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葬儀屋「日本の夏は暑すぎる」NGマナーへの“切実なお願い”に「全国的に広まってほしい」

  • 2025.7.27
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出典:photoAC(写真はイメージです)

一般的に、葬儀の場で礼服を脱ぐことはマナー違反であるとされています。厳粛な場に参列する以上、儀礼を重んじた行為を心がけることはとても大切です。

しかし…昨今の暑さは、なかなか耐え難いレベルに達していることも事実。そのような状況の中で、昨年、葬儀会社「佐藤葬祭」の代表を務めている佐藤信顕(@satonobuaki)さんが「喪服をかりゆしにしませんか?」とX(旧Twitter)で提案し「素晴らしい提案」「ぜひとも広まってほしい」大きな話題になりました。

はたして、世の中の人は喪服として「かりゆし」を着用することに対し、どのような考えを抱いているのでしょうか?詳しくご紹介します。

酷暑に喪服はつらい…。

猛暑日が続いている日本列島。異例の暑さといっても差し支えない状況の中で、喪服に関する言説も変化している様子。

一般的に黒いスーツや礼服を着用することがマナーとされていますが、現代にはそぐわないものであると感じている方はとても多いようです。

  • 昔と今じゃ気温が違うよね。
  • 最近本当に暑いもんね…。
  • 日本の夏の気候に、スーツや革靴は適していない気がするなぁ。
  • 猛暑の日に黒いスーツはきついって…。

葬儀屋「喪服にかりゆしを着ませんか?」

そのような状況の中で、創業89年の老舗葬儀会社「佐藤葬祭」の代表を務めている佐藤信顕(@satonobuaki)さんが2024年7月、ご自身のX(旧Twitter)に投稿したポストが話題になりました。

気になる投稿はこちら!

佐藤さんは、はじめに「葬儀屋からのお願い」というメッセージを記載。その後、「『日本の夏は暑すぎる、葬儀の服を見直そう!』」と呼びかけた上で、今後は黒いスーツではなく、沖縄県で着用されている「かりゆし」を喪服にしてはどうかと提案しました。

この提案に対し、SNSでは賛同のコメントが続出する事態に。

  • 喪服にかりゆし、とてもいいと思います!
  • もはや沖縄より暑い県が多いですからね。南国沖縄の知恵と伝統に倣うべき。
  • とても素晴らしい呼びかけ。全国的に広まってほしい。
  • 全面的に賛同します!

そのほか、ゆくゆくはかりゆしだけでなく、場の雰囲気を乱さない黒い服であれば許される時代が来てほしいという内容のコメントもありました。

  • かりゆしに限らず、黒い服ならOKってなるといいよね。
  • 黒い服であればOKってなってくれると、暑さに弱い私はとても助かるなぁ。
  • せめてジャケットが脱げるようになってほしいよね。

投稿の反響はいかに?発案者の佐藤さんに直撃取材!

---佐藤様の「かりゆし着用」を提唱するご投稿には多くのコメントや反応が寄せられていましたが、世間からはどのようなお声や反響がありましたか?

「このポストについては、ほぼ否定的な意見はなく、昔から気候も大幅に変わっているので、賛同の声がほとんどでした。ただ、業界団体などの賛同や業界人からの反応はほぼありませんでした

---やはり、業界関係者の方々からしてみると、なかなか受け入れ難い提案なのですね…。

「しかし、一般の方々からは沖縄ではかりゆしが当たり前、いいぞもっとやれ的な反応が多かったです。黒は暑いので、昔のように白喪服でワイシャツノーネクタイでもいいんじゃないかという声もありました」

---連日猛暑が続いている昨今の状況を踏まえると、そのような声があがるのも仕方ないかもしれませんね。

実話が元になった提案

「実は、この話を書こうと思うきっかけになった実話があるんです」

---え、そうだったのですね!どのようなお話か、伺ってもよろしいでしょうか?

ある家族葬で、高齢の男性が『かりゆし』を着て参列なさったんですね。その時点ではかりゆしだという認識はしてなおらず、暑い時期に合わせて涼しげでラフな格好だなぁと思いました」

---実際にかりゆしを着て参列された方に出会ったのですね!ほかの参列者は、その人にどのような印象を抱いていたのでしょうか?

