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失恋をきっかけに、恵比寿から都立大に引っ越した男。33歳になり、今が人生で1番モテる、と言えるワケ

  • 2025.6.29

上京する者たちは、年齢に合わせて居場所となる街を見つけていく。

ここで紹介するのは、30歳で自分に最高にフィットする街、都立大学に移り住んだ男。この街に魅了され、自分らしさを見出した。

等身大の毎日を過ごし続けた結果、ある出会いも訪れたのだった。

【PROFILE】
東京カレンダー


四国生まれ。中学はヘルメット着用の自転車通学。私立大学卒業後、内資メーカーに就職した。年収900万円。

最近、ビリヤニ作りにはまっている。サカナクションの長年のファン。メガネ愛好家だが視力は裸眼2.0。ヴィンテージ家具を集めるのが好き。

傷心のアラサー男に効いた、穏やかな都立大セラピー


都立大に越して2年半。恵比寿にいた頃より起床が2時間早くなり、朝6時に目が覚める。

レコードに針を落とし、コーヒーを豆から挽き、駒沢公園まで歩くモーニングルーティンは、SNSの丁寧な暮らし枠としては十分だと思う。でも、発信欲はもうない。

都立大に来てから、自分を良く見せようと頑張らなくなった。港区に住む大学の同期は豪華リゾートなどの“非日常”を投稿するが、僕が大事なのは、上質な“日常”。

自分が心地良ければ満たされる。そんなふうに思えるこの街に住むきっかけは、人生初の大失恋だった。

結婚するつもりだった彼女にフラれて、やけ酒と傷心が重なり疲弊。見かねた友人に誘われた店が、都立大の『お料理bota』だった。

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随分話しやすい店主に失恋を相談すると、「次の彼女作るしかないですね」とシンプルな解答をもらい、反射的に返していた。

「無理です、それが一番難しいんですから!」

ご近所さんらしき他の客がそんなやりとりを穏やかに笑ってくれて、ふっと楽になった。余裕のある客層に都立大っぽさを感じて、何度目かの訪問時には不動産屋に寄っていた。

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いまではなじみのカフェもできて、日ごとの焼き菓子とこだわりのコーヒーを楽しむ。

サードプレイス的にこのカフェを利用する同類が多くて落ち着くのだ。

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時折犬や子どもが前を通って平和そのもの。派手な集団や謎の年齢差カップルは皆無。

文化系男子にとってこんな住みやすい街はない。

家飲みの提案すらも響きが優しくなる街
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33歳、身長180cm、ナチュラル系ファッション、都立大在住。いまの自分が、いちばんモテている気がする。

都立大在住と言うと、下心までナチュラル系エフェクトがかかり、女性はちょっと安心するようなのだ。

それに学芸大学より大人で、自由が丘よりイマドキなムード。小体のお洒落な店が点在し、商店街にはほっこりしたムードが漂う。

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駅前にスターバックスもマクドナルドもない。昔、故郷になくて憧れ続けていたスタバなのに、その不在も都立大らしい景色と気に入っている。

住むのは4階建て低層マンションの4階。ささやかなバルコニーで植物を茂らせ、摘みたてのミントでハーブティーを入れる。

朝にふたり分を入れると、つかの間の関係のつもりが、「美味しいハーブティーご馳走さまでした」なんて始まりから次の誘いがきたりも。でもいまは、ライトな付き合いで十分だ。気ままな独り身で家が好き。

それなのに、真っすぐ帰れない夜もある。つい足が向くのは『お料理bota』。小粋な料理とクラフト酒がそろい、ビストロより気軽で、すべてがいい塩梅なのだ。

センスある大人たちが醸す上質なゆるさがここにはある


金曜夜7時。早めの時間は入りやすい店だから、予約はせず、空席をじかに確かめて扉を開けた。

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僕の他はたまに会う、音楽業界で働く男性のみ。

予約困難店で予定を埋めていた時期もあったが、いまは自分のペースで好きな時に好きなものを食べに行く。良質な店でそれが叶うのも都立大だ。

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店主の沓野さんは、ここを開業する前はなんと飲料メーカーに10年勤めていた。お酒に合うメニューの開発などを任され、その前は京都の星付き店『よねむら』で働いていたとか。

