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【節電】意外と知らない「エアコン」節電の正解!つけっぱなしorこまめに消す?ドライ運転or冷房?家電のプロに教えていただきました!

  • 2025.7.23

ここ数年の夏は体温以上の気温になることも多く、エアコンが欠かせない日が続いています。しかし電気代も気になるもの。つけっぱなしorこまめに消す?ドライ運転or冷房?などどちらが節電になるのか、さらにエアコンのより効果的な使い方について、家電のプロフェッショナルであるテックマークジャパン 本多宏行さんに教えていただきました。  

ドライ運転と冷房の効果的な使い分け方

湿度が高く不快なときに、ドライ運転と冷房運転のどちらを使うべきか迷った方は多いのではないでしょうか。
 
「どちらも『空気中に含まれる水分を室外へ放出する』という運転方法であることは同じです。しかし、ドライ運転は設定された湿度まで下げることを優先します。一方で冷房運転は設定温度まで下げることを優先します。
 
雨の日などに洗濯物を部屋干しして、湿度が上がってしまった場合にはドライ運転が良いですが、暑さを感じる日には冷房運転がおすすめです。ドライ運転は空気がカラっとしますから、喉を傷めやすい方も冷房運転の方がいいですね。
 
ドライ運転と冷房運転の電気代の違いですが、ドライ運転の方が電気代は安いです。冷房運転の「温度を下げる」動きのほうがエアコンへの負荷は大きく、その分電気代もかかるためです。
 
ただ、直近10年以内くらいに発売された国内メーカーのエアコンではドライ運転と冷房運転の電気代に大きな違いはなくなりつつあります。熱中症で体調を崩される方の数も増えています。暑さを感じる日には取り返しのつかないことになる前に、迷わず冷房を使用してくださいね」(本多さん)

エアコンの冷房運転の設定温度=28℃ではない?

エアコンの設定温度は何度が適切なのでしょうか。目安にしたいのが、環境省が推奨する「夏季の室内温度は28℃」だそう。
 
「ただし、エアコンの設定温度を28℃にすれば良いという意味ではありません。あくまで室内の温度が28℃になるようにエアコンの設定をしましょうということなので、お部屋の広さや住居の断熱性能の違い、エアコンの性能によって調整をする必要があります。そのためにはお部屋に温度計を設置して確認しながら設定温度を変更していきましょう。
 
温度計はできるだけ部屋の中心付近に置くと最も良いです。しかし、お部屋の配置的に中心部が難しい場合もあるかもしれません。あまり厳密になりすぎる必要はありませんので、できるだけ中心部に近い場所に置くようにするといいですね」(本多さん)

風向きは水平?スイング?

エアコンの風の向きを細かく設定できるものが多いですが、どの角度がよいのでしょうか。
 
「夏場なら室内の暖かい空気は天井付近に停滞しやすいので、冷風が天井方向に向かって噴き出すようにするのが効果的です。ただ、それでは直接冷風を感じることができず暑いと感じることもあると思います。そこで活躍するのが、サーキュレーターです。室内の空気をサーキュレーターで循環させることで、冷たい空気を室内にまんべんなくいきわたらせることができます。
 
サーキュレーターを置く位置はお部屋の構造によってエアコンの対角線上がよい場合と、エアコンと同じ位置に置いて風向きを同じ方向にする方がよい場合がありますので、実際に試してみてより涼しいと感じた方に置いてみてください。
 
エアコンには、風向きを上下させる「スイング」機能もあると思います。これはサーキュレーターを使用せず、エアコン単体でお部屋全体を少しでも冷気を循環させようとするためのものです。そのため、サーキュレーターを併用している場合にはスイング機能を使う必要はないでしょう」(本多さん)

議論が終わらない「エアコンつけっぱなしorこまめに消す」論争の答えは?

毎年のように議論が巻き起こる「エアコンつけっぱなしorこまめに消す」論争。どちらの方が電気代が安くなるのかというものですが、実はこれは答えを出すことが難しい問題なのだそう。
 
「各メーカーが様々な試験を行っていますが、どの機種を使っているのか、何畳用のタイプのエアコンかなどによって答えが変わってきてしまうのです。
 
一度実験をしてみたことがあるのですが、室内の温度が28℃になるように設定し、28℃になった時点でエアコンを停止させました。その後30分ほどで、どのぐらい温度が上がるのかを確認したのですが、私の自宅では約8度上昇したのです。
 
もしエアコンをずっとつけっぱなしにしていた場合、エアコンはその気温を維持する動きだけでよいのであまり電気代がかかりません。しかし、30分エアコンを停止し、再びつけると上昇した8℃分温度を下げるべく、フル稼働しなければならなくなります。
 
エアコンは温度を下げる時に電気代を多く使用しますから、目安として30分ほどであればエアコンは停止せずに動かしておいた方がいいと思います」(本多さん)

