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「自分でもなんであんなことしたのか…」50代患者が行方不明に!?看護師が体験した“夜の騒動”に愕然…

  • 2025.6.9
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

医療現場であっても、すべての患者さんの行動を予測することは難しいもの。特に手術後の患者さんは、身体的な負担だけでなく、精神的な不安やストレスを抱えていることが多く、時として予想もしない行動に出ることがあるようです。

今回は、現役看護師のAさんが体験した、一見穏やかな患者さんが突然起こした驚きの行動について紹介します。

「早く帰らしてくれや」退院を強く希望する患者さん

私が看護師として勤める病院に、急性胆嚢炎で緊急手術を受けた50代の男性患者さんが入院していました。

術後の経過は良好で、せん妄(手術や入院のストレスによって起こる意識の混乱状態)などの明らかな症状はなく、穏やかに過ごされていました。しかし、入院直後から「早く帰らしてくれや」「もう帰りたいわ」「いつなったら帰れるんや」と何度も訴えが。

口調も落ち着いており、不穏行動には至っていなかったため、患者さんの話を傾聴しつつ「もうすぐ退院できますよ」「主治医の先生に確認してみましょうね」と寄り添いの言葉をかけて対応していました。

しかし、ある夜の巡回時、その患者さんの病室には姿が見られず、病棟内は一時騒然!

スタッフ総出で病院内を探し回りましたが見つからず、ご家族に連絡したところ、なんと、ご自宅へ戻っていたのです。

パジャマ姿のまま、点滴が付いた状態で最寄りの駅から歩いて帰宅されていたとのこと。

病院へ戻ったご本人は「自分でもなんであんなことしたのかわからんな」と穏やかな表情で話されていました。

振り返ってみても、明らかなせん妄症状はありませんでしたが、軽度の意識混濁やせん妄傾向があった可能性は否定できません。

最終的には無事退院されましたが、スタッフ間で注意が必要なケースとして共有されました。一見落ち着いているように見える患者さんでも、突発的で想像を超えてくるような行動を取る可能性を改めて実感した出来事でした。

予想を超える患者さんの行動から学ぶこと

手術後の患者さんは、身体的な回復だけでなく、精神的なケアも重要です。「早く帰りたい」という訴えの背景には、人それぞれではありますが、たとえば家族への心配や仕事への不安、慣れない病院環境への戸惑いなど、さまざまな要因が隠れていることがあります。

また、せん妄は必ずしも分かりやすい症状として現れるとは限りません。軽度の意識混濁や判断力の低下は、一見正常に見える行動の中にも潜んでいる可能性があります。医療スタッフは、患者さんの小さな変化にも注意を払い、多角的な観察を続けることが求められます。

表面的な症状だけでなく、患者さんの心の声に耳を傾け、安心して治療を受けられる環境作りに努めることも重要なのですね。


《取材協力》
現役看護師・Aさん
精神科病院で6年勤務。現在は訪問看護師として高齢の方から小児の医療に従事。精神科で身に付けたコミュニケーション力で、患者さんとその家族への説明や指導が得意。看護師としてのモットーは「その人に寄り添ったケアを」。