傷心していた頃の初訪問から話しやすくて、結局、通う店って店主の雰囲気が決め手と実感する。

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料理のセンスだって抜群だ。

ひとつ250円のチューリップ唐揚げはオリジナルスパイスが効いているし、ラムのトマト煮込みとクスクスは赤ワイン泥棒。〆にはちりめん山椒ごはんもあったりして、あくまで気軽な料理店だ。

ぽつぽつ客が集まり、カウンターも残り2席。

「今度、駅前にケンタッキーができるらしい!」なんてことやドラマの話、次に頼む料理の話を、カウンターに並ぶ大人が、好きなタイミングで会話に入り、酒をともにする。

この都立大的な上質なゆるさが、独り身の金夜にちょうどいい。

朝の駅での遭遇が重なり、淡い想いが濃くなって
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最後の2席、僕の隣に女性のふたり組が座った。「夏前に引っ越せてよかったね」なんて話をして、ひとりは最近都立大に越してきたようだ。

「物を一気に捨てたら気分がだいぶスッキリした」

腰を下ろす時に軽く会釈してくれた真横の女性は、同棲を解消したようなワードをいくつか口にする。僕と同じ歳くらい。目を合わせそびれたが、お洒落な人だとシャツとジュエリーで分かる。

少し酔った様子の彼女は、「恋愛相談してくる人、いそうですよね」と沓野さんに聞き、フライドポテトを追加注文。それをつまみにまだまだ飲む気がうかがえる。

「恋愛相談、ありますね。特に30代のお客さんで。でもみんな、ちょっとした軽めの話が多いですよ」

「じゃあ失恋の相談とかはないんですね?」と彼女が言ったので、僕は思わず笑ってしまった。「いや、ガッツリしました」と白状する。

誰かに言わざるを得ないどん底の気分が、数年後に笑い話になって良かったとしみじみ思う。実は彼女もいま同じ状況だというから、「次いくしかないです」とシンプルに助言。

それから、東横線のホームで彼女の姿を見かけるたび、嬉しい気持ちになる自分がいたのは意外だった。昔、電車通学の恋愛って都会的だなと憧れたが、30代で体験するなんて。

在宅ワークでもいいのに出社が増えた僕を、同僚は不思議がっている。

物語で都立大男子が訪れたのは…… 『JOLT the COFFEE』

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都立大学の駅から歩いて15分。静かなエリア八雲で、ローカルに愛されるカフェ。

読書をしたり、犬と戯れたりと、思い思いの時間が流れる。朗らかな夫婦が営む心地の良い一軒。

■店舗概要
店名:JOLT the COFFEE
住所:目黒区八雲3-1-6 八雲スカイハイツ 101
TEL:070-4447-2763
営業時間:10:00~18:00
定休日:原則、火曜、水曜
席数:テーブル16席、テラス4席

『お料理bota』

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『お料理bota』のbotaとはスペイン語でブーツを意味し、店主・沓野(くつの)さんの名前とかけている。

パテドカンパーニュやウフマヨなどのビストロ料理から、アジフライ、シウマイ、カレーライスまで用意。

■店舗概要
店名:お料理bota
住所:目黒区八雲1-7-18
TEL:070-1226-6070
営業時間:17:00~LO22:00(日15:00~LO21:00)
定休日:月曜、火曜
席数:カウンター7席、テーブル4席

■衣装
ジャケット¥83,600、シャツ¥44,000〈ともにヘリル/にしのや TEL:03-6434-0983〉、パンツ¥24,200〈アーバンリサーチ/アーバンリサーチ プレスルーム TEL:050-2017-9011〉、バッグ¥31,900〈モノリス/モノリス アオヤマ TEL:03-6805-0638〉、時計¥657,800〈オーデマ ピゲ ヴィンテージ/江口洋品店・江口時計店 松濤 TEL:03-5422-3070〉、眼鏡¥41,800〈ノチノオプティカル/ノチノオプティカル 南青山本店 TEL:03-6421-0869〉

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