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野菜を食べないのは当たり前?管理栄養士が教える偏食との向き合い方

  • 2025.7.22

子どもの偏食が気になる、好き嫌いを直したいけれど、どうしていいか分からない・・・そんな悩みについて、今回は管理栄養士として保育園での勤務があり、ご自身も二人のお子さんを育てている三木彩さんに「偏食との向き合い方」についてお話しいただきました。

ママ広場

「うちの子、野菜をまったく食べなくて・・・」
「このままで大丈夫かな?」
子どもの食べムラや偏食に悩む保護者の方は多いと思います。でも実は、乳幼児期の偏食はごく自然なこと。味覚の発達途中であったり、においや食感に敏感な時期もあり、偏食になることがよくあります。

親として「栄養が足りてるかな?」「食べさせなきゃ」と心配になる気持ちはわかりますが、無理に食べさせようとすると、かえって『食べること』そのものが嫌いになってしまう危険性も。

そんなとき、どう関わればいいのか?
食べない子に『食べさせる』よりも大切なこととは?

管理栄養士として、そして母としての経験をもとに、子どもの偏食に、『無理なく向き合うヒント』をお伝えします。

苦手な食材は他の食材で補うことも可能

「今日も野菜食べなかった・・・」と気にしすぎなくても大丈夫。苦手な食材は他の食材で補うことも可能です。また、栄養は1日・1食ごとに完璧でなくても、1週間単位で『全体のバランス』が取れていればOKなんです。たとえば、
●野菜を食べないなら、果物や芋類、海藻、豆類で食物繊維を補う
●肉や魚が苦手でも、卵や豆腐、ヨーグルトなどでたんぱく質を摂る
●鉄やカルシウムが気になるなら、きな粉・小松菜・しらす・粉チーズなども有効

工夫次第で、栄養の底上げは十分できます。
「食べない」ことにばかり目を向けず、『食べられるもの』をどう活かすかを考えてみましょう。

楽しく『食べたい!』を引き出す工夫

保育園では食べているのに、家ではまったく食べない。そんな時はお家での安心感から『甘え』が出ているのかもしれません。「保育園で食べてるって聞いたよ!かっこいいとこ見せて!」とポジティブな声かけをしてみるのも一つ。さらに、こんな工夫もおすすめです。
1.子どもが『選べる仕組み』を用意する
ソースやふりかけ、おかかやごまなど、「どれにする?」と子どもに選んでもらいましょう。自分で決めた』という感覚が、食べる意欲につながることがあります。
2.食事に“遊び”の要素をプラスする
動物になりきって「うさぎさんがにんじんを食べるよ〜パクッ」としてみたり、お口をトンネルに見立てて「ピーポーピーポートンネルを通りま〜す。なんの車でしょうか?」とクイズやごっこ遊びを取り入れたりすることで、『楽しい時間』にするのもオススメです。
3.食べなくても食卓に出し続ける
子どもは『見慣れているもの』には安心感を持ちやすいものです。苦手な食材を一口だけでも盛り付けて出し続けてみましょう。気が向いたときに、ある日突然食べることもあります。
4.あえて「大人だけ」に出してみる
子どもには出さず、あえて大人だけに盛り付けていると『ずるい!』と感じて「それなに?食べたい」と思ってくれることもあります。

ママ広場

食べるより先に「興味を持つ」ことから

子どもに対して、つい食べさせることに意識が向きがちですが、『食材に親しみを持つこと』も大切です。
たとえば、
・一緒にスーパーに行って、野菜や果物を選ぶ
→「にんじんは何色?オレンジできれいだね〜」など声をかけながら
・一緒に料理をする
→ ちぎる・混ぜる・のせるなど、簡単な工程をまかせてみる

食材の名前・色・手触り・匂いなどを一緒に楽しむことで、「食べ物って面白い」と子どもの中に自然な興味が芽生えると、「食べてみようかな」への第一歩につながります。
食材に触れることは、0歳からできる立派な食育で、離乳食期の子にもオススメです!

偏食って、どこまでが「普通」?

偏食があっても、健康や発育に問題がなければ、基本的には心配しすぎなくて大丈夫です。
ただし、以下のような場合は、医師や管理栄養士に相談することをオススメします。
●極端に食べる品目が少なく、体重が増えない/減っている
●食べる量が著しく少ない、水分ばかりとっている
●野菜をまったく受けつけず、便秘や肌荒れが続いている
●食事の時間になると泣いたり、逃げたりしようとする

こうした場合、心理的な要因や発達特性が関係していることもあります。無理に家庭内だけで解決しようとせず、専門家からのアドバイスを取り入れることが大切です。

今の時代、ネットやSNSでたくさんの情報に触れることができますが、お子さんの状況は一人ひとり違うからこそ、「気になるな」と感じたら専門家に相談してみてください。
一人で抱え込まずに、安心できる選択をしていきましょう。

『嫌い』の理由を聞いてみるのも◎

「野菜イヤ!」と言っても、『何がイヤなのか』は子どもによって違います。
食感・味・におい・見た目・過去の苦い経験・・・さまざまな理由があるものです。
お話ができる年齢になってくると、嫌な理由をやさしく聞いてみて、子どもと一緒に「どんな風に調理したら食べられそうかな?」と考えてみるのも一つです。
焼くより煮る、切り方や形を変える、味付けを変える・・・といったように、ちょっとした工夫で、食べられるようになることもあります。さらに、親の言葉がけにもひと工夫を。

つい「うちの子、野菜食べないのよ〜」と言ってしまいがちですが、野菜をひとくくりにするのではなく、どの野菜が・どんな調理ならOKかを一緒に探ることがポイント。

「チンジャオロースのピーマンなら食べられたね!」
「トマトは無理だけど、ミートソースはパクパク食べてたね!」

など、『できた経験』を声に出して伝えることで、子どもも「野菜だから無理!」と決めつけず、「食べられる野菜がある!」という小さな自信が、『食べられるもの』を少しずつ増やしていくことにつながります。

おわりに:がんばりすぎなくて大丈夫!

子どもの偏食は、親のせいでも育て方の問題でもありません。
「今はその時期なんだな」と、一度気持ちをゆるめてみてください。
無理やり食べさせることより、「食べるって楽しい」と思える体験の積み重ねこそが、子どもの『食べる力』を育てます。そして何より、困ったときは、栄養士など専門家に頼ってみてほしいです。
楽しく食事ができるよう、あなたのペースで、できることから一緒に始めてみましょう。

執筆者

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三木彩
三木彩

同志社女子大学卒。管理栄養士・ヨガ講師。保育園や企業での栄養管理や献立作成を経て、ママの心と体をトータルでサポートしたいとヨガ資格を取得し、現在はフリーのヨガインストラクターとして活動中。「ママの笑顔は家族の幸せ」をテーマに、“無理しない・受け入れる”ヨガ的視点を子育てに活かした考え方も発信中。

ママ向けのヨガレッスンを行っており、「ママニティオンラインヨガスタジオ」では、ベビーやキッズ向けのレッスンも実施しております。

三木彩

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