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16平米の小さな部屋の劇的ビフォーアフター! フランス人に学ぶ空間の生かし方。

  • 2025.5.2

古い物件や狭い空間も上手に生かして、おしゃれにインテリアを楽しむパリの人々。小さな部屋にも工夫を凝らして、センスあふれる姿に一新。驚きのビフォーアフターをご覧あれ。

Maison de Ponpée

16㎡の管理人部屋が、ポップなドールハウスの雰囲気に。

大きな窓から入る光がソファを照らす。左上にはロフトが。改装を手がけたのはニコラ・パイエ。

パリらしい共同住宅の1階にある、コンシエルジュの管理人室。たった16平方メートルの空間がロフト付きの住まいに生まれ変わった。改装を手がけたのは、内装建築家のニコラ・パイエ。ポイントは、彼のシグネチャーである色使いに加え、自然光を生かす工夫だった。

「部屋にあったのは極小のキッチンだけ。3.55メートルもある天井高、隣接するゴミ箱置き場と共同トイレを改装に加えることができたのが利点でした」とパイエは語る。

「3つの建物に囲まれた元ゴミ箱置き場は小さいながらもこの空間の唯一の光源。これを出発点に生活空間を考えました。特に、折り畳み式のデスク兼食卓とソファというふたつのメイン家具に自然光が当たるように」

工事前。元ゴミ箱置き場の小さな中庭だけが光源だった。

オーナーカップルは現在、このスペースを仕事部屋として使っている。催眠療法士の彼女にとって、ソファは患者を迎えるための必需品。映像プロダクションを手がける彼に欠かせないのはデスクというわけだ。窓の対面には、光を遮らない低い柵を備えた天井高1.25メートルのロフト。ここを寝室にし、ダブルベッドを置いた。ヘッドボードは収納とサイドテーブルを兼ね、温水タンクや電気配線を隠す。アクセスする階段はマジョレルブルーにペイントされ、全体を引き締めるアクセントカラーになっている。

ダブルベッドのヘッドボードは、収納とサイドテーブルを兼ねたオーダーメイド。

左:ブルーの階段がロフトの寝室へと誘う。 右:アーチ型のデスク兼食卓は、畳むと壁に収まってしまう優れもの。

「光の少ない空間では、白壁よりもパーソナリティを表現するのが得策。オーナーの望むロマンティックなタッチを花柄の壁紙に採用し、ブルーをアクセントにした階段は、玄関から続いているので、真っ先に目に入る強い要素です」

ロフトの下にはトイレとシャワーのある洗面所と、冷蔵庫、オーブンと洗濯機のあるキッチン。

イケアのスタンダードな収納棚をカットし、Plum Living(プラム・リビング)の淡いピンクの扉をプラス。

「複数の機能を持たせたサイドテーブルもあります。キッチン側ではバーカウンターに、サロン側ではソファの背もたれになり、催眠療法の患者さんが来た時に家電を隠す役割も果たします。ソファの延長線上には、元共同トイレだったスペースを利用して大きな収納スペースを作りました」

白く直線的でキューブのようだった空間にカーブやアーチを取り入れ、鮮やかな色を加えて完成したのは、優しさとジョワ・ドゥ・ヴィーヴル(生きる喜び)をたたえた空間。街の喧騒から遠く離れた地中海のタイニーハウスのような隠れ家が誕生した。

*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋

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