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不倫疑惑に「夫死んで」… 殺伐とした2025年春、意外すぎる “超純愛ドラマ” が視聴者の心をつかんだワケ

  • 2025.5.28

話題作とは対極にある癒やし系ドラマ

芳根京子さん(2023年2月13日、時事通信フォト)
芳根京子さん(2023年2月13日、時事通信フォト)

毎日のように不倫疑惑がニュースで報じられ、また今期の春ドラマ(2025年4~6月)は「夫よ、死んでくれないか」(テレビ東京系)、「子宮恋愛」(日本テレビ系)など、どぎつい設定の作品が話題。殺伐としたムードが漂う中で、純愛を扱った意外なドラマが注目を集めています。芳根京子さん主演のドラマ「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ系)です。

同作は、西香はちさんの同名コミックが原作。1936(昭和11)年の日本を舞台に、交際ゼロ日婚をした夫婦の純情すぎる愛の形を描くドラマです。芳根さん演じる主人公・江端なつ美は、おっとりとした性格の天然キャラ。夫・江端瀧昌は帝国海軍の堅物な軍人で、若手イケメン俳優の本田響矢さんが演じています。

幅広い世代から人気の同作ですが、見どころは何といっても中学生のように純情ななつ美と瀧昌の夫婦関係です。夫婦なのに手を握るだけでドキドキし、なかなか初夜を迎えられないほど二人とも恋に奥手。相手の行動に一喜一憂する姿がいとおしく、心がほっこりするストーリーのドラマとなります。

ドラマ化に際して、作品の魅力を引き上げているのが主演である芳根さんの演技です。芳根さんといえば実写ドラマで名作の多い女優で、役作りのうまさに定評があります。そんな芳根さんは、今作でもなつ美の作り込みが完璧。

なつ美は、前述した通り少し抜けたところがあり、作中では頻繁にキョトン顔を披露します。一歩間違えればぶりっ子になるところを、芳根さんは表情の作り込みなどがうまく嫌味に見えないように演じています。5月22日放送の第5話では、初めて二人がけんかをするのですが、瀧昌のことをどう怒ったら良いのか戸惑う表情や仕草が秀逸。芳根さんはどんなジャンルの作品でも対応できる演技力を持っていますが、清楚なビジュアルが純朴ななつ美にマッチしてはまり役となっています。

また、ストーリー構成もうまく、二人が夫婦として徐々に距離を縮める様子が、さまざまな出来事を通じて描かれています。はじめは緊張していた二人が、ヤキモチを焼くようになり、過去の話を聞き認め合い、けんかして仲直りするなど、ゆっくり家族になっていくところを視聴者が一緒に体感できるすばらしい脚本です。

ちなみに、原作者の西香さんは「ダ・ヴィンチWeb」のインタビューで、原作にはないやりとりシーンがあり、それが最高だったと明かしています。原作者すらとりこにする脚本を作り上げている制作陣の優秀さもあり、ドラマは放送を追うごとに人気を集めています。

2025年5月23日時点では、TVerのお気に入り数は95万人以上でTOP3にランクイン。また、第1~4話までの見逃し配信数は総数で累計1300万回再生を突破しています。今期の春ドラマでは、どの数字も上位にランクインする記録となり、高い注目を集めていることが分かります。

視聴率はこれまでの木曜劇場と比べてもずば抜けて良いわけではないですが、見逃し配信で驚異的な数字を記録していることで、若い世代の視聴者が好んで見ているようです。

ここ最近のドラマでは、複雑な伏線を張り巡らせたストーリーや、過激な描写のドラマが人気でした。そう考えると、ゆるやかに日常が流れていく「波うららかに、めおと日和」は、意外過ぎるヒット作だと言えるでしょう。原作の良さは基より、演じている俳優陣、制作スタッフのレベルが高いことを証明しています。

世間は不倫騒動で大騒ぎの中で、人を愛する大切さを気付かせ、癒やしを与えてくれる「波うららかに、めおと日和」。未視聴の方は見逃し配信で追い掛けることをおすすめします。

(ゆるま小林)

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