1. トップ
  2. ファッション
  3. 水着はサステナブルになれるのか? 改めて見直すスイムウェアと環境の関係

水着はサステナブルになれるのか? 改めて見直すスイムウェアと環境の関係

  • 2025.7.6
マンデイスイムウェア 2026年春夏コレクションより。
Paraiso Miami Swim Week 2025 - Monday Swimマンデイスイムウェア 2026年春夏コレクションより。

スイムウェアは、ファッションの中でもサステナブルなカテゴリーではない。水や熱に耐えられるよう、ナイロンやポリエステルといった石油由来の素材から作られている上、水着自体のトレンドの移り変わりが早く、利幅が薄いため、年間何千億着という単位で大量生産される。おまけにその多くはワンシーズン限りのもので、寿命が短い。着古されたものはすぐに廃棄されて埋め立て地へ直行、未使用に近いものはセカンドハンド品として売りに出される定めだ。「スイムウェアに使用される素材は原油を主原料としているので、マイクロプラスチックを放出し、廃棄物としても処理が難しいです。このように、環境へさまざまな影響をもたらしますが、これらの課題に対する現実的な解決策は、今のところほとんどありません」と、ビジネスと持続可能性に特化したIEニューヨーク・カレッジで、サステナブル・ファッションの修士課程プログラムのディレクターを務めるミシェル・ガブリエルは語る。

レスリー エイモン 2026年春夏コレクションより。
レスリー エイモン 2026年春夏コレクションより。

皮肉なことに、健やかな水環境と安定した気候があってこそ水着は意味を持つ。

5月28日から6月1日(現地時間)にかけて開催されたパライソ・マイアミ・スイムウィークでも、この現実を受け止め、より環境に配慮したものづくりへシフトするデザイナーが少なからぬいた。皆、サステナビリティを単なるマーケティング手法ではなく、コレクションの基盤となるべき考えとして捉えており、その姿勢を前面に押し出したルックが次々に披露された。

ブランドの数だけ、サステナビリティの捉え方がある

レスリー エイモン 2026年春夏コレクションより。
レスリー エイモン 2026年春夏コレクションより。

「サステナビリティ」と一口に言っても、その解釈はさまざまで、職人の手仕事を生かし、製造や加工を地域に根ざした形で行うブランドもいれば、リサイクルやバイオベース素材を活用し、廃棄物の少ない手法でアイテムを製作するブランドもいる。

サステナブルなスイムウェアの先駆者的な存在として知られるのが、アマリア・スティーブンス率いるビタミンA(VITAMIN A)だ。2023年にスイムUSA(SWIM USA)に買収されたビタミンAは、10年前からすでに革新的な素材使いをしており、その技術とノウハウはいまだに業界で群を抜いている。スティーブンス曰く、サステナブルなスイムウェア作りに大切なのは、新しい素材と製造プロセスを用いること、しっかりとしたコミュニケーションを図り(ブランドの)透明性を確保すること、そして社会に貢献することだという。具体的には、サプライチェーンの外部監査の実施や地域に根ざした製造体制の構築、バイオマス由来の素材の活用だ。

スイムウェアデザイナーのレスリー・エイモンもスティーブンスに同意する。「サステナビリティはトレンドではなく、製造に携わる人々とクラフツマンシップを大切にした、責任あるものづくりをするということなのです」と彼女は言う。自身の名を冠したブランドは、スイムウェアとリゾートウェアの両方を展開しており、今季は職人の手によるビーズ刺繍をあしらった服やアクセサリー、インドやバリのコミュニティを中心とした製造者たちと協力して少量生産したピースなどをメインに据えた。「私たちのサプライチェーンの90パーセントは女性主導です。なぜなら、女性が経済的に自立することが、本当の意味で世の中を良い方向へ変え、それが真のサステナビリティにつながると信じているからです」

シーガル 2026年春夏コレクションより。
SIGAL Presents Resort 26 Collection at DiLido Beach Bar at The Ritz-Carlton, South Beach - PARAISO Miami Swim Week 2025シーガル 2026年春夏コレクションより。

