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飛行機で「罰金」を取られることがあるって本当!?元CAが教える「シートベルトサイン点灯中に注意が必要な“理由”」に…驚愕

  • 2025.6.15
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

「早く飛行機から降りたい」と、着陸後すぐにシートベルトを外して立ち上がってしまった経験はありませんか?

実はこの行為、ある国では“罰金”の対象になってしまう可能性があるのです。

元国際線CAの私も驚きの、この新しいルールについてご紹介します。

約1万円の罰金!トルコが導入した厳格な新ルールとは?

つい先日(2025年5月30日)、トルコ民間航空総局(Turkish Directorate of Civil Aviation)から衝撃的な発表があったのをご存じですか?

なんと、飛行機が着陸してシートベルトサインが消える前に立ち上がると、“最大で約70ドル(約1万円)の罰金”が科される可能性があるという、元国際線CAの私もビックリの新ルールです。

このルールはトルコ発着の飛行機すべてに適用され、飛行機が完全に停止する前にシートベルトを外して立ち上がったり、荷物を収納棚から取り出したりする行為が対象となるとのこと。

そして、トルコに就航している航空会社には、機内アナウンスの内容を改訂し、このルールをお客様に伝えることが義務付けられるそうです。

公式発表や報道では明確な施行日は示されていませんが、現地メディアや日本の主要報道が発表と同時に「適用される」と伝えていることから、すでに施行されている可能性が高いと考えられます。

この“罰金ルール”が必要になった理由

このルールが制定された背景には、シートベルトサインが点灯中にもかかわらず席を立つお客様が多く、安全を損なう危険性があることが挙げられます。

また、客室乗務員の指示がないままお客様が荷物を取り出すことで通路がブロックされ、スムーズな降機ができなくなってしまうという問題もあるでしょう。

こうした問題を解消するために、苦肉の策としてトルコ民間航空総局はこの“罰金ルール”を制定したのです。

私が勤務していた航空会社でも、着陸後には「飛行機が駐機場に到着し、機体が完全に停止するまでは、シートベルトをお閉めのままでお待ちください」という機内アナウンスをしていました。

それでも、着陸すると多くのお客様がシートベルトを外され、立ち上がって座席上の収納棚から荷物を取り出そうとされるケースは珍しくありませんでした。

着陸後の立ち上がりは本当に危険なのか?

「もう上空を飛んでいないし、スピードも出ていなさそうだから大丈夫だろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、結論からお伝えすると、着陸後に駐機場まで移動している際に立ち上がったり、席から離れたりする行為はとても危険なのです。

機内にいるとスピードの感覚が分かりにくいのですが、飛行機は着陸後も速いときで時速55kmほどで移動しているため、何かの拍子に急ブレーキがかかると転倒して怪我をしてしまうリスクが非常に高いのです。

お客様の中には、着陸後の滑走中にトイレに駆け込もうとされる方もいらっしゃいます。

そのような際には、私たち客室乗務員は大きな声で「お客様!危険ですので、お座席にお戻りください!」とお声がけをせざるを得ないのです。

「早く降りたい!」その気持ちが招く混乱

お急ぎの場合など、一刻も早く機内から出たいお気持ちは痛いほど理解できます。

しかし、航空会社は降機の際に優先順位を設けていることが多く、前方に座席があるファーストクラスやビジネスクラスのお客様から降りていただくのが一般的です。

もし、我先にと飛行機から降りようとされますと、降機の順番を無視することとなり、上位クラスに搭乗されているお客様への優先降機のサービスが提供できなくなってしまいます。

また、出口へとお客様が殺到することで通路がブロックされ、安全でスムーズな降機ができなくなってしまうため、客室乗務員の指示があるまではお座席でお待ちいただきたいのです。

“罰金”は世界的に見ても珍しいルール

シートベルトサイン点灯中に立ち上がると“罰金”というトルコのルールは世界的に見ても珍しいものですが、それだけ安全への意識が高まっている証拠ともいえるでしょう。

これからトルコへお出かけになる予定のある方は、不注意で罰金を課せられることのないようご注意くださいね。

そして、こうした罰金などがなくてもご自身の安全のために、着陸後は機体が完全に停止してシートベルトサインが消えるまで、お座席でお待ちいただけると幸いです。

それでは、安全で楽しい空の旅を!


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。