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不老長寿と美を実現。ハーブに秘められた素晴らしき叡智を解き明かす【アーユルヴェーダの真価vol.2】

  • 2025.7.5

老化の原因は蓄積された老廃物

アーユルヴェーダ研究の第一人者である横浜市立大学の鮎澤大名誉教授を筆頭に5人のメンバーで、同大学の長寿科学研究室で細胞老化の基礎研究が始まったのは1988年とのこと。メンバーの1人、髙氏裕貴客員研究員は次のように語る。

「私たちは美容と健康は密接な関係があり、肌は臓器の若さを反映しているものだと考えています。今では遺伝子の老化への影響は20%あるかないかで、後天的な生活習慣の影響のほうが大きいと広く知られるようになってきました。努力で老化のスピードはコントロールできるのです。

私たち人間の体は37兆個の細胞の集合体です。細胞は老化すると死なずにいつまでも体に居座ります。老化した細胞は若い細胞に比べて体積が10倍ほどにもなり、体の中に蓄積し、さまざまな有害因子を分泌し、周囲の細胞に影響を与えます。つまり、この老廃物を取り除けば、老化を防ぎ若返りが可能になる。アーユルヴェーダは5千年も昔にこの理論に言及していたのですから驚きます」(髙氏研究員)

浄化のカギを握る、若返りの果実「アムラ」

浄化の科学とも呼ばれるアーユルヴェーダは、この老化の原因となる有害物質をいかに排除するかを追究する学問だ。そんなアーユルヴェーダにとって欠かせないのが食事やマッサージなど体のケアでも使うさまざまなハーブ。アーユルヴェーダでは地上にある30万種の植物が生み出す100万種もの生理活性物質=ファイトケミカルを利用する。

Photo_ Akiko Ishino
Photo: Akiko Ishino

このファイトケミカルは、動けない植物が外敵から自身を守るために作り出す化学兵器だ。「動物や虫、病原菌などを撃退するために作っているので、この毒物は葉や枝、樹皮、根に含まれています。その中で、果実だけが毒ではないのです。果実は次の世代へ種を繋ぐために動物に食べてもらわないといけないもの。だから栄養たっぷりで、それを口にした動物が元気になって長生きするようなご褒美になっているのです。なかでも私たちが着目しているのはアムラという果実です」(鮎澤教授)

アムラはアーユルヴェーダの三大果実のひとつで、梅の実によく似た、ライトグリーンの果実。インドでは「若返りの果実」として昔から親しまれ、ビタミンCやポリフェノール、ペクチンを豊富に含む。酸味、甘味、苦味、渋味といった4種の味覚を持つ複雑な味わいで、本場インドでは生食ではなく、漬物やジュースにして取り入れることが多いそう。

横浜市立大学のスタートアップ企業であるイチバンライフでは、このアムラの成分をぎゅっと凝縮し、飲みやすい形にした錠剤タイプのサプリメントやドリンクを展開している。アムラ以外にも約40種の伝統のハーブが使用されるが、これこそがアーユルヴェーダの真骨頂。

約300種のアーユルヴェーダ伝統ハーブを科学的に検証。アムラをはじめ40種の伝統ハーブを絶妙なバランスで配合した液体のハーブ製剤。ソーマ ハーバルドリンク 50㎖ ¥3,240/AYURMASTER(イチバンライフ)
約300種のアーユルヴェーダ伝統ハーブを科学的に検証。アムラをはじめ40種の伝統ハーブを絶妙なバランスで配合した液体のハーブ製剤。ソーマ ハーバルドリンク 50㎖ ¥3,240/AYURMASTER(イチバンライフ)

「生物の体は複数の組織器官が連携し、機能するもの。相互に関連する複数の要因が合わさって全体として新しい機能を生み出します。これは複雑系といって、従来の西洋医学の要素還元論では理解が及ばないもの。たとえば、2という状態は、単純に1が2つ集まったものではありません。1と1が影響し合い、混ざり合うことで新しいものが生まれる。“MORE IS DIFFERENT”─つまり、ただの寄せ集めではないということです。アーユルヴェーダは5千年にわたり、無数のファイトケミカルが体にどんな作用をもたらすのかを観察した膨大な記録なんです。これを活用しているのが現代のアーユルヴェーダです」(鮎澤教授)

ドーシャ(体質)を知り、整えることが重要

アーユルヴェーダでは健康と病気はヴァータ、ピッタ、カパと呼ばれる三つのドーシャ(体質)によって支配されていると考えられている。ヴァータは体の動きや呼吸、神経の働きなど「動かす力」、ピッタは消化や代謝、判断力など「燃やす・処理する力」、カパは体をつくり安定させる「潤いと維持の力」ともいわれている。

乾燥しがちで冷えやすいヴァータ、熱が上がりやすいピッタ、ものを溜め込みやすいカパといった体質をはじめ、性格や行動パターンなども、実はドーシャの影響を受けている。ドーシャの診断テストは簡易的なものから厳密なものまであり、インターネットでも検索可能。興味がある人は一度試して、自分の体質を把握しておくのもいいだろう。

ヴァータ、ピッタ、カパの各項目で該当するものが多いものがその人のドーシャとなるが、人それぞれに3つの割合が異なっている。「ドーシャの割合は生誕時に決定されますが、生活環境や生活様式によって大きく変動します。ドーシャが乱れると病気の発症に繋がります。自分の体質を知り、それに合った食事法や行動を毎日の生活に取り入れることが不老長寿に繋がっていくのです」(鮎澤教授)

3つのドーシャのバランスを整えることが、心と体を健やかに保つためには必要なのだ。次の記事では、不老長寿を呼び寄せる、アーユルヴェーダ流の具体的なメソッドについてお伝えする。

話を聞いたのは……

DAI AYUSAWA

鮎澤大。横浜市立大学名誉教授。ダッカ国立ユーナニ&アーユルヴェーダ医科大学客員教授。抗がん剤の作用機序や老化不老のメカニズムを長年にわたり研究。アーユルヴェーダを現代科学でひもとくアーユルマスター。

YUKI TAKAUJI

髙氏裕貴。横浜市立大学客員研究員。横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科にて博士号を取得。細胞の老化、および若返りのメカニズムやアーユルヴェーダハーブの生理作用に関する研究に従事している。

Text: Teruno Taira Editor: Misaki Kawatsu

※『VOGUE JAPAN』2025年8月号「究極のポジティブエイジング アーユルヴェーダの真価」転載記事。

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