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内陸地震とは?被害が大きくなる原因も解説

  • 2025.7.28

日本は「地震大国」と呼ばれているように、世界的に見ても地震が多い国です。日本で発生する地震は主に「内陸地震」と「プレート境界型地震」に大別され、それぞれに特徴が異なります。

内陸地震は、「阪神・淡路大震災」「熊本地震」「能登半島地震」など、過去に大きな被害をもたらしました。内陸地震の発生に備えるためにも、内陸地震の特徴や事例、予想されている地震について理解を深めておくことが大切です。

今回は、内陸地震の特徴や被害が大きくなりやすい原因、防災対策について解説します。

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内陸地震とは?特徴と代表的な事例

内陸地震は陸域を震源とする地震で、「直下型地震」と呼ばれる地震も内陸地震の一つです。内陸部の岩盤や活断層のずれ・破壊により発生し、震源が比較的浅いという特徴があります。

日本の周辺では、海底の「太平洋プレート」や「フィリピン海プレート」が、「北米プレート」や「ユーラシアプレート」の方向に向かって、1年あたり数cmほどの速度で動いています。

長い時間をかけて地下の岩盤に力が加わり、限界に達すると内陸部の岩盤にひずみを生じさせます。

そして、ひずみが大きくなると、内陸部の地中にあるプレート内部の弱い部分で破壊が起こり、内陸地震が発生します。

出典:大阪管区気象台「内陸の浅い地震

内陸地震は、プレート境界型地震と比較して規模が小さい場合が多いものの、人が生活している場所が震源になるため、大きな被害をもたらすこともあります。

プレート境界型地震との違い

内陸地震はプレート内の浅い場所で発生し、プレート境界型地震はプレートの境界で発生するという違いがあります。

プレート境界が海域の場合は「海溝型地震」と呼ばれ、巨大地震や大津波を引き起こしやすいことが特徴です。東日本大震災を起こした「東北地方太平洋沖地震」や、今後発生が予想される「南海トラフ地震」などがこれに該当します。

プレート境界型地震の発生によって海底にあるプレートが跳ね上がると、それにより海面が持ち上げられるため、津波が発生しやすくなります。

代表的な内陸地震の事例

日本では内陸地震が数多く発生しています。中でも大きな被害をもたらした代表的な内陸地震の事例を「令和6年版防災白書」のデータをもとに、以下の表に紹介します。

引用:内閣府「令和6年防災白書 – 附属資料(附-1)

これらの地震は、いずれも震源が陸域の浅い場所で発生した内陸地震です。内陸地震は定期的に発生しており、今後も大きな地震が発生してもおかしくありません。

今後発生が懸念される内陸地震

今後、日本国内で発生が懸念されている内陸地震として、以下が挙げられます。

・ 首都直下地震
・ 近畿地方(上町断層帯など)での直下型地震
・ 糸魚川-静岡構造線断層帯
・ 布田川・日奈久断層帯

これらの地震は、いずれも大きな被害が予想されています。

首都直下地震

首都直下地震は内陸地震の一種で、首都およびその周辺の直下で発生が予想されているマグニチュード7クラスの大地震です。

この地震は震源が浅いと予想され、人口密集地の直下で強い揺れが発生すると、建物の倒壊や火災、インフラ被害が甚大になるリスクがあります。

東京都は2022年に発表した被害想定では首都直下地震は地震の揺れによる建物の倒壊や火災によって、以下の被害が起きるとしています。

・ 死者数:6,148人
・ 建物倒壊数:194,431棟

政府の地震調査研究推進本部は、首都直下地震が30年以内に発生する確率は70%程度としています。

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近畿地方(上町断層帯など)での直下型地震

上町(うえまち)断層帯は、大阪の真下を南北に走る活断層帯です。この断層帯の周辺ではマグニチュード7.5程度の大地震が発生すると想定されており、以下の被害が想定されています。

・ 死者数:8,500人
・ 建物倒壊数:276,000棟

30年以内の地震発生確率は、2%~3%と予想されています。

また、近畿には他にも活断層が多くあり、京都から奈良に向かって延びる「奈良盆地東縁断層帯」でもマグニチュード7クラスの規模の地震が予想されています。

糸魚川-静岡構造線断層帯

糸魚川-静岡構造線断層帯は、長野県北部から諏訪湖付近を経て山梨県南部まで南北に延びる活断層帯です。この断層帯沿いでは、マグニチュード7~8クラスの大地震が発生するリスクが高いとされています。

この活断層の一部の区間では、今後30年以内に地震が発生する確率が最大30%と予想されています。

日奈久断層帯

日奈久断層帯は、熊本県の上益城郡益城町木山付近から葦北(あしきた)郡芦北町を経て、八代海南部に至る断層帯です。この断層帯で発生が想定されている地震は、マグニチュード7~8規模に達すると見込まれています。

この活断層の一部の区間では、今後30年以内に地震が発生する確率が最大16%とされています。

内陸地震はなぜ被害が大きくなる?

