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少子高齢化が進み、海外からの労働者の支えがますます必要に…「市民権と永住権」問題

  • 2025.6.21

意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「市民権と永住権」です。

移民排斥の進むアメリカ。日本は言語の問題が。

アメリカで生まれた子供は、親の国籍にかかわらず、無条件で市民権(アメリカ国籍)を得ることができます。トランプ大統領はこの「出生地主義」を廃止する大統領令にサインをしました。それは明らかな憲法違反だと連邦地裁、控訴裁が判断し、大統領令の差し止めをしましたが、トランプ政権は認めるよう最高裁に申し立てています。

一方で、500万ドル(約7億2740万円)を支払えば、アメリカの永住権を得られる「トランプ・ゴールドカード」を富裕層の外国人向けに販売開始。これまでもアメリカの事業に80万ドル以上投資をした外国人にグリーンカードを与える「EB‐5」という投資永住権プログラムがありましたが、それに代わる制度として打ち出しました。グリーンカードもゴールドカードも永住権を得られ、5年後に市民権取得の資格が得られます。

アメリカはそもそも移民によって生まれた国。多様な価値観を受け入れて成長してきました。ところが経済格差が広がり、移民がいい職を得ていることに不満を持つ白人たちが、トランプ政権を支持、アメリカのアイデンティティが根幹から問われています。

一方、日本は「血統主義」。出生地にかかわらず、親の国籍が日本人であれば日本国籍を取れます。日本に帰化しない限り、外国人は市民権(国籍)や永住権を得ることはできません。二重国籍も認めていないため、外国で生まれ、その国の国籍を取得した場合は、20歳になるまでにどちらかを選ばなければいけません。

ただ、日本は少子高齢化が進み、今後は海外からの労働者の支えがますます必要になります。移民の皆さんの権利を守り、どのように受け入れ、共に暮らしていくかは大事な問題です。欧米諸国に比べて大きな障害となっているのは言葉の問題。日本の場合、外国人の市民権や永住権といった制度の問題を語る前に、日本語教育プログラムや、日本の文化や風習を理解してもらうような環境作りから始めないとハレーションを起こしてしまうでしょう。地域の自治体などが率先して、足元のコミュニティ作りをし、段階を踏んで進めることが先決かと思います。

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