりです。 日本画家の福永明子先生がこの夏、パレット柏市民ギャラリーにて個展を開催されます。 作品数は80点以上、こども時代の絵や漫画家時代の原稿などもお蔵出しされるので必見です!

福永先生の画業人生の半生を振り返るというこの個展、時系列は若干前後しているところもありますが、今回はわたし柏 おどりが、先生の画業をピックアップでご紹介&先生の生の声をお届けいたします!

出典:リビングかしわWeb

日本画 福永明子展 LIVE LIFE

会期 2025年8月1日(金)〜8月10日(日)
時間 10:00〜19:00
場所 パレット柏 柏市民ギャラリー(DayOneタワー3F)
料金 無料 ※8月11日(月祝)のみ1,000円

また、最終日(8月11日)には盟友であり、ピアニストの小川紗綾佳さんのギャラリーコンサートも楽しむことができますよ(ギャラリーコンサートは有料、1,000円)。以下詳細です。

出典:リビングかしわWeb

最終日特別ギャラリーライブ 小川紗綾佳コンサート
8月11日(月祝) 第1部11:00~12:00 第2部14:00~15:00
受付開始 7月2日(水)9:00~ パレット柏のWebサイトをご確認ください

日本画家・福永明子(ふくながあきこ)先生は中学生で『りぼん』の漫画家に!

福永先生は幼少期から絵を描くことが好きで、小学生の頃には少女漫画を描くようになったといいます。女子なら一度は読みふけた、ぶ厚い月刊誌『りぼん』。乙女の憧れの『りぼん』に、福永先生は中学生でデビューされたのです。14歳9か月、当時最年少デビューでした。

その後、高校生漫画家として3作発表、その原稿料で美大受験の予備校に通われたそうです。 そして、京都芸術短期大学(現在:京都芸術大学)の日本画コースに進学し、絵の方がおもしろくなっていきました。

今回の個展では幼少期の絵や高1・高2の時の漫画原稿を4枚展示される予定です。

日本画の魅力 天然岩絵の具には精神的なパワーが宿る

出典:リビングかしわWeb

福永先生の制作中の画材 画像は福永明子様より提供

柏 おどり

日本画は岩絵の具(天然鉱物や人工的に作った原石の塊の砕いた粒子状の絵の具)を、膠〈にかわ〉を溶いたものと混ぜて描きます。 粒子状の岩絵の具はそのままでは使えないので、膠を接着剤として混ぜて使うのだそうです。 自然という神秘的な岩絵の具、そしてこのような工程を経て絵を描く、描き続けている福永先生にとって、日本画の魅力とはどのようなものでしょうか?

福永先生

もともと、日本画という言葉は、西洋画が入ってきた明治時代に生まれた概念で、東洋画と言っても良いかと思います。 天然鉱物を何を媒材にして接着するかで、絵画手法の区分けがされています。 膠は中世まで東西問わず使われてきましたが、東洋で広く使われている墨も煤〈すす〉と膠を練り合わせて作られていますので、身近な接着剤として存在してきました。

岩絵具は、近年では希少となった天然岩絵具は高価なものになり、代わって珪石(ガラス)を着色したり、化学組成を真似るなどして作られる合成岩絵具があります。 その他、貝殻を細かくした胡粉や、様々な墨、きらきらした鉱物の雲母などを使います。 私が好んで使う水晶末という白の天然岩絵具は、水晶の粉であり、いわばパワーストーンに触れていることになります。

日本画は現代では、岩絵具と膠を使っている絵画のことを指しますが、私はこの岩絵具に何か精神的なパワーが宿るように感じています。 また、少しずつ絵の具を重ねていく中で、粒子と粒子の間からその重なりが見えることも、そのパワーが画面から表出するような気がします。

