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子どもが「幸せなお金持ち」になるために…パックン「親が言ってはいけない3つの言葉」

  • 2025.6.15

わが子をお金に困らない子に育てるにはどうすればいいか。『パックンの森のお金塾 こども投資』を著したパトリック・ハーランさんは「親子でお金の話をするのはとても大切なことだ。でも一方で、子供に言ってはいけない言葉を親が口にするのをしばしば耳にする」という――。

子どもの勉強を見る母親
※写真はイメージです
NGワード①:「よい成績をとったら、おこづかいをあげるよ」

成績アップのご褒美に、おこづかいをあげる。やりがちかもしれませんが、僕はあまりおすすめしません。なぜなら成績が落ちたら、おこづかいももらえないから。うまくいっているときはいいかもしれませんが、結果が悪いと子供はダブルのショックを受けてしまいます。

僕が子供の頃、母は僕の成績がほとんどAならピザ、オールAならレストランでディナーと、成績に対するご褒美をつけてくれていました。当時は外食なんて、めったにできなかったから、確かにモチベーションになりました。ですが実際、僕が勉強を頑張れたのは、母を喜ばせたい、自分の才能や学力を高めたいという意欲があったから。ピザやディナーで成績が変わったとは思いません。

勉強も、お金の投資と同じように、どんどん複利効果で賢くなります。

複利効果とは何か。わかりやすい例を出しましょう。もし手元にある現金1万円をまったく投資しなかったら、10年後も30年後も1万円のまま。この時、金利5%(単利)の金融商品に投資したら、毎年500円ずつ金利がついて、30年後には1万円は2万5000円(元手の1万円+金利500円×30年分)になります。でも、複利ならどうか。毎年つく500円の金利を含めて投資していくので、30年後には4万3200円(1年目:10000円×5%、2年目:10500円×5%、3年目:11025円×5%……)になります。

【図表1】人類最大の発明⁉ 「福利」ってすごい
出典=『パックンの森のお金塾 こども投資』

勉強は、積み重ねが大事。前に勉強したことを土台にして次のステップへ進みます。投資でいう複利のような仕組みです。だから、日々の蓄積をしっかりやれば複利で1万円→4万円超へと成長したように、自分の頭もぐんぐん成長します。

子供のうちの勉強はお金の投資より大切ということを伝えて、日頃から親が子供の努力をしっかり見守って、がんばれたときに褒めることをしていれば、ご褒美がなくても頑張れますよ。

【図表2】いろいろ言っているけど子どものうちはお金より、勉強のほうが大事!
出典=『パックンの森のお金塾 こども投資』
アメリカでは「ジョブ型おこづかい」が主流だが落とし穴が…

「よい成績をとったら、おこづかいをあげるよ」と似た言葉に「家の手伝いをしたら、おこづかいをあげるよ!」というものがあります。これに関しては、僕個人としては「アリだけど、注意が必要」という意見です。

日本では、月にいくらという「定額制」おこづかいの家庭が多いようですが、アメリカでは、手伝いをしたらおこづかいを渡す「ジョブ型」が主流です。つまり、まさに「家の手伝いをしたら、おこづかいをあげる」やり方。これだと、子供はお金が発生しないと動かなくなります。「散らかっているから片づけて」と言うと「じゃあ、3000円」なんて手を差し出されるようになりますよ。

なので、わが家は、「定額制+ジョブ型の組み合わせ」にしています。子供が中学生ぐらいから定額のおこづかいには、家族を支える責任代として手伝いも含まれています。それ以上お金がほしいなら、ジョブ型で別のアルバイトをして稼いでもらう。この家で暮らしているなら、君も協力しなきゃいけないということは、幼いころから教えた方がいいと思うんです。社会もみんなが協力し合って成り立っているものですからね。

NGワード②:「投資はギャンブル」

つい最近まで日本人の投資意識は低く、「投資はギャンブル」と言っていた人も少なくなかったように思います。でも、投資とギャンブルは、全く違います。

【図表3】「投資」と「ギャンブル」は何がちがうの?
出典=『パックンの森のお金塾 こども投資』

競馬や競輪、競艇、パチンコ、それから宝くじもギャンブルですが、これらはみんなから集めたお金から手数料などを引いて、残ったお金を当たった人に配分します。宝くじの購入者への還元率は50%以下です。誰かが得すると、誰かが損する仕組みになっている上に、当たる確率はとても低く、一方、投資はみんなから集めたお金を企業や国に投じて、企業や国がそれを育てて大きくしてから、みんなに配分する。株や債券などの投資は「成長ありき」です。有効活用してくれる企業や国に自分の余剰金を預けて、投資された側は努力してその価値を高める。そこから株式なら配当金、債券なら利息を払ってもらえる。つまり投資は、みんなが幸せになる仕組みなのです。その違いを理解して、お子さんにも伝えてほしいですね。

