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うつ病になるケースも!? 「睡眠不足」が子どもの成長に与える悪影響

  • 2016.4.28
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【ママからのご相談】

中学1年生と小学4年生の娘がいます。長女は塾や宿題があって、そのあとスマホで少し遊んでから、いつも1時過ぎに寝ています。

睡眠は個人差があると聞いたのですが、今のところ元気ですし遅刻もしていません。子どもの成長に影響があるものなのでしょうか。

●A. 就寝時間が遅い子どもほどイライラしやすいという調査結果が!

ご相談ありがとうございます。こんにちは、ライターの川中利恵です。

最近、子どもの睡眠不足や睡眠障害が増加しているというニュースをよく見ます。

実際に睡眠に関する調査は多数行われていて、社会現象と呼べるほど、子どもの睡眠不足にスポットが当てられつつあり、その重要性が注目されているところです。

わが家も子どもたちが高校生になり、夜更かしが増えてきたので気になっているところでした。もし、今は大丈夫だとしても、睡眠不足状態が続いた子どもたちはどうなってしまうのでしょうか。

●子どもに必要だと言われる睡眠時間は?

文部科学省『不登校に関する実態調査』(平成26年度)によると、子どもに必要と考えられている睡眠時間の目安は以下のとおりです。

・0~3か月……14~17時間

・4~11か月……12~15時間

・1~2歳……11~14時間

・3~5歳……10~13時間

・6~13歳……9~11時間

・14~17歳……8~10時間

小学生は10時間前後の、中高生でも8時間以上の睡眠 が必要だとされているわけです。

しかも睡眠で重要なのは時間だけではありません。規則正しいリズムで睡眠と起床を繰り返さなければ、睡眠の質が悪くなり、寝ても疲れがとれないという状態が引き起こされてしまいます。

同じく文部科学省で平成26年11月に実施された『睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等との関係性に関する調査』によると、多くの子どもたちは6時半〜7時より前には起きているようです。

そこから逆算すると、本来は「小学生ならば21時ごろ、中高生でも22時には就寝した方がいい」 ということになります。

実態はといえば、同データによると、22時までに就寝している小学生は49.2%、そして0時以降に就寝するという子どもは、中学生になると22%となり、高校生になると47%にまで増えています。

その原因として、塾、スマホなどの普及、親世代の夜更かしなどが挙げられています。

●睡眠不足が続くとどうなるの?

睡眠中は、体内時計に従って深い睡眠と浅い睡眠を繰り返すものですが、深い睡眠をできるだけ長くとることで、成長ホルモンが分泌され、コルチゾールと呼ばれる副腎皮質ホルモンの一種の分泌が抑制されます。

成長ホルモン は、体そのものの成長や肌細胞の修復、疲労回復、脂肪の燃焼を促進する作用があります。寝る子は育つとよく言いますが、この成長ホルモンの作用です。

そして、最近の研究では、睡眠不足は生活習慣病にかかってしまうリスクが上げてしまうだけでなく、症状を悪化させる一因であることがわかっています。

そして、コルチゾール はストレスを感じたときに分泌されるホルモンで、大量に分泌され続けると脳内の記憶をつかさどる海馬を傷つける作用があります。しかし、深い睡眠中は、コルチゾールの分泌を抑えることができる のです。

勉強をしたことをしっかり身につけるためには、睡眠が必要だと言われるのはこのためです。

逆に深い睡眠ができていない場合は脳の機能が落ち、うつ病などにかかりやすくなると言われています。

つまり、深い睡眠を逃し続けると、成長を妨げ体調不良を起こす上に太りやすくなり、かつストレスにずっとさらされている状態が続いてしまうというわけです。

●不登校のきっかけ、2位が「生活習慣の乱れ」

小中学生で不登校に陥っている生徒は、全国でおよそ12万人以上もいると言われています。当初はいじめなどが原因とされていましたが、文部科学省『不登校に関する実態調査』(平成26年度)によると、2位が「生活リズムの乱れ」となっています。

「朝起きられない」「夜に眠れない」などが原因で睡眠不足・睡眠リズムの乱れに陥り、学校に行けなくなる日が増えていった結果、学校へ行きづらくなり、不登校に陥ってしまう子どもが多くなっているのです。

寝る時間は遅くなっても、朝起きなければならない時間は変わりません。

それに伴い、脳の疲労回復を担う睡眠時間が短くなり、脳が疲れ切ってしまいます。

それにより、自律神経の乱れが起こり、体内時計が狂ってしまうのです。場合によってはうつ病になるケース もあるようです。

不登校になっているわけではないから大丈夫、と思っていても、睡眠不足はじわじわと子どもたちをむしばんでいきます。

実際に前述の『睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等との関係性に関する調査』でも、就寝時間が遅い子どもほど、「自分のことが好きだ」という質問に対して「そう思わない」と答えた割合が高く、「何でもないのにイライラする」という質問に対しても「よくある」「ときどきある」と答えた割合が高くなる傾向があったことがわかっているのです。

●大人も一緒に早寝&朝活しませんか?

早寝早起きをして、朝食をしっかり毎日食べている子どもは、成績が良く、運動能力が高いというデータがすでに存在します。

子どもの将来を思うのであれば、勉強をさせることも大切ですが、それ以上にしっかり睡眠をとることの方が重要なのでしょう。

日本の子どもたちは世界的にも就寝時間が遅く、睡眠時間が短い傾向があることがわかっています。そのせいか、「子どものためにも添い寝はNG」という説もあるぐらいです。

そうはいっても住環境的に、独立した子ども部屋を作れないというご家庭も多いのではないでしょうか。

その場合、乳幼児のころは添い寝が一番家族にとって寝やすいのですが、大人の生活時間に子どもが合わせてしまいやすい というウィークポイントがあります。

これは小学生や中学生になっても同じで、親がテレビを見たり、スマホをいじったりしたまま「早く寝なさい」と言っても説得力がまるでなく、思春期との合わせ技によって、睡眠時間がどんどん遅くなるばかりでしょう。

わが家でも心当たりがあります……。

私もかつて、子どもたちが低学年のころまでは、20時に部屋中の電気を消して一緒に寝てしまっていました。それからこっそり1時か2時ごろ起きだして仕事をする生活をしていたのです。

しかし、今はすっかり夜更かし型になってしまっていて、それに伴い、子どもたちも夜更かしする日が増えていることに思い当たりました。

今思えば、早寝早起きをしていたときの方が、かなり仕事がはかどっていたように思います。

せっかくですから、相談者さんのご家庭でも、子どもたちの就寝時間にはパパやママもテレビやスマホを消して一緒に寝てしまい、早起きする生活 をしてみてはいかがでしょうか。

そして万が一お子さんに、どうしても眠れない、体調が悪いなどの症状がある場合は、速やかに睡眠外来の門をたたくことを強くおススメします。

【参考リンク】

・睡眠を中心とした生活習慣と子どもの自立等との関係性に関する調査の結果(http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/1357460.htm)

●ライター/川中利恵(在宅ワーカー)

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