1. トップ
  2. 28年前、日本中が憧れた“彼らの海” 恋愛モノではない“異色の月9ドラマ”が視聴者の心をさらった夏

28年前、日本中が憧れた“彼らの海” 恋愛モノではない“異色の月9ドラマ”が視聴者の心をさらった夏

  • 2025.7.4

 

undefined
写真:photoAC(イメージ)

1997年の夏、日本中が“彼らの海”に憧れた――。

梅雨明けも近づき、2025年の夏がいよいよ間近に迫っている。プール、花火にフェス、風鈴の音…毎年夏の風物詩を挙げれば枚挙にいとまがない。ことエンタメで見ると、筆者は毎年、夏休みに『少年アシベ』や『タッチ』をアイスを片手に観ていたことを思い出す。そしてもう1つ、夢中になった“ドラマ”があった。

1997年、フジテレビの月9枠で放送された『ビーチボーイズ』だ。

「広海派」vs「拓海派」で白熱議論

undefined
桜井広海を演じた反町隆史 / (C)SANKEI

主演は当時23歳の反町隆史と26歳の竹野内豊。若手ながら色気をまとった二人が演じるのは、恋愛や駆け引きではなく、“ひと夏の男の友情”だった。ちなみにキャッチコピーは「ウニふんじゃったよ、オイ。」である。偶然出会った二人の青年が、ひと夏を和泉勝(マイク眞木)と孫娘・真琴(広末涼子)が営む海辺の民宿「ダイヤモンドヘッド」で過ごすという、静かで熱い物語だった。

反町演じる放浪人・桜井広海は、明るく奔放に見えるが繊細さを併せ持つ。一方、竹野内演じる鈴木海都は、仕事に疲れた冷静だが熱いビジネスマン。この“海男”二人は偶然「ダイヤモンドヘッド」に辿り着き、波音に包まれながら徐々に距離を縮めていく。タイプがまったく違うこの2人を巡り、筆者の周囲では「広海派か、海都派か」という白熱した議論が女性だけでなく男同士でも繰り広げられていた。

海辺の静かな時間と、人と人との距離感、出会いと別れが何より心に残る。これまでになかった要素で構成されたこの月9ドラマは、当時の視聴者に新鮮な衝撃を与えた。

多数の沁みる名言、雰囲気を作るオープニングテーマ

undefined
鈴木海都を演じた竹野内豊 / (C)SANKEI

「好きにやれよ。それで、失敗しろ。うんと、後悔しろ」―。

海都のもとにやって来た平泉成演じる大崎部長が放ったこのセリフが広く知られるが、それ以外にも広海の「どっかにあるでしょ、俺の海が」「するかもねー後悔。あとでさ」など、画面越しの私たちの背中押してくれる名言が『ビーチボーイズ』には散りばめられている。

また、ドラマの空気感を象徴するのが、反町自身(名義は反町隆史 with Richie Sambora)が歌う主題歌『Forever』。「風が揺れてる」「波が唄ってる」という歌い出しの歌詞、映像では着衣のまま海に飛び込み陸に上がる広海と海都。その後、ヤシを投げ合うシーンはまさに悪ふざけをする男の友情そのもの。ビーチボーイズを語るうえで絶対に欠かすことのできない重要な要素である。

28年前、日本中が“彼らの海”に憧れた

ストレス社会が加速し、SNSでの自己演出が当たり前になった今こそ、『ビーチボーイズ』が描く“素のままの自分でいられる夏”がより魅力的に思えるかもしれない。

『ビーチボーイズ』は、“今を生きること”“誰かといること”の大切さを今年の夏も私たちに教えてくれる。


※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに構成されています。また、記載された見解や表現には筆者の個人的な感想・解釈が含まれます。ご了承ください。

※参考:めざましmedia「【月9クイズ】 “あのドラマ”のキャッチフレーズは何?「僕はしにましぇ~ん!」ではありません!