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37年前、日本中を奮わせた“魂の応援歌” 80年代を風靡→25年越し再集結した狂熱バンド“渾身の名曲”

  • 2025.7.3

「37年前の今頃、この曲を聴いて若者たちは一斉に走り出したーー」

1988年、音楽シーンは新しい波に乗り、J-POPとロックの境界を越えたアーティストたちが注目を集めていた時代。この中で、爆風スランプは『Runner』(作詞:サンプラザ中野・作曲:Newファンキー末吉)で一世を風靡し、音楽シーンに新たな風を吹き込んだ。

この曲は、パワフルなサウンドと前向きなメッセージが特徴的で、今もなお多くのリスナーに愛され続ける名曲となった。昨年40周年を迎え、25年ぶりに再集結した彼らに敬意を表しつつ、この楽曲の魅力やヒットが与えた影響について改めて振り返っていきたい。

爆風スランプの登場と止まらない快進撃

爆風スランプは1982年に結成され、1984年にアルバム『よい』とシングル『週刊東京「少女A」』でメジャーデビューを果たしたバンドである。

デビュー当時から、ロック・ファンク・ポップス・パンクなどのさまざまな音楽ジャンルの要素を融合させた独自の音楽スタイル、ユーモアと社会性を含んだ歌詞が融合したスタイル、そしてサンプラザ中野の強烈なキャラクターは、当時の音楽ファンに強いインパクトを与えた。一部の音楽ファンからは、聖飢魔II・米米CLUBとともに“ソニー3大色物バンド”と並び称されており、異彩を放っていた。

強烈でキャッチーな楽曲たち、そして歌番組などにテレビ出演した際の過激なパフォーマンスでの“暴れっぷり”で話題をさらっていき、なんとデビューからわずか1年余りである1985年12月には早くも日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、その勢いはとどまることを知らなかった。

全世代的な“魂の応援歌”『Runner』リリースと売上30万枚の大ヒット

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(C)SANKEI

言葉の通り縦横無尽に暴れ回り、1980年代を全力で走り抜けてきた彼らが、1988年10月21日にリリースした12枚目のシングルが『Runner』だ。

エネルギッシュでダイナミックなサウンドが特徴のこの曲。イントロから始まるきらびやかなシンセサイザー、サビのメロディとリンクする印象的なギターリフ、心地よく音を運ぶ安定したベースサウンド、疾走感のある力強いドラムのビートーーそしてそこにサンプラザ中野の“心からの叫び”とも言える超パワフルな歌声が重なり合い、まさに今すぐ走り出したくなるような強い衝動を聴く者に与える。

歌詞は、青春時代の葛藤や別れの切なさ、それでも走り続けるしかない現実、そしてその先にある希望をテーマにしている。“俺達”の前進をストレートに歌った内容が共感を呼び、聴く者に勇気と元気を与えた。人生の困難に立ち向かうためのメッセージとして、特に当時の若者たちの背中を押し、励ましてくれたのだ。

それらのインパクトのあるメロディと歌詞をもって、どんなに厳しい状況でも“前進し続ける力”を鼓舞し、聴く者にポジティブなエネルギーを与えるこの楽曲。この全世代的な“魂の応援歌”は結果として、売上30万枚を超える大ヒットを記録した。

『Runner』が与えた音楽的影響と社会的影響

『Runner』の大ヒットは、爆風スランプのキャリアにおいて大きな転換点となった。この曲によって彼らの名は全国津々浦々に知れ渡り、老若男女問わず誰もが知る国民的バンドへと押し上げられたのだ。テレビの音楽番組では連日のように彼らの姿が流れ、年末の『第39回NHK紅白歌合戦』にも出場。まさに社会現象と呼べるほどのブームを巻き起こした。この成功は、バンドの活動の幅を大きく広げ、より多くのオーディエンスに彼らの音楽を届ける機会を生み出したと言える。

『Runner』が音楽シーンに与えた影響は、爆風スランプ自身にとどまらない。この曲が持つ、単に明るく励ますだけでなく、葛藤や弱さを内包しながらも前進しようとするリアリティのある歌詞は、多くのシンガーソングライターやバンドにインスピレーションを与えたと言えるだろう。また、爆風スランプのジャンルにとらわれないミクスチャーサウンド、特にロックを基盤としながらもポップスやファンクの要素を取り入れるスタイルは、1990年代以降のJ-POPシーンにおける多様なバンドサウンドの萌芽にも繋がった。彼らが提示した「エンターテイメント性と音楽性の両立」は、後続のアーティストたちが表現の可能性を広げる上で、一つのロールモデルとなった側面も大きい。

その影響は、音楽業界だけではなくその後の社会全体にまで波及していった。現在に至るまで、さまざまなイベントや人生の節目などの応援歌として『Runner』が使用される機会は数多く、そのメッセージは世代を超えて受け継がれている。これは、この曲が持つ“圧倒的な前向きさ”が、多くの人々の心に深く刻み込まれ、文化として根付いている証拠だ。爆風スランプは『Runner』を通じて、日本の音楽史に確固たる足跡を残し、日常生活シーンにまで多大な影響を与え続けたのである。

これからも走り続ける“狂熱バンド”爆風スランプ

1999年に活動を休止した爆風スランプだったが、2024年に40周年という節目を迎えて25年越しに再集結を果たし、新曲のリリースや40周年ライブ、初となる夏フェスへの参加が予定されている。まさに“Runner”を体現するかのごとく、さまざまな局面を経験しつつも音楽をひたむきに愛し、前進し続ける彼らの姿勢には頭が上がらない。

不朽の名曲『Runner』がそうであったように、彼らはこれからも多くの人々に影響とインスピレーションを与え、次世代に渡って数々のメッセージを伝えていってくれるに違いない。


※この記事は執筆時点の情報です。