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「税率10%が8%に…」お持ち帰りを“店内”で食べる客に物議…「犯罪でしょ」「ダメなの?」弁護士に聞いてみた

  • 2025.6.28
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

テイクアウト(持ち帰り)は税率8%、イートイン(店内飲食)なら税率10%。消費税の軽減税率制度が始まって以来、この税率の違いに戸惑う人も多いのではないでしょうか。

中には、お店の利益は減るものの、お客さんに分かりやすくするために、イートインもテイクアウトも同じ金額にしているという店もありますが、分けている店も少なくありません。

SNSで「あるドーナツ屋の店内で食べていたら、隣の夫婦がテイクアウトした袋から取り出して店内で食べ始めて驚いた」といった趣旨の投稿がされ、「税率違う店けど問題ないの?」「え、何がだめなの?」と話題になりました。

はたして、税率の違うお店の店内でテイクアウトしたものを食べることは法的に問題ないのでしょうか?

こちらの疑問について、弁護士さんに詳しくお話を伺いました。

気になる税率問題、弁護士が回答

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

---テイクアウトは税率8%、イートインは税率10%というお店において、テイクアウトした商品を店内で食べるという行為は違法でしょうか?

テイクアウトした商品を店内で食べることには罰則は設けられておらず、違法ではありません。また、事後的に税率も変更されません。そのため、店側が訴えることも困難だと思われます。

---税率の違いを認識してわざとやった場合でも同様でしょうか?

認識の有無にかかわらず、罰則の適用はないので、罪にはなりません。

---店員の立場として、こういったお客さんにはどのような対応が可能でしょうか?

精算済みの人がテイクアウトした物を店内で食べていたのを見つけた場合には、「恐れ入ります、お召し上がりのご予定があれば、イートインとしてお会計いただくことになっております。もしよろしければ、差額分をご精算いただけますか?」等と穏やかに声掛けすることが必要です。

予防策として、「店内でのご飲食は、税率が異なります。ご購入の際にお知らせください」「テイクアウト商品を店内でお召し上がりになる場合は、差額精算をお願いします」などの注意喚起を目立つ位置に掲示することも有効です。

お互いの理解と配慮で円滑な利用を

テイクアウト商品を店内で食べても法的な問題はないとのことです。

軽減税率制度(食品などの税率を8%に据え置く制度)は、消費者の負担を軽減するために設けられた仕組みです。テイクアウトとイートインで税率が違うのも、この制度の一環なのです。

SNSの意見を見る限り、イートインとテイクアウトの税率が違うということをまだ知らないという人も多くいるようでした。店側も「違法だから」という理由でお客さんを訴えることはできませんが、税制の趣旨を理解してもらうための説明は必要でしょう。

一方で、私たち消費者も「違法じゃないから大丈夫」と開き直るのではなく、お店の事情や税制の仕組みを理解して利用することが大切です。決して、悪用してはいけません。

最終的には、お店とお客さん双方の理解と配慮によって、気持ちよく利用できる環境を作っていくことが何より重要なのかもしれませんね。

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