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46年前、日本中の胸が高鳴った“宇宙に行ける曲” ジャンルの枠を飛び越えた“別次元の映画主題歌”

  • 2025.7.9

「1979年の夏、あのイントロが鳴るだけで、胸が高鳴った」

ゴダイゴが手がけた『銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)』(作詞:奈良橋陽子・山川啓介、作曲:タケカワユキヒデ)は、1979年7月1日に公開された同名アニメ映画の主題歌として制作された。デジタルサウンドとロックの融合、流暢(りゅうちょう)な英語で歌われるサビは、アニメソングという枠を超え、当時の音楽シーンにも大きなインパクトを与えた。

壮大なスケール感を持ちながら、どこか少年の冒険心と未来への憧れを感じさせ、聴く者すべてを宇宙へと連れて行ってくれるこの楽曲。アニメの枠を越えて広く受け入れられた結果、累積売上60万枚超のヒットを記録した。

“アニソン”という言葉ではくくれなかった衝撃

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1976年のゴダイゴ (C)SANKEI

当時の“アニメソング”は、あくまで子ども向けのカテゴリーに位置付けられていた。しかしこの『銀河鉄道999』は、まったく別の次元にあった。

テレビアニメとして放映開始された際には、ささきいさおが歌う同名タイトル曲がオープニングに華を添えていた。五木ひろしの楽曲『よこはま・たそがれ』など数々のヒット曲を手掛けた平尾昌晃と、ヴィレッジ・シンガーズの楽曲『亜麻色の髪の乙女』(後に島谷ひとみがカバー)などで知られる作詞家・橋本淳による当初のオープニングも、ファンの間でも評判が高く、壮大で力強く、美しい楽曲だった。

しかし、新作アニメ映画として公開された劇場版では、新たにゴダイゴによるこの楽曲が作品をさらに魅力的に彩った。

英語と日本語をミックスした歌詞構成、バンドサウンドを中心にしながらもミッキー吉野によるシンセサウンドとともにプログレッシブな展開を見せるアレンジ。そして作曲も手掛けたタケカワユキヒデの透明感あるボーカルで、曲そのものがまるで“宇宙船”のように感じられた。

アニメファンだけでなく、ロックファンや音楽評論家からも評価される稀有な存在だった。現在のアニメソングへともつながっていく、まさに999のようにジャンルの“枠”を飛び越えた楽曲といってもいいだろう。

“未来”を歌いながら、時代の空気を映していた

1969年にアポロ11号が月へ行き、コロンビア(1981年初飛行)の打ち上げ準備が進む中、まさに宇宙は身近な存在へと変わっていった時代。1977年にアメリカで公開された映画『スター・ウォーズ』(日本では1978年に公開)が世界的なヒットとなり、日本でもSFというジャンルが次第に市民権を得ていくタイミングだった。

そうした中で、松本零士が描いた漫画『銀河鉄道999』は、未来を夢見る子どもたちの冒険譚であると同時に、大人には再出発や希望の物語として、それぞれの視点で心に響く作品だった。

「少年が旅立つ」という漫画の物語の構造と、ゴダイゴが響かせた音楽の開放感が、当時の時代感覚と不思議なほどリンクしていたのだ。

ゴダイゴが拓いた“グローバルなJ-POP”の原型

ゴダイゴは、大ヒットした1978年のドラマ『西遊記』(日本テレビ)の主題歌として『モンキー・マジック』は起用されるなどタイアップも多く、テレビを通じて子どもから大人まで幅広い層に支持されていた。

さらにその活躍は、日本国内に留まらない。もともと多国籍なメンバーで構成されており、日本語・英語を自在に行き来できる彼ら。たびたびワールド・ツアーも実施し、ワールドワイドな音楽性をグローバルに体現していくこととなる。

そんな彼らが『銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)』で示したのは、“日本発のエンタメ”が、ポップミュージックとしても世界に通用するという実例だったと言えよう。

46年経っても、まだ“出発”の音が聴こえる

ゴダイゴによる『銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)』は、いまや日本アニメ史を語る上で外せない名曲となった。だが、その魅力はノスタルジーだけではない。

イントロを聴くだけで、あの日の空、あの映画館、あの旅立ちの高揚感がよみがえる。誰もが「未来」を信じることができた時代の象徴でもある。

そして今もなお、その音は、誰かの“旅のはじまり”を後押しし続けている。

※この記事は執筆時点の情報です。