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空き時間で文学に触れるなら31音で完結する現代短歌がイイ!

  • 2016.4.29
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毎日、仕事と育児に追われてしまうと、息抜きする時間もなかなかとれないもの。小説をゆっくり読みたいんけどそんな時間もない…。そんなときは、短時間で楽しめる現代短歌で気分を変えてみませんか?

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■例えが面白い短歌

「鋏状(はさみじょう)のものに睫毛をつかみ上げいくらも違わぬ面(めん)となりたり」

『時のめぐりに』/著:小池光 出版社:本阿弥書店

メイクをしない男性にとってビューラーはふしぎな道具。しかも「鋏状」と表現したところに、睫毛をカールすることに、小さな怖れがふくまれているのがわかります。

実はこの作品、向かいの席で化粧をしている人がいるという、簡単な状況説明が添えられています。化粧する女性を未知の生物のようにとらえた視点がコミカルですね。

「四十九個の疣(いぼ)の一つをわれ押してはなれたところのテレビを消しつ」

『思川の岸辺』/著:小池光 出版:角川書店

今度はリモコンのボタンを“疣”に見立てました。テレビを消すという日常の行為が謎めいた行動にみえます。疣にふれて家電を操作するのは、なんとも皮肉です。

■共感をよぶ短歌

次は、青春期の美しさと残酷さを目のあたりにした1首です。

「東京に出でて女優になることもひと生(よ)の恋に似たるかなしみ」

『行春館雑唱』/著:大野誠夫 出版:白玉書房

スポットライトを浴びる女優。若いころは熱にうなされるように華やかさに憧れます。けれど、まぶしい舞台に立てる人はほんのひとにぎり。自分はスターになれない側の人間だと気がついたときの淋しさは恋と似ているのでしょうか。

納得したり、共感したり、31音で完結するドラマはちょっとシニカルだけど、詠みやすく、初心者向けの本がたくさん。気軽に文学の世界に触れたい人にもおすすめです。

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