なんだかエアコンの効きが悪い……?と思ったらまずはフィルター掃除

設定温度も風向きも問題ないはずなのにエアコンの効きが悪いと感じたら……原因としていちばん考えられるのはフィルターの汚れなのだそう。
 
「環境省は『エアコンのフィルターは(お掃除機能の有無にかかわらず)2週間に1回お手入れをしてください』と推奨しています。もしこまめにお掃除をしていないのであれば、フィルターにホコリだけでなく油汚れが付着して効きが悪くなっている恐れがあります。
 
フィルターに付着したものが乾いたホコリだけであれば、掃除機で吸い取るだけですぐにお手入れは完了します。しかし、油汚れが付着してしまうと少し手間がかかります。まずは取扱説明書の内容に従い、水洗い可能なフィルターであれば中性洗剤を希釈して歯ブラシなどで汚れを優しく取り除いてあげるといいですね。ただし、年数が経っている機種の中にはフィルターの水洗いができないものもありますので注意しましょう。
 
フィルター以外の部分についてはプロの方でなければ故障してしまうことがありますので、メーカーサービスにお掃除をお願いしてください。メーカーサービスの問い合わせ先は取扱説明書に記載されています。もし、取扱説明書を紛失してしまった場合には、ホームページなどからお客様相談室に連絡をすると、電話などで『ここに貼られているラベルにアルファベットの*から始まる番号がありますので教えてください』など丁寧に教えてくれますよ」(本多さん)

フィルター掃除をしてもだめならここをチェック

フィルターに問題がない場合、チェックすべきところは室外機なのだそう。
 
「室外機の周りに花壇を設置してしまっていたり、自転車などの大きなものを置いていたりする場合、十分に放熱熱を逃がすことができずに効きが悪くなっていることがあります。室外機は基本的に前面方向と上方向の2か所は開放されていることが最適です。植木鉢などは置かないようにしてくださいね。
 
もうひとつは、室外に水を排出するドレーンホースの確認です。エアコンの冷房運転をしているのに水が全く排水されていない場合には、まず虫や枯れ葉などが詰まっていないかを確認しましょう。虫よけキャップなどを装着している場合には目詰まりを起こさないようにこまめにお手入れをしてくださいね。詰まりなどがないのに水が出ない場合には、必ずメーカーサービスさんに連絡をしてください。最悪の場合、お部屋の中に水が噴き出してしまうこともあります」(本多さん)

弱運転ばかりしていると故障の原因になるかも?!

エアコンは決して安くないので、一度購入したら長く使いたいもの。できるだけ長く使い続けるためには、故障を防ぐ使い方をすることが大切です。
 
「意外と知られていないのが、『弱運転はコンプレッサー(圧縮機)への負荷が大きい』ということ。『弱運転だからエアコンに負荷がかかっていないのでは?』と思われるかもしれませんが、室内に吹き出す風の量が少ないため部屋の温度が下がるまで時間が長くなり、その分室外機がフル稼働するなど負荷がかかっていることもあります。
 
最もエアコンに負荷がかからないおすすめは『自動運転』です。各メーカーさんがエアコンを開発する際に技術力を集結しているのが自動運転です。そのため、最も節電効果も高いとされています。エアコンの長持ちも節電も自動運転!これは覚えておいてほしいですね。
 
それでも故障してしまった場合、エアコンのように購入価格が高額な家電は修理費もかなりかかってしまうもの。購入時に保証に入る方は多いと思いますが、多くは5年程度ではないでしょうか。最近ではメーカー保証期間が終了した後も一定期間、追加で保証を受けられる「延長保証」というサービスもあります。いざというときの出費を抑えるためにも入っておくと安心です。
 
もしこれからエアコンを購入される場合には、「実際の部屋の広さよりも少しグレードの高いものを買うと良い」と覚えておいてください。たとえばお部屋が10畳なら、少し広い14畳用のものを買うと良いでしょう。少し余裕のあるグレードのものを選んだほうが、エアコンへの負荷もかかりづらく、電気代も安くなるんです。もちろんご予算などはあると思いますが、可能な範囲で意識することで結果的に日々の電気代を安く抑えることができますよ」(本多さん)

教えてくれたのは 総合家電エンジニア 本多宏行さん

大手自動車ディーラーでメカニックを経験した後、1999年にテックマークへ入社し延長保証サービスに伴なう修理精査を担当。自動車の修理精査から始め、2000年頃から家電やPC、ガス製品(ガス給湯器、ガスコンロなど)、住宅設備(電気温水器、換気扇、浴室乾燥機、温水洗浄便座など)に係る精査業務を行う。幅広い家電製品の専門知識が必要となる「総合家電エンジニア」の資格を取得し、現在も活躍中。

この記事を書いた人 ライター 松本果歩

インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。

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