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28年前、日本中を1つにした“超絶シンプルなカバー曲” 50万枚を売り上げ社会に浸透した“音楽的遺産”

  • 2025.7.5

「28年前、 この楽曲を通して日本中が一つになったーー」

1997年、J-POPシーンが大きな進化を遂げ、数々のアイドルグループが活躍を広げ、音楽業界に新たな風を吹き込んでいる時期だった。

その潮流の中でV6は、1997年7月9日に『WAになっておどろう』(作詞:長万部太郎・作曲:長万部太郎)をリリース。明るいポップなサウンドとエネルギッシュな歌詞で瞬く間に日本中のリスナーの心をつかみ、当時の音楽シーンを盛り上げた。

2025年、V6のデビューからなんと30年が経とうとしている。グループ自体は2021年に既に解散しているものの、V6をアイドルグループとしての地位をさらに強固なものにしたこの楽曲について、このタイミングで改めて振り返っていきたい。

V6の誕生とトップアイドルグループへの爆進

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

1995年9月にデビュー記者会見を行ったV6は、バレーボールワールドカップのイメージキャラクターとして結成されたアイドルグループ。坂本昌行長野博井ノ原快彦森田剛三宅健岡田准一の6名で構成されたグループである。

1995年11月1日、シングル『MUSIC FOR THE PEOPLE』で鮮烈なCDデビューを飾ると、当初からその高い歌唱力とダンスパフォーマンスで注目を集め、瞬く間にトップアイドルグループの仲間入りを果たす。

その後も『MADE IN JAPAN』『愛なんだ』などヒット曲を連発し、着実に人気を不動のものとしていく。彼らは単なるアイドルとしてだけでなく、メンバー個々がドラマやバラエティ番組で活躍の場を広げ、幅広い層からの支持を獲得していった。

『WAになっておどろう』の起源と全国的なヒット

そんな人気急上昇中だったV6が1997年7月9日にリリースしたのが、彼らにとって7枚目のシングルとなる『WAになっておどろう』。V6の代表曲と聞かれて一番にこの楽曲を思い浮かべる方もいるのではと推測するが、実はオリジナルはV6ではないことをご存じだろうか。

『WAになっておどろう』の起源は、AGHARTA(アガルタ)というバンドが『ILE AIYE~WAになっておどろう』という曲名でリリースした楽曲だ。1997年4〜5月にNHKの音楽番組『みんなのうた』で『WAになっておどろう ~イレ アイエ~』として放送され、視聴者から問い合わせが殺到するほど話題になった後、5月にAGHARTAがシングルをリリース、その2ヶ月後にV6がカバー曲としてリリースした、という流れである。目を見張るほどのそのスピード感から、この楽曲が持っていたポテンシャルと影響度がうかがえるだろう。

カバー曲ではあったものの『WAになっておどろう』は、確かにV6のグループとしてのアイドル活動を象徴する代表曲だ。この楽曲の持つ明るくポジティブなエネルギーはリリース当初から広く支持され、全国的なヒットに。曲のリリースから数週間でチャート上位にランクインして累計売上50万枚超えを記録し、その後も長期間にわたって愛される楽曲となった。

なぜ『WAになっておどろう』は愛され続けるのか

そんな『WAになっておどろう』の最大の魅力、そして愛され続ける理由は、“超絶シンプルである”ということだろう。

キャッチーで覚えやすく、楽しく、ノリやすいメロディ。どんな時であってもとりあえず輪になって踊ろう、そうすれば万事解決だ、という、たった一つの歌詞のメッセージ性。印象的なサビ冒頭「オ〜オ〜」の部分の、誰にでもマネしやすい、片腕を上げて左右に振るダンスの振り付けーーそのどれもが不純物を含んでおらず、それゆえに大きいポジティブなエネルギーを生み出しているのだ。

そのシンプルさと、先述した『みんなのうた』での放送も相まって、多くの学校の音楽教材へ掲載され、学習曲として導入もされた。全国の学校や幼稚園、地域イベントなどで広く歌われ、踊られるようになり、子どもたちの間でも瞬く間に人気を博した。音楽の楽しさや一体感を子どもたちにも分かりやすく伝える役割を果たし、楽曲のメッセージである「輪になる」ことの重要性を、世代を越えて浸透させる大きな力となったのである。

J-POPの中でも特にポップでダンス要素を多く取り入れたことにより、後の音楽シーンに影響を与えただけでなく、一般に急速に浸透して根付き、いつの間にか日本社会を支えるようになっていた楽曲と言っても過言ではないだろう。

これからも時代と世代を越えて響き続ける“音楽的遺産”

聴く者に自然と笑顔をもたらし、心を温かくする『WAになっておどろう』。ただ単に楽しい時間を過ごすことの大切さを伝えるものにとどまらず、社会のつながりや、個々の努力が一つに集まったときに生まれる大きな力をも暗示しているような楽曲だ。

リリースから28年経った今でもその魅力を失うことなく、年齢を問わず聴く人々に共感を呼び起こす。どんな時代でも多くの人々にとって力強いメッセージとなることに変わりはない。

V6の楽曲の中でも欠かせない一曲、また音楽史に刻まれた“音楽的遺産”とも呼ぶべきこの楽曲は、今後も多くの人々にとって、楽しい時間を過ごすための励ましの歌として、そして人々を一つにする歌としてーー全員の傍で響き続けることだろう。


※この記事は執筆時点の情報です。