「喪主さんと後日お話しする機会があり『あれは沖縄のかりゆしで、正式な喪服だよ。この暑い時期に体調を崩さないよう工夫し、そして敬意を十分に表してくれた賢い人だなと感じたよ』という話がありました。そこで、かりゆしを着ようという話を書いたんです」

---とても博識な上、他者に敬意をもって接する素晴らしい方だったのですね。かりゆしが沖縄では正式な喪服として扱われている事実が広まれば、世の中の人も積極的に着用するようになるかもしれません。

喪服は黒いスーツや礼服がマナーとされる理由

---「喪服は黒いスーツや礼服」という風潮がありますが、こういったマナーはなぜ残り続けてきたのでしょうか?

クーラーの無い時代の自宅葬は、開襟シャツに麦わら帽子で参列というのも普通でした」

---それは知りませんでした!

「黒いスーツを上着付きで着るのは親族の代表的なものだけという形だったため、実は、あまり昔から続く伝統というわけでないのです」

---てっきり昔から続く伝統だとばかり…。そのように勘違いしている人も多いと思われます。

「具体的には、葬儀を式場を借りて自宅でやる事が少なくなったころから、通夜葬儀には黒いスーツや礼服を着用するといった風潮がみられるようになりました。服装は気候に合わせて発展するものです。昔よりも10度も暑くなっているのですから、それに合わせた服装というのを見直す時期に来ているのです」

---仰る通りだと思われます…。しかし、業界全体で、夏場の喪服のスタイルを変えていこう、という動きはあるのでしょうか?

「残念ながら、業界が先行して服装を見直そうという流れは見られません。しかし、消費者の皆さんが『服装マナーを変えるべきだ』という声をあげていくことで、業界関係者も動き出すようになってくると思います」

---喪服のマナーを時代に沿った内容にするためにも、私たち一人ひとりが積極的に働きかける必要があるのですね。

喪服をかりゆしにするメリットとは?

---改めて、喪服をかりゆしにするメリットを教えていただけますでしょうか?

かりゆしは、暑い風土である沖縄の礼服です。気温が沖縄並みになった現在の本土において、他国の新しい文化ではなく、同じ日本の暑い所の工夫を取り入れるのは、文化的な軋轢も少なく、儀礼としても受け入れやすいのではないかと考えています」

---着眼点も素晴らしいですね…!実際、喪服としてかりゆしを着用することに対し、肯定的な意見を抱いている人はとても多かったです。

綿や麻と言った涼感のある素材のものも多く、礼服として使用されているため粗末ではないデザイン性やフォーマルさを備えています」

---暑い日に着る服として優れているだけでなく、礼服として使用しても問題ないなんて、まさに一石二鳥かもしれません。

「本来、葬儀社って言うのは社会の変化に合わせて、世論を引っ張っていくような意見を作っていく存在でした。たとえば、道路事情にあわせて葬列ができなくなったときに、霊柩車って言う新しい文化を生んだように。昔の葬儀社というのは、そういう先進性や儀礼との統合が出来たのです」

---そのようなお考えをお持ちの佐藤様だからこそ、沖縄以外の地域でも、喪服としてかりゆしを着用しようと提案できたのですね。

「気候が変わった現在、こうして旧来のマナーだけでなく『みんなで弔える社会』を永続するために、かりゆしの着用といった時代に合わせた変化などを、引き続き発信していきたいと思います」

---貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました…!

みなさんはどう考えますか?

今回は、葬儀屋さんの「喪服の代わりにかりゆし着用」の提案に対する世の中の人の反応をご紹介しました。

今の時代に即した魅力的な提案に賛成の意を示している方はとても多い様子。素晴らしい提案をしてくれた投稿者さんを褒めている人も多く、今後、喪服に関するマナーが変化していくことを期待している方も少なくありませんでした。

みなさんは、こちらの件についてどのように考えますか?


取材協力:佐藤信顕(@satonobuaki)さん