似顔絵師・アートラインかしわ・共晶点・柏融展・柏美術学院カルチャー講師

出典:リビングかしわWeb

柏融展 左から『無外』『種』『仰日』福永明子 撮影柏 おどり

福永先生は美大時代から映画村で似顔絵描きのアルバイトをし、美大卒業後には京呉服友禅の会社に就職、そして似顔絵師として独立、25歳で京都タワーの似顔絵コーナーの店主となりました。 9年後、柏に戻った先生は絵画教室、似顔絵師、そしてアートラインかしわの実行委員、以前わたし(柏 おどり)の記事でもご紹介させていただいた共晶点・柏融展の企画・運営・出展をされるようになります。また、柏美術学院カルチャーで講師もされています。 柏まつりで絵描きの先生を見かけたり、先生に似顔絵を描いていただいた方も多いのではないのでしょうか?

福永明子先生が2012年から立ち上げ、企画、運営している柏ゆかりの新進作家の展覧会が「共晶点」。また、「柏融展」は共晶点より年齢層をあげた柏ゆかりの作家展です。なかでも「共晶点」・「柏融展」との出逢いは、福永先生をはじめ、柏ってこんなに素晴らしい芸術家がたくさんいらっしゃるんだ!!と大きな喜びと感動をわたしにもたらしてくれました。

シャッター浮世絵

出典:リビングかしわWeb

利久庵 日本橋店 シャッター浮世絵 『尾州不二見原』葛飾北斎 写福永明子 撮影柏 おどり

2024年6月、私は日曜日の日本橋を訪れていました。日曜日はお店の定休日が多いため、シャッター浮世絵を巡るにはちょうどいい曜日でした。そう、キャンバスは老舗店舗のシャッター。 福永先生は日本橋生まれの柏育ち。2007年~2009年、卒業した美大のご縁から「日本橋めぐりの会」という団体の企画でシャッターに浮世絵を描くことになります。

凸凹のあるシャッターに描くことは至難の業で、1作目は1日15時間、15日間もかかったといいます。あまりにも大変な作業のため、協力者を得て福永先生の作品は、当時全6作品ありました。わたしが散策した2024年6月には店舗のリニューアルなどでそのうち2作品を観ることが叶わなかったです。

今ではシャッターの閉まる夜の日本橋は、江戸風情と最先端があいまってこれぞ日本橋!な風景といえます。そんな今ではあたりまえの風景に福永先生が携わっていたのですね。

銀座柳画廊・能舞台の鏡板

出典:リビングかしわWeb

京都 真謡会館 画像は福永明子様より提供

日本橋での個展やシャッターチャンスプロジェクトのご縁で銀座柳画廊の所属作家となった福永先生。繋ぐご縁が生まれ、2017年、京都の「真謡会館」の能舞台の鏡板の松を手掛けます。そして2023年にも、南青山で再び能舞台の鏡板を手掛けました。 シャッター(凸凹の鉄板)の次は杉板です!先生には描けないキャンバスはないのですね!

「鏡板」(かがみいた)は、能舞台の正面奥にあり、春日大社の「影向の松」が描かれることが多いそうです。「影向の松」(ようごうのまつ)には神様が宿り、一説には影向の松が鏡に写ったと見立て「鏡板」といわれるようになったのだとか。 松の青と株ごとの濃淡が特徴的で、松葉の一本一本を描きこんだそうです。圧巻ですね。また、となりに見える竹の絵も手掛けられました。

出典:リビングかしわWeb

期間中会場配布用フライヤー(福永明子様より提供)

出典:リビングかしわWeb

期間中会場配布用フライヤー(福永明子様より提供)

まぼろし!柏30景、3景を展示『柏公園』『あけぼの山農業公園』『酒井根 下田の杜』

出典:リビングかしわWeb

画像は福永明子様より提供 『柏公園』『あけぼの山農業公園』『酒井根 下田の杜』

さて柏LOVERな皆さーん、やはり柏30景と聞くと妙にうきうきしてしまいますよね。 とても気になったので質問してみました。

柏 おどり

柏30景は今回の個展で展示されますか?私、残念ながら観たことがないかもしれません。いつ頃のどのようなものですか?

