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24年前、日本中が耳を傾けた“約束のアンセム” 大人気ガールズバンドが生み出した“切なくも希望に満ちた”歌

  • 2025.7.4

今から24年前、21世紀の幕開けとなった2001年の音楽シーンといえば、宇多田ヒカルや浜崎あゆみなどの女性アーティストがチャートを賑わせていた。また、ソロ活動を再開した桑田佳祐(サザンオールスターズ)も『波乗りジョニー』『白い恋人達』の2作が続けて大ヒットとなった。

そんな年の夏、北海道札幌市出身の4人組(当時)のガールズバンドが放った1曲が24年が経とうとする今なお“夏の代表曲”として世代を超えて愛されている。

それがZONE『secret base〜君がくれたもの〜』(作詞:町田紀彦、作曲:町田紀彦)

当時10代中盤の女性メンバーで構成された彼女たちは、メジャー3曲目となるこの曲でその名は一気に全国区へと広まっていった。

“君”がくれた、“君”とつくった最高の思い出

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2002年、ラジオの公開収録を行ったZONE / (C)SANKEI

この曲は女優の井上真央が主演し、人気を博したTBS系ドラマ『キッズ・ウォー3〜ざけんなよ〜』の主題歌として起用されたことで人気が爆発しこの年の「第34回日本有線大賞 最優秀新人賞」、「第43回日本レコード大賞 新人賞」を獲得、大晦日の紅白歌合戦にも初出場した。

タイトルの「secret base」とは“秘密基地”を意味する。まさに子どものころ、大切な友人と親も先生も知らない自分たちだけの特別な空間、秘密基地を作った経験がある方も多いのではないだろうか。

この曲の歌詞は、大切な友人の突然の転校で、離れ離れになるという事実が描かれ、出会いからこれまでの楽しかった日々の思い出が時系列で歌われる。日常の何気ない時間、笑い合った瞬間、泣いた日ーー。

そうしたすべてが「“君”がくれた、“君”とつくった最高の思い出」として書かれている。

“10年後の8月”という希望

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2002年、地元札幌でライブを行うZONE / (C)SANKEI

歌詞の中でひときわ印象に残るのが「10年後の8月 また出会えるのを信じて」という一節。

この“10年後”という設定は、まだ未来というものに対して漠然としている思春期の学生目線から見た、時間的ターゲットと希望の象徴と言えそうだ。友との別れの寂しさをただ悲しむのではなく、「また会える」と信じることが、物理的に離れていても揺るがない絆を描いており、そこにこの曲の前向きさが表れている。

ちなみに、2005年に解散したZONEだが、2011年3月の東日本大震災を受け期間限定で再結成。その活動期間が『secret base〜君がくれたもの〜』の発売からちょうど“10年後の8月”だった。

日本中が耳を傾けた“約束のアンセム”

また、同じ2011年にはアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のエンディングテーマとして茅野愛衣、戸松遥、早見沙織によってカバーされたことで、本作は新たな世代のリスナーにも届いた。

『secret base〜君がくれたもの〜』は、ただの一時代のヒット曲ではない。

この曲が語りかけているのは、「思い出は過去にあるものではなく、今も心の中で息をしている」という普遍的なメッセージだ。


※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに構成されています。また、記載された見解や表現には筆者の個人的な感想・解釈が含まれます。ご了承ください。