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決して忘れられない魅惑の女・3傑。本気で学ぼう!モテまくる人生のために!

  • 2025.6.17

『あの頃ペニー・レインと』のケイト・ハドソンの“いい女っぷり”

いわゆる“追っかけ”の女性を描いた映画だが、当時まだ“推し活”は一般的ではなく、オタクの男たちがまだ白い目で見られていた時代。とりわけロックバンドのグルーピーと呼ばれる女子に対しては、まだ偏見があったと言ってもいい。しかし、そういう女の子たちが逆に何かとても愛しくなる不思議な感覚までをもたらしたのが、『あの頃ペニー・レインと』のヒロイン、ペニー・レインを演じた、21歳のケイト・ハドソンだった。

この手の青春映画では異例とも言うべきだが、本作はアカデミー賞の脚本賞を受賞。同じアカデミー賞の最優秀助演女優賞にノミネートされたケイト・ハドソンは、ゴールデングローブ賞で最優秀助演女優賞を獲得している。まぁそのぐらい素晴らしい映画であり、何よりケイト・ハドソンの“いい女っぷり”がとんでもない。2000年公開だからもはや古典と言ってもいいが、人を魅了するスベを学びたい人は、絶対に観るべき一本なのだ。

ブレイク寸前のロックバンドのギタリストを追っかけているペニー・レインは、いわゆる“ヤラカシ系”のグルーピーとは違って、メンバーからも一目置かれる存在。女神のようにバンドを見守り、どこかで支えているような存在だった。だから、長期のツアーにも同行し、やがてお目当てのギタリストと関係を持つようになる。

そんなペニー・レインをそばで見ていて、恋心を抱くのが、まだ15歳の少年。といっても、文章の才能を認められ、同じくツアーに同行し、ロックバンドを取材して記事にするライターの卵である。実はそれがこの作品の脚本も担当したキャメロン・クロウ監督の少年時代の経験をもとにした、半ば実話的なストーリー、そのせいだろうか。何かやたら胸に染みるのだ。

そして、この映画を観て深く納得させられたのは、人の魅力って、こんなにも“そこはかとなく漂うもの”なのか?ということ。一般論として、推しに近づくためには手段を選ばず、厚かましくならざるを得ないイメージもある中、彼女はまったく違う次元でそばにいてくれることが心地よくなるほど。いつの間にか相手の中に入りこんでしまう不思議な魅力を持つ女性だった。

この時21歳と思えないほど、何か懐の深さからくる温かみを感じさせるから、そばにいてもらうことが心地よい。そんな雰囲気を持った女性を、若きケイト・ハドソンは見事に演じているのだ。いや正直、この映画を初めて観た時、すでにいい年だったにもかかわらず、自分もこんな女性になりたいなどと思ってしまった。以来、ずっとこのペニー・レインが、忘れられない女性となったのだ。ちなみに当時、ペニー・レインにはまる男が急増した。男も女も魅了するって、こういうことなのだろう。

ただ物語は、グルーピーはやっぱりグルーピーという展開にもなっていくわけで、何とも切ない上に、この語り部である15歳の少年の思いも絡んできて、非常に哀愁のある作品になっている。この映画をコメディにカテゴライズしている媒体もあるが、コメディじゃ全然ない。ラブコメとも違う。音楽映画でもある側面が、さらに深みを加えている。ぜひ観てほしい。そしてこの女性に会ってほしい。きっと忘れられなくなるから。

『プライドと偏見』のキーラ・ナイトレイの媚びない高潔

『高慢と偏見とゾンビ』という映画を知ってるだろうか? 実に奇妙なパロディ作品だが、逆にこんな映画がつくられてしまうくらいに絶大な支持を集めたのが本家本元の『高慢と偏見』。結婚をテーマにしたジェーン・オースティンの長編小説の一作で、今も原作が絶大な人気を誇っている。で、同タイトルで製作された映画やドラマは複数あるものの、ここで取り上げたいのは2006年製作の『プライドと偏見』。そして“忘れられないほど魅力的な人”の2人目が、キーラ・ナイトレイが演じたそのヒロイン、エリザベスである。キーラはこの時、弱冠20歳でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされている。

それこそ20歳という年齢が信じられないほど、エリザベスという“大した女性”を演技と思えないリアルさで演じているのだ。心に残るほど素晴らしいヒロインは、いつもそれを演じた女優とダブってしまうが、この人の場合は分けて考えるのが難しいほど。特にキーラ・ナイトレイ自身、非常に質素でストイックな生活をしているなど、ハリウッドにおいては稀有なタイプ。それがこの高潔なヒロインと非常によく似ていて、エリザベスを演じたたくさんの女優の中でも、傑出しているのだ。

18世紀末の英国。当時は女性に相続権がないため、年頃の娘たちは資産家と結婚することに躍起になった。ところが、実は自分も心惹かれている資産家のダーシーのプロポーズを毅然として断ったのがエリザベス。それもダーシーが中産階級を見下す男であるかもしれないという誤解からだったが、そういう意味で決して媚びないエリザベスに、ダーシーはなおさら強く惹かれていく。