一方、マイアミを拠点とするベネズエラ人デザイナーのシーガル・コーエン・ウォルコウィズは、水着に加え、天然繊維を使用したリゾートウェアを自身のブランドのシーガル(SIGAL)から展開している。「決して過剰に作ることはありません。常にしっかりとした目的を持って、必要な数だけ生産しています」と彼女は言う。「私たちのスイムウェアは、ポストコンシューマーリサイクルのペットボトルを原料にしたリサイクル・ポリエステルからできています。使用しているのはコットン、リネン、シルク、エコヴェロ™ビスコースなど、サステナブルな方法で調達したオーガニックのテキスタイルです」。タグや商品のパッケージといった小さなディテールにもこだわっており、ハングタグは使い捨てのタグ付けループや紐ではなく、職人が手作りしたビーズのブレスレットで取り付けてられている。「ブレスレットは実際に身につけたり、記念に取っておいたり、誰かに贈ったりすることができます。使い捨てのものを、ずっと大切にできる何かに取り替えるのは、シンプルですがとても意味のあることだと思います」。そう語る彼女は今シーズン、人体や自然環境に有害な影響を与える化学物質を含んでいないインクで、夕日をイメージしたグラデーションをデジタルプリントしたコレクションを発表した。

シャン 2026年春夏コレクションより。
シャン 2026年春夏コレクションより。

水着以外にもさまざまなアイテムを打ち出しているカナダ発のブランドのシャン(SHAN)も、量より質を重視したものづくりを追求している。「高いクオリティを担保し、過剰生産を避けるために、生産量をあえて制限しています」と創設者のシャンタル・ルベスクは説明する。「商品を大量に流通させたり、追われるように次から次へとコレクションを発表したりするのではなく、毎シーズン、考え抜かれたコレクションをひとつ作ることに注力しています。そうすることで、すべてのアイテムを完璧に仕上げることができ、廃棄される素材やピースなどを減らすことができるのです」と彼女は続けた。

オーシャナス×ソホス 2026年春夏コレクションより。
Oceanus x Sojos - Paraiso Miami Swim Week 2025オーシャナス×ソホス 2026年春夏コレクションより。

また、サステナビリティは素材だけの問題ではない。製造拠点をブランドの拠点の近くに置くことも、より良いものづくりにつながるとルベスクは考える。「製造はすべてカナダの自社工場で行われ、そこで働く従業員は皆、家族の一員であるかのように大切にしています。相応の報酬を支払い、働きやすい環境を提供することは、私たちにとって譲れないポイントです」と彼女は言う。

一生もののアイテムを制作することで、サステナブルなものづくりを実践しているブランドもいる。そのひとつがオーシャナス(OCEANUS)だ。ブランドのシグネチャーは、ビーチやリゾート地といった海のモチーフをイラストタッチのビーズで刺繍したオーダメイドのドレスや水着。「私たちにとってサステナビリティとは、廃棄物を極力出さずに、古い漁網などのリサイクル素材を使って水着を少量ロットで作ることです」と創設者のハナ・アターラは言う。「トレンドに左右されず、何シーズンも着られるタイムレスな水着を作ることに重きを置いています」

マンデースイムウェア 2026年春夏コレクションより。
マンデースイムウェア 2026年春夏コレクションより。

2014年にローンチし、瞬く間にスイムウェア界のトップブランドの仲間入りを果たしたマンデースイムウェア(MONDAY SWIMWEAR)の創設者のデヴィン・ブルーグマンとナターシャ・オークリーは、サステナビリティを推し進めるために、ブランドの影響力を最大限に活用している。ふたりによると、サステナビリティとはコミュニティを思うこと。だからこそ彼女たちは、発表するすべてのコレクションを、環境保全や女性の健康など、何かしらの社会貢献活動に結びつけている。「素敵な水着を作るだけでなく、世の中のためになると思えるやり方で、最初から最後まで制作に励むことが大切なのです」とオークリーは説明する。彼女たちのように、ブランドのプラットフォームやコレクションを社会に貢献するために活用するデザイナーが、これからも増えることを願う。

Text: Alyssa Hardy Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.COM

READ MORE

元記事で読む
の記事をもっとみる