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チョコが無性に食べたくなるのは【脳の依存】!?栄養不足との見分け方は?

  • 2025.5.3
教えてくれたのは……?

あやこいとうクリニック 院長・医師

伊藤史子先生

形成外科を専門としながら、栄養療法や更年期障害に対するホルモン補充療法、エイジングケアにも精通。多くのトップアスリートからも頼りにされている存在。

なにかを無性に食べたくなるのは栄養不足のサインだけではなかった!

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

汗をかくと体内の塩分やミネラルが失われるため、しょっぱいものが食べたくなることがあります。同様に、運動後には疲労回復効果のある酸っぱいものがほしくなり、妊娠中には胎児の成長に必要な鉄分を豊富に含む食材がほしくなることも。そのように、食べたいと感じるものは体に不足している栄養素がマッチングしていると感じる一方で、必ずしもそうではないことも。最近、ネット記事などで「チョコレートを欲するのは、マグネシウム不足のサイン」という情報があるようですが、チョコレートは、カカオや糖質などのほかにも多くの栄養素を含んでいるため、マグネシウムに限定するのは難しいかもしれません。

また、甘いものを食べたあとに集中力が回復したり、やる気が出たりしたならば、低血糖状態だった可能性も否めません。糖質は、唯一の脳のエネルギー源であるため、ごはんを抜いたり、ダイエットで過剰に糖質を抑えたりすると低血糖になり、記憶力や集中力、判断力、注意力の低下など、脳に関わるパフォーマンスが低下しやすくなるからです。


繰り返し、欲しくなる! 心に“報酬”を得るための「脳の依存」

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

甘いもの(糖質)やアルコールや辛いもの、しょっぱいもの、酸っぱいもの、炭酸など、やたらそればかり欲しくなるというものはありませんか? お腹も減ってないのに、さっき食べたばかりなのにもう欲しい……そんな状態は、「依存」の可能性大。興味のある対象物に執着し、それが体に入ってくると、安心して落ち着く。そのご褒美のような経験を何度も繰り返していると、それが快楽として脳に記憶されるのですが、長く続かないため「あの快楽をもう一度!」とまた欲してしまうこれが“脳の依存”なのです。

無性になにかを食べたくなったとき、栄養不足なら欲求に従って食べるとメリットになりますが、“脳の依存”だった場合、心身の健康を害する負のスパイラルにハマることもあるので、欲求の本質を見極めることが大切です。


栄養不足か、依存している“脳のクセ”か……見極めるカギは「ホッとする気持ち」

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

栄養の補給を目的として食べる場合、満たされれば満足します。ですから、お腹がいっぱいなのに止められないとか、寒いのに冷たいものを食べてしまう、胃腸の状態が悪くても辛いものが欲しいというのは、「脳の依存」。それをわかりやすく判断できるのが食べたときの気持ちです。もし、食べたときにホッとするとか、安心感があるなら要注意サインです。


食べることで脳の依存を引き起こす負のサイクル

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

甘いものや炭水化物などの糖質は、脳のエネルギー源になるだけでなく、脳内麻薬と言われるドーパミンやβ-エンドルフィンの分泌も促進します。糖質をとるとホッと落ちつくような幸せな気分になるのは、そのためです。麻薬にも似た快楽を求めて、「あの快楽をもう一度!」と、空腹でなくても食べ物を欲するようになるのです。


脳が依存しやすい脳のご褒美食べ物

◾️糖質

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

甘いもの(糖質)が食べると快感や幸福感につながるドーパミンというホルモンが多く分泌されます。食べると幸せな気持ちになるものの、血糖値の低下と共にその“効力”はすぐになくなるため、また甘いものを欲するようになります。そのループを繰り返していると、次第に甘いものがないとイライラするという状態に陥ることも。


◾️人工甘味料なら依存しない?

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

血糖値が上がらない人工甘味料ならいいの? という疑問を持つ方も多いかと思いますが、実は「×」。糖質を摂るとインスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌されます。ですが、人工甘味料で甘さを感じても脳が勘違いをしてインスリンを分泌してしまう場合があるため、必要以上に血糖値が下がります。そうなるとまた血糖値を上げるために甘いものが欲しくなるだけでなく、低血糖状態により吐き気など体調不良を招くこともあるので注意が必要です。


◾️カフェイン

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

カフェインは、脳が興奮状態になり、脳本来の力が十分に発揮されるため、頭がクリアになったり、難しい問題が解きやすくなったり、ということがあります。そういった成功体験がカフェインの「報酬」として記憶されるため、また欲しくなるのです。カフェインは大量に摂ったからといって、意味があるというものではありません。“ここぞ”のタイミングで用いて、うまく活用しましょう。


◾️ジャンクフード

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

ファストフードやスナック菓子、インスタントラーメンのような糖質も塩分も多く、高脂質の食べ物は、脳にとってご褒美だらけ。脳が病みつきになる&食べたところで満足感を得にくいため、「食べても食べても、もっと欲しい」という負のスパイラルになりがちです。


脳の依存を防ぐために摂るべきは、ビタミンB3、ビタミンB6

あやこいとうクリニック 院長・医師 伊藤史子先生

こういった「依存」を断つために、治療で取り入れる栄養素がビタミンB3やB6という栄養素です。これらの栄養素には脳を整理して頭をクリアにする働きがあるので、依存を断ち切ることに役立ちます。たとえば、ケーキを食べたいと思ったときにワンホール食べないと気が澄まなかったような人がビタミンB3やB6を積極的に取り入れるようになると「あれ? 私、なんであんなに食べていたのだろう」となります。

そのため、美肌やエイジングケアを目的としてサプリメント療法でビタミンB群を取り入れた方が異様に執着していた食欲から解放される、学習能力が上がる、モヤモヤとしていた脳がクリアになる……と改善するケースはめずらしいことではありません。

基本的になにかを食べたいから栄養不足とは一概と言えない、というのは、ここまでの話で理解していただけたと思いますが、「氷が無性に食べたい」という人は貧血の可能性がありますので、一度医療機関の受診をおすすめします。


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イラスト/二階堂ちはる 取材・文/金子優子 構成/剱持百香

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