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災害に備えて、今一度見直したいこと ~元自衛官ママからのアドバイス~

  • 2016.4.29
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© Yusei - Fotolia.com

2016年4月、熊本県・大分県を中心に大きな地震が起こりました。

私は大分県在住です。住んでいる地域は大きな被害がなかったものの、度重なる揺れに備えながら、今も不安な気持ちでいっぱいです。

そこで、今回の地震を経験して、皆さんにお伝えしたいことを、元自衛官として、そして1人の母親としてご紹介したいと思います。

■災害に備えてできること~室内編

皆さんの自宅の部屋には、どんな家具や物が置かれていますか?

自宅にいるときに地震が起こった場合、一番怖いのが大きな家具や冷蔵庫が倒れてきたり、収納している食器や本などが散乱したりすることです。

転倒のおそれがない物を揃えておくことがベストですが、そうはいっても簡単には買い替えることもできません。そんなときは転倒防止グッズを活用しつつ、お部屋一つひとつに安全スペースを確保しておきましょう。

わが家では各部屋の、出入り口から近い隅の一角に、大きな揺れがきて、家具などが倒れてきても危険が及ばないような安全地帯を確保しています。子どもたちには「地震が来たら、まずはこの場所に居るように!」と伝えています。

また、今回の地震では、建物の倒壊による被害が少なかった地域でも断水したり、水道水が濁ってしまったりしたことがありました。そのため、飲料水を確保しておくことと、浴槽に水を溜めておくことをおすすめします。

溜めておく水はできれば、きれいな水道水がよいですが、入浴後の残り湯でも、トイレを流すのに使ったり、ちょっとした物を洗ったりと、使い方はたくさんあります。

■災害に備えてできること~持ち物編

ここ数年、日本ではさまざまな地域で地震の被害が起きているので、非常用持ち出しバッグを準備している方も多いでしょう。

そのバッグにはどんな物が入っていますか? この機会に一度見直してみてください。

ここでは、基本な持ち物の中から、特にお伝えしたいことをご紹介します。

・常備食として缶詰の備蓄を

私が自衛官だったころ、訓練ではいつも缶詰が配られていました。実は、非常事態には缶詰が一番重宝します。

たとえば、非常食というイメージの強い「乾パン」は、食べるために、水分も必要となります。乾いた硬いビスケットを水なしで食べるのは至難の業です。しかし、被災時、水はとても貴重になります。そのため、備蓄しておくならば、乾パンよりもパンの缶詰めをおすすめします。

缶切り不要の缶詰を常備しておくと、非常食として十分に役立ちます。いつでも、どこでも食べることができるので、少し重いですがいくつか揃えておきましょう。

そのほかに用意しておくならば、健康面を考慮して、たんぱく質が摂れる魚肉ソーセージなどもよいでしょう。

・ウエットシートやボディシート

お風呂に入れないときに、体を拭くことができて、衛生面で活用できます。

小さいお子さんがいる家庭では、オムツと一緒におしりふきを多めにストックしておくことをおすすめします。

・新聞紙

どんな時にも活躍するのが新聞紙です。災害時、洋服の下に1枚入れておくだけで温かくなります。

さらに、折り方を工夫すれば、袋やスリッパを作ることもできます。

・簡易トイレ

避難している方の中には、トイレが混むのでなるべくトイレに行かないで済むようにと、水分摂取を控えてしまい、脱水症状になる方が多くいるそうです。

最近では100円ショップなどにも、薄くて持ち運びに便利な簡易トイレが売られています。手に入りやすいので、もしものときに揃えて用意しておきましょう。

そのほか、非常時の持ち出し品や、懐中電灯などの置き場所にもひと工夫が必要です。

自衛官の対策を例に挙げると、自衛隊では有事に備えて、ロッカー内の洋服のかけ方や並べる順番が決まっています。これは、停電や混乱している場合にでも、必要な物がすぐに準備できるようにという工夫です。

災害時に必要な物を揃えていても、すぐに使えなければ意味がありません。上述の対策を参考に、家の中が混乱していても停電していても、すぐに持ち運べる場所に、順序を決めて準備しておきましょう。

■今回の地震から気づいたこと

同じ大分県内でもいまだ避難している人がいますが、幸い私が住んでいる地域は日常生活を送れる程度の被害で済んでいます。

そのため、現在も「大きな揺れに注意してください」と言われている中、子どもは通学・通園し、私も通勤しています。しかし、この状況で子どもと離れるのは不安なものです。

皆さんも学校や園、職場、さらに習い事などに行っているとき、何かあった場合は、どこに避難すればよいか、子どもと一緒に確認しておきましょう。

わが家では、「まずは自分の命を守ってね。離れていても生きていれば絶対会えるから」と、子どもたちに伝えています。

これまでも、日本のどこかで大きな地震が起こる度に、自分自身が災害にあったらどうするか考える機会がたくさんありました。私自身、その都度考えてきたつもりではいましたが、いざ危険と隣り合わせになると、備えが十分でなかったと気づかされます。

普段から災害に備えて準備しておくほかに、子どもや家族で災害について意識しておくことが、とても大切です。

■まとめ

今回の地震で、皆さん、それぞれいろんなことを感じたことでしょう。

私は、いまだ時々起こる余震を感じながらも、当たり前の生活を送れることのありがたさをとても強く感じています。

毎日、食事ができてお風呂に入れること。ゆっくりと布団で眠れること。家で家族と過ごせること。大切な人と会えること。今を生きているということ。

そうした当たり前の生活が当たり前にできていることのありがたさを感じながら、災害への備えをいま一度見直してみてください。

( 谷本まゆみ)

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