そもそも、ジェーン・オースティンの描く世界は、現代の日本女性の心情に深い共感をもたらすもの。結婚観も現代日本と通じるところが多く、ある種の正義感を持って凛とした生き方をするエリザベスは、今の日本女性が理想とする精神性を持っていたと言っていい。そしてまたダーシーも寡黙で誠実、不器用ではあるがやはり正義感に満ちた理想の男。『ブリジット・ジョーンズの日記』のダーシー(コリン・ファース)も、実はこのダーシーが下敷きになったほど。いずれにせよ観客をやきもきさせるカップルは時代を超えて、人々を魅了してきたのだ。

ちなみにこの映画が公開された年、キーラ・ナイトレイはシャネルの「ココ マドモアゼル」のミューズに起用されている。たおやかにして強靭な心の持ち主であり、控えめかと思えば大胆な行動に出るエリザベスは、何だかこの「ココ マドモアゼル」の女性像にも重なってくる。ミューズはエマ・ワトソンに引き継がれ、今は『ゴシップガール』のウィットニー・ピークへとバトンタッチしているが、40歳となったキーラは今も“ココ”と“マドモアゼル”という矛盾した二面性を持つ奥深い魅力を象徴する女性の一人であるのは間違いないのだ。

ちなみに、同じくジェーン・オースティン原作の他の作品にも、リスペクトできる女性として心に残るヒロインが登場する。『いつか晴れた日に』でエマ・トンプソンが演じるエリノア、Netflix配信のドラマ映画『説得』で、ダコタ・ジョンソンが演じるアン。ともかくこのジェーン・オースティン作品のヒロインたちをぜひ知ってほしい。“ちゃんと正しく生きると必ず幸せがついてくる”ということを強く実感するはずだから。

『ベスト・フレンズ・ウェディング』のキャメロン・ディアスに首ったけ

忘れられないほど魅力的な女性、もう一人は、ヒロインではない。それどころか、ヒロインのライバルとも言える脇役だ。ドラマ史上、敵役が愛されたためしはなく例外中の例外。それだけにその魅力はちょっととてつもない。その人は『ベスト・フレンズ・ウェディング』のキャメロン・ディアス。主人公は、当時人気絶頂だったジュリア・ロバーツ。この偉大なヒロインを完全に食ってしまっているのだ。すでに“親友”関係にある元カレから結婚の報告を受け、まだ未練のある主人公がその結婚を阻止しに行く設定。で、その敵役がほかでもない、元カレの婚約者キミーを演じるキャメロン・ディアスなのだが、それが大金持ちの娘で、まだ20歳の女子大学生。常識的に言って、観客はこの敵役を鼻持ちならない女として忌み嫌うような展開になるはずが、問題の結婚式に招かれ、ニューヨークからシカゴを訪れた主人公を、婚約者の元カノと知っていて遠くから無邪気に駆け寄ってハグをするキミー。何かもうこの時点で、主人公は負けている。ここから結婚妨害が始まり、キミーを陥れようとするのだが……。

たとえば、音痴だというキミーがある店で満席の客の前で歌うハメになるのだが、これぞ映画史上に残る名場面。キミーの可愛らしさが爆発する。この映画の感想に「主人公よりキミーを好きになる人が多いとしたら、それは失敗作である証だ」というのがあったが、その通り。

ただ、そういうことを差し引いても、私はこのキミーが映画史上もっとも魅力的な登場人物の一人であると感じてきた。それをキャメロン・ディアスが演じたことも大きい。公開の翌年、この映画を観た男の9割はキャメロン・ディアスの虜になっていると言われ、モンスター的モテ女映画『メリーに首ったけ』につながっていくのだが、むしろ敵役でここまで人を惹きつけるって、役柄も演じる女優もとてつもなく魅力的な女性であることの動かぬ証拠。という訳で、一度は観ておいてほしい人物の一人なのである。

人を惹きつけ、大好きにさせ、忘れさせなくさせる女性三傑……いずれも20年ほど前に観た映画なれども、そこまで心に残っている裏づけでもあり、魅力的な女性の条件は、時代もトレンドも超えるのだ。ましてや彼女たちは愛されることに必死になったり、計算したり、そもそも狙っちゃいない。映画だからじゃなく、架空の人物であろうとなかろうと、あくまでフェアな女性がモテまくる。それって天性の才能とも言えるが、諦めちゃいけない。唸るほどの魅力の正体をたくさん見ると、ワザではなく感覚として身についてくる。それは一生かけてもいい重要な美容なのだ。既婚も未婚も関係なく、やっぱりモテまくる人生は輝かしい。それだけは間違いないのだから。

人を惹きつけ、大好きにさせ、忘れさせなくさせる、モテまくる女たち……それは天性の魅力とは言え、諦めちゃいけない。唸るほどの魅力の正体をたくさん見ると、ワザではなく感覚として身についてくる。一生かけてもいい重要な美容!

撮影/戸田嘉昭 スタイリング/細田宏美 構成/寺田奈巳

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