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【イワシ御三家】真イワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシの違い 実はあの加工品もイワシだった!栄養の違いと豆知識を解説

  • 2025.6.14

イワシにはいろいろな種類がある!

イワシにはいろいろな種類がある!
イワシにはいろいろな種類がある!

食品の値上がりが続くなか、比較的お手頃価格で庶民の味方と言える魚がイワシです。実は、ひとくちに「イワシ」と言っても、いろんなイワシが流通しているのをご存知でしょうか。この記事では、イワシの種類と栄養の違い、驚くほど幅広い加工品の数々をご紹介したいと思います。

イワシ御三家は「真イワシ」「ウルメイワシ」「カタクチイワシ」

▲「イワシ御三家」。写真上から、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ。
▲「イワシ御三家」。写真上から、マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ。

現在、日本で流通しているイワシは主に3種類あり、それぞれ旬の時期や見た目が異なります。

●真イワシ(マイワシ)イワシ=真イワシを指すことが多く、日本でよく食べられている大衆魚の代表格です。6月の梅雨の時期に水揚げされる「入梅いわし」も真イワシです。回遊魚で春に北上し、秋に南下して日本各地で漁獲されるため、10月頃まで旬の時期が続きます。成魚は体長20cm程度のものが多く、側面に黒い斑点が並んでいるのが見た目の特徴です。

●ウルメイワシウルメイワシは、目が大きく潤んだように見えることから、その名が付いたと言われています。10月から2月頃が旬とされています。イワシの中で最も大きく成長するのですが漁獲量が少なく鮮度が落ちやすいため、鮮魚は流通する機会が少ないレア魚です。

●カタクチイワシカタクチイワシは、下アゴが小さく、片口に見えるのが名前の由来です。イワシの中で最も小型で、小イワシ(コイワシ)と呼ばれることも。旬は初夏から秋頃とされていますが、年間を通して水揚げされています。なお、広島では鮮度の良い小イワシのお刺身をショウガ醤油でいただくのが初夏の風物詩なのだそう。

イワシ御三家と代表的な加工品の栄養を比較してみた

イワシに共通する栄養ポイントは、良質なたんぱく質、オメガ3系脂肪酸のDHAとEPA、ビタミンD、カルシウムなどのミネラルが豊富な点です。イワシ御三家の栄養の違いを比較してみたところ、それぞれの特徴がありました。

イワシ御三家の栄養の違い
イワシ御三家の栄養の違い

●マイワシDHAとビタミンDの含有量がイワシ御三家の中でトップ。特に、ビタミンDは1日の目安量9μg(男女12歳以上)をマイワシ1尾(目安重量120g)で十分補えることになります。

●ウルメイワシたんぱく質、カルシウム、鉄の含有量がイワシ御三家の中でトップ。さらに、骨まで丸ごと食べられる丸干しの含有量は、たんぱく質と鉄が約2倍、カルシウムは約7倍にアップします。ウルメイワシの大きにもよりますが丸干し100g(目安重量1尾13~30g)で、たんぱく質、カルシウム、鉄の1日の推奨量の半分程度をクリアできます。

●カタクチイワシEPAとn-3系脂肪酸(EPA, DHA,DPA,α-リノレン酸)の総量がイワシ御三家の中でトップ。n-3系脂肪酸の1日の目安量である男性12?49歳2.2g(50歳以上2.3g)、女性10?49歳1.7g(50~64歳1.9g・65歳以上2.0g)を、カタクチイワシ100g(目安重量1尾10?40g)で補うことができます。

スーパーなどでイワシや加工品の種類が複数あって迷う場合は、生活習慣病予防ならマイワシとカタクチイワシ、骨粗しょう症予防や成長期の子どもさんにはマイワシとウルメイワシ、筋活や貧血予防ならウルメイワシといった具合に目的応じて選んでも良いかも知れませんね。

実はあの食品もイワシだった!

イワシは鮮魚だけでなく、加工品も日本の食卓ではおなじみの食品です。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。「これも、そうなの!?」と思うものが、あるのではないでしょうか。

●丸干し、めざし食塩水に漬けたマイワシ、ウルメイワシ、カタクチシワシを丸のまま乾燥させたもの。半生タイプの「生干し」、十分に乾燥した「上干し(本干し・かた干し)」などがあります。「めざし」はその名の通り、イワシの目にワラや串を通して干したもので、カタクチワシ、ウルメイワシを使うことが多いようです。軽くグリルすると香ばしく、骨まで丸ごと食べられます。お弁当にもおすすめです。

●煮干し、いりこ主に小型のカタクチイワシを食塩水で短時間煮沸後、乾燥させたもの。地域によって呼び名が異なり、東日本では「煮干し」、西日本では「いりこ」と呼ばれる場合が多いようです。お正月の祝い肴としておなじみの田作り(ごまめ)もカタクチイワシの幼魚の素干しで、かつて田畑の肥料としてカタクイチワシを使っていたことから豊作を願う縁起物になりました。

●シラス干し、ちりめんじゃこ「シラス」は体長3cm以下のイワシの稚魚のこと(関西では「ちりめんじゃこ」「じゃこ」)。カタクチイワシが主体で、マイワシを使ったものは「ましらす」と呼ばれます。加工方法によって生シラス、釜揚げシラス、シラス干し、ちりめんじゃこなどの種類があります。なお、シラス干し・ちりめんじゃこは乾燥度が異なり、シラス干しは水分70%程度(微乾燥)、ちりめんじゃこは水分45%程度(半乾燥)のものを指すのが一般的です。

●アンチョビ、オイルサーディン「アンチョビ」は主にカタクチイワシの三枚おろしを生のまま塩漬けにして発酵させてから頭や内臓を取り除いて油に漬けたもの。「オイルサーディン」は主に小ぶりのマイワシの頭・尾・内臓を取り除いて加熱処理後に油漬けにしたものです。アンチョビはイタリアンなどで調味料として使われることも多いですね。

ほかにも、カタクチイワシや小ぶりのマイワシを、開いてから調味液に漬けて乾燥させた「みりん干し」、主にマイワシを原料にした缶詰(食塩のみで調味した水煮、トマトピューレを加えたトマト煮など)、シラスを板状に乾燥させた「たたみいわし」などもあり、イワシの加工品の多彩さに改めて驚かされます。

まとめ

▲筆者が好きな食べ方は「真イワシの蒲焼き風」。リーズナブルにウナギの蒲焼き気分を楽しめます!
▲筆者が好きな食べ方は「真イワシの蒲焼き風」。リーズナブルにウナギの蒲焼き気分を楽しめます!

かつて、あの紫式部が夫の留守中に密かに焼いて食べるほど大のイワシ好きだったという逸話も(紫式部ではなく和泉式部の逸話という説もあり)。それほど、イワシは古くから日本人にとって身近な魚。焼き物・煮物・フライなど幅広い料理で味わえる成魚、たっぷり食べられるシラスやちりめんじゃこ、お酒にも合うオイルサーディンなど。みなさんが好きなイワシの食べ方は何でしょうか?

※参考文献:『日本人の食事摂取基準(2025年版)』、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部

(野村ゆき)

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