「長期分散投資」でリスクはおさえられる

また親自身が「投資は怖い」「損をする」と言って、投資に一歩踏み出せない人もいます。もちろん株は上がり下がりするものですから、買った株の価格が下がり、損することもあります。そういった投資のリスクを減らすには、「長期・分散」すること。「長期」とは、短期的な利益を追求するのではなく、長く投資すること。それによって「複利の恩恵」を受けることができます。複利とは、利息を元本に組み入れて再投資すること。それによって、利益がさらに利益を生むため、時間をかけるとぐんぐん増えていきます。

そして「分散」は、一つの会社だけでなく、複数の会社の株を買うこと。株の盛り合わせである投資信託を活用するのもよいでしょう。投資には「卵は1つのかごに盛るな」という格言があります。これは卵を1つのかごに盛ると、落としたら全部割れてしまうけれど、いくつかのかごに分ければ、全部割れることはないという意味。投資もいろいろなところに分けると、リスク分散になるのです。

歴史的に、アメリカの株は20年スパンで下がったことはありません。これからのインフレリスクを考えると、日本円で持っていることは必ずしも安全とは言えません。今100円で買えるものも、インフレで価格が200円に上がってしまったら買えなくなる。何もせず現金のままなら、お金が減るということですから。債権のように基本的に元本保証されている投資方法もあるので、許容できるリスク範囲内で、なんらかの投資をしていくことは、必須だと思います。

言ってはいけないNGワード③「お金は汚いもの」
パトリック・ハーラン『パックンの森のお金塾 こども投資』(主婦の友社)
パトリック・ハーラン『パックンの森のお金塾 こども投資』(主婦の友社)

アメリカでは、家庭でも友だち同士でもお金や投資の話をよくします。そして、実際に投資でお金を増やしている人も多い。ところが日本では、お金の話はどこかタブー視されがち。お金の話をするのは「はしたない」と思われているのかな。「お金は汚いもの」と実際に言っている人もいました。いちいちお金の話をしないのは日本人の美学であり、その姿勢を僕も素敵だなと思っています。もちろん人生には、お金よりもっと大切なものがたくさんありますからね。

ただ、だからといってお金の話を避けるのはよくないと思う。人が社会で生きていくには、お金は欠かせないからです。僕たちは、一人では生きていけません。自分のできることをして、社会に貢献し、できないことは他の人の力を借りる。他の人の力を借りたら「ありがとう」のしるしにお金を渡すし、反対に自分が他の人にできることをしてあげたら「ありがとう」と言われて、お金を受けとる。そう、お金は「ありがとう」と等価交換するものだと考えると、話を避けることでも何でもないんです。

「ありがとう」がお金のかたちでやりとりされる

お金は人と人をつなぐツールです。「ありがとう」と等価交換していれば何の問題もありません。ただ、お金をたくさん欲しいがために「ありがとう」と言われないことまで無理にやって、お金をとろうとすると、お金は汚いものになります。だから最初に「ありがとう」と言われることをすれば、お金はきれいというか、むしろ僕は美しいものだと思うんです。

【図表4】だれかが喜ぶと「ありがとう」がお金になる
出典=『パックンの森のお金塾 こども投資』

さらに、お金は人と人だけでなく、企業と企業、国と国といった共同体もつなぐものです。だからお金をうまく使えば、それに参加することもできます。例えば、投資というのは、自分が利益を上げることももちろん大事だけど、それだけじゃない。特定の企業や国に投資することで、その共同体が利益を生み出すのをサポートしているのです。その企業や国に貢献している。だから、やっぱりお金は汚いものじゃない!

パトリック・ハーラン(ぱとりっく・はーらん)
お笑い芸人
芸名パックン。1970年、米・コロラド州出身。93年、ハーバード大学比較宗教学部卒業。同年来日。福井県で英語教師を務めた後、97年、吉田眞と「パックンマックン」を結成。著書に『逆境力』(SB新書)など。

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