内陸地震の被害が大きくなりやすい理由について、解説します。

震源が浅く揺れが増幅されやすい

内陸地震の被害が大きくなる理由は、震源が浅く、地震のエネルギーが減退しにくいためです。

特に震源地の近くでは、断層の真上や周辺の地盤が大きく揺れることで、局地的に強い揺れが発生する場合もあります。

人口密集地に直撃する可能性がある

内陸地震の被害が大きくなる理由は、人口密集地に直撃するケースが多いためです。日本の主要都市の多くは活断層の近くや真上に位置しており、都市の真下を震源とする内陸地震が発生するリスクもあります。

人口密集地は多くの人が生活しており、建物倒壊や火災による死者数が増えやすく、救助や避難も困難になります。また、交通網やライフラインも密集しており、断水や停電などの被害も一気に拡大すると想定されます。

実際に、阪神・淡路大震災や熊本地震など、都市直下やその周辺で発生した内陸地震は甚大な被害をもたらしました。

家庭でできる内陸地震への備え

内陸地震は、いつどこで発生するかわかりません。

活断層の調査や地震活動の履歴などをもとに、長期的な発生確率が割り出されているものの、実際には活断層以外の場所や、これまで地震の発生が想定されていなかった地域で地震が起こることがあります。

また、内陸地震は震源が浅く、すぐに地震が到達するため、緊急地震速報が間に合わない可能性もあります。身を守る行動をとる時間がない可能性も高く、少しでも被害を抑えるためには日頃の備えが大切です。

ここでは、内陸地震に備える方法を解説します。

家具の固定やガラスの飛散防止

内陸地震に備えるために、家具の固定とガラスの飛散防止を行いましょう。その理由は、地震が発生した際に、強い揺れによって家具が転倒・移動したり、ガラスが割れて飛び散ったりすることでケガや命の危険につながるためです。

内陸地震は突然大きな揺れが起こることが多く、身を守る時間がほとんどない場合もあります。実際に、阪神・淡路大震災時に建物の中でケガをした人の割合は、家具の転倒・落下が46%、ガラスの飛散が29%です。

家具をしっかりと固定し、ガラスの飛散防止を施しておくことで、震災時にケガから身を守れる可能性が高まります。

防災グッズの準備

内陸地震が発生すると、電気・ガス・水道などのライフラインや交通網が広範囲に被害を受け、復旧までに時間がかかる可能性があります。

こうした状況を想定し、以下のような防災グッズを事前に準備しておきましょう。

・ 非常食
・ 飲料水
・ 携帯ラジオ
・ モバイルバッテリー
・ 懐中電灯
・ 救急セット
・ 防寒具、アルミシート、毛布
・ マスク、生理用品、簡易トイレ
・ 軍手

飲食料品や衛生用品は最低3日分、できれば1週間分を目安に備蓄しておきましょう。大規模災害時には、支援物資の到達やライフラインの復旧に時間がかかるため、家族構成や地域の状況に応じて多めに備えておくことをおすすめします。

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避難先や連絡方法の確認

また、内陸地震への備えとして、避難先や連絡方法を家族で共有しておくことが大切です。

まずは、各自治体が指定している「指定緊急避難場所」や「指定避難所」を把握し、避難が必要になった場合の避難先を家族で確認しておきましょう。

ちなみに、指定緊急避難場所は災害発生時に命を守るために一時的に避難する場所で、指定避難所は災害の危険がなくなるまで一定期間滞在できる施設です。

地震発生時には、電話やネットがつながりにくくなります。そのため、家族とどのように連絡を取り合うかを決めておきましょう。災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板などを使った連絡方法を家族で共有しておくと安心です。

避難先や連絡方法を事前に確認・共有しておくことで、内陸地震が発生した際にも、落ち着いて自身の安全確保や避難行動に集中できます。

まとめ

内陸地震は陸域の浅い場所で発生する地震で、私たちが生活する地面のすぐ下が震源となる場合が多くあります。震源が浅いことで地震エネルギーが衰退せずに伝わり、大きな被害をもたらす場合があります。

また、内陸地震は震源から近く、緊急地震速報が間に合わない可能性も考えられるため、日ごろからの備えが重要です。家具の固定やガラスの飛散防止などの対策をはじめ、防災グッズの備蓄、そして避難先・連絡方法の確認などを家族で話し合っておきましょう。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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