福永先生

柏30景は、2005年にある方から勧められて取り掛かったのですが、スケッチに行って下描きで1日終わることが多く、結局完成できたのは数点でした。 今回はその中から「酒井根下田の杜」「あけぼの山公園」「柏公園」の3点を展示します。 この3点は、2010年にダブルデッキの工事の防護壁に使われたものです。

柏 おどり

先生の作品がダブルデッキの工事の防護壁になっていたんですね。こういう企画って素敵ですね。もっとバンバンやってほしいです。 まぼろしの柏3景、今回はじめて生でじっくり鑑賞させていただきます!

『蒼天』 絵画と音楽の饗宴 福永明子先生×小川紗綾佳さん

出典:リビングかしわWeb

画像は小川紗綾佳様より提供 『蒼天』の前で 左が小川さん、右が福永先生

『蒼天』は181cm×455cmの大作。2019年の共晶点でも目にした方もいらっしゃるかと思います。写真は『蒼天』の前で、左が小川紗綾佳さん、右が福永明子先生です。人物が並ぶとこの作品の壮大さがよりわかりますね。桜を見上げた時、スケッチしている時に凄く人生と重なる部分があるという福永先生。自分の生きていること、生命を謳歌する花だと思って描かれているそうです。 また、真っ青な青空を描きたくて、試行錯誤の結果、この青は岩絵の具ではなく、工業用の顔料・蛍光のスカイブルーを使用したそうです。

8月11日の最終日には20年来の盟友、ピアニストの小川紗綾佳さんが作品の前でコンサートをされます。ピアノ曲『蒼天』を書き下ろす際、体調不良だった小川さんの茂原のご自宅に福永先生が作品を運び入れ、実際に作品のエネルギーに触れてもらったのだそうです。 福永先生がずっと叶えたいと願っていたコラボライブ。 また、会期中はBGMとしても会場に流れているそうなので五感で絵画と音楽の饗宴を楽しみましょう。

LIVE LIFE 人生を 生きることは絵を描くこと

出典:リビングかしわWeb

『大桜』福永明子 こちらも今回の見どころのひとつです!

柏 おどり

LIVE LIFE 先生にとって生きることは絵を描くことですか?

福永先生

はい。以前ある方から私をそう評していただいたことがあって、その言葉が強く残っていました。 思う存分に絵を描くために今世は生まれてきたのだなと思っています。 だからこそ、家族を養わなければいけない男性ではなく、未婚の女性を選んだろうと思います。

人生を振り返り、肯定してこれからの画家人生を歩む それぞれの人生を大肯定して生きよう

出典:リビングかしわWeb

『中今』福永明子 こちらの作品も展示されます! 撮影柏 おどり

柏 おどり

最後にひとこといただけますか?

福永先生

50代の今、こうして日本画を描いて生きていけるようになるまでの私の波瀾万丈な人生を振り返って、私自身が自分をまるごと肯定してみたかった。 そしてこれからの画家人生を新たにしたいと思っています。

観てくださる方が、それぞれの人生を大肯定していただけるような、そんな機会になっていただけたらいいなと思います。 小川紗綾佳さんの音楽も、この展示の重要な一部です。絵と音楽で存分に「人生」を味わっていただけたら幸いです。

柏 おどり

福永明子先生の『蒼天』×小川紗綾佳さんの『蒼天』はまさに見どころどころか五感どころ。 まるでそこは春の桜景色。五感で感じる絵画と音楽のコラボ。桜の甘い香りまでもが漂ってきそうで、舞い散る花びらにも触れてしまうかもしれません。

LIVE LIFE 福永明子先生の画家人生を振り返る大規模な個展。 訪れれば、わたしたちのこれからの人生を描いていくパレットがカラフルになる予感です。

パレット柏 柏市民ギャラリー
住所 千葉県柏市柏一丁目7番1-301号 Dayoneタワー3階
電話番号 04-7157-0280
アクセス JR常磐線柏駅より徒歩3分
URL:https://www.palettekashiwa.jp/news/3637/

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