キム・カーダシアン、総額約700万ドル相当のダイヤモンドを纏い出廷

メットガラ2025からわずか数日後、キム・カーダシアンの姿はパリの歴史的なパレ・ド・ジュスティスにあった。この日行われたのは、2016年にパリ・ファッションウィーク期間中にカーダシアンが滞在していたホテルの部屋を襲撃し、彼女を拘束、銃を突きつけ脅し、推定900万ドル（約13億円）相当の宝石を奪って逃走したとして起訴された10人の裁判。その一連の出来事を証言するためにカーダシアンは出廷した。そして偶然か否か、自身が弁護士役として出演している、近日配信予定のライアン・マーフィー製作のドラマシリーズ「All's Fair（原題）」の予告編も同じ日に公開された。大々的に注目を浴びることを確信していた彼女は、この裁判をある意味逆手に取り、自身の活動のプロモーションにも関心が集まるよう、巧みに活用したとされている。

カーダシアンの証言を生で聞こうと、法廷の収容人数のほぼ10倍にあたる400人のジャーナリストが傍聴を希望した。しかし、傍聴席が獲得できたとしても、カメラの持ち込みはもちろん禁止。そのため、裁判所前で撮影される写真が、いつも以上に重要な役割を果たすことになる。そこで、メディアの影響力を理解しているカーダシアンは、ファッションを通してこの日の自分の印象を操作した。纏っていたのはジョン・ガリアーノ（JOHN GALLIANO）の1995年春夏コレクションに登場したパワーショルダーのスカートスーツ、アライア（ALAÏA）のサングラス、そしてダイヤモンドがふんだんにあしらわれたアンクレット、サーメル ハリーメ（SAMER HALIMEH）のネックレス、レポシ（REPOSSI）のリング、ブライオニー レイモンド（BRIONY RAYMOND）のイヤリング。ネックレスだけでも約300万ドル（約4.4億円）する高価なジュエリーをいくつも着用し、容疑者たちと法廷で対峙することで、おそらく、毅然とした態度を貫き、屈しない自分を演出したかったのではないだろうか。

このような注目度の高い場で、カーダシアンが著名メゾンによるアイテムを身につけたことは驚くにあたらない。しかし興味深いのは、事件が彼女とファッションというものとの関係に及ぼした大きな影響だ。カーダシアン＝ジェンナー家を中心に追うライターのMJコーリー曰く、「パリで起きた強盗事件は、キム・カーダシアンを“パリコレに参加するに値する人”に押し上げました。それまでの彼女は、パリコレという選ばれし人たちが集う場には不釣り合いなゲストとされていましたが、パリ・ファッションウィーク期間中にこのような大きな事件に見舞われたことで、世間は彼女をこの街とファッションの最高峰の舞台と結びつけて考えるようになったのです」

最終判決は、5月23日（現地時間）に言い渡される予定。そして判決がどうあれ、その詳細は「カーダシアン家のセレブな日常」の新シーズンで描かれることだろう。

Text: Daniel Rodgers Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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