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「破水しました…」妊婦のSOSに女性タクシー運転手がとった“神対応”→ 半年後、まさかの展開に涙

  • 2025.6.3
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

現役でタクシー乗務をしている20代の女性ドライバー・Aさん。タクシードライバー歴は3年目を迎え、日々さまざまなお客様を乗せて走っています。

今回は、そんなAさんが、「マタニティタクシーで起きた出産サポート」についてのエピソードを語ってくれました。

陣痛中の妊婦さんを病院へ…慎重かつ迅速な対応

私が勤めているタクシー会社には、マタニティタクシーというサービスがあります。陣痛があり、出産が近いと思われるお客様から連絡を受けた際に、優先的にタクシーが向かうサービスです。

ある夜勤中に、マタニティタクシーの配車指示が入りお客様のご自宅に向かいました。

お迎えに上がると、もう既に陣痛が始まっている妊婦さんが苦しそうに立っています。聞いたところ、旦那さんやご家族は仕事のため外出中とのことでした。

市立病院までお願いします

お客様はかなり苦しそうな声でした。

お客様のご自宅から市立病院までは20分ほどかかるため、なるべく早く向かいたいけれどもお身体に振動を与えるわけにはいかないため、急ぎながらも慎重に病院に向かっていました。

「もうすぐですからね」「頑張りましょう!」と慣れないながらも声掛けを行いました。

すると、病院までもう少しの所に差し掛かったところでお客様がさらに苦しそうにされたため、停車中に後ろを振り返ると、破水されていたのです。

濡らしてしまって申し訳ありません」と言われましたが、「気にしなくていいです、大丈夫ですよ」と伝え、お客様をなるべくリラックスさせるように努めました。

そして市立病院に到着。私は受付の方に事情を伝えに行き、協力をお願いしました。すぐに複数人が担架を持ってきてくださり、後は病院の方にお任せすることに。

着いてからお客様が降車するまで、私はかなり慌てていたためお客様に最後のお声掛けをすることができず、少し後悔していました。

時は流れて半年後、まさかの…

それから半年が経った頃のことです。

そのお客様の家に再度配車指示がかかり、向かいました。インターホンを押し、お迎えに上がると、

あ!あの時の!

と、再会にお客様も気付かれたようで、出産の時の感謝の言葉を互いに交わすことができました

何より嬉しかったのは、お客様の腕の中に赤ちゃんがいたことです。

「半年前は苦しみながらこの道を通ったけど、今となってはいい思い出です。その節は本当にありがとうございました」

と、検査のために市立病院に向かう道すがら、赤ちゃんを抱いたそのお客様が言ってくださいました。

出産のタイミングに立ち会うのは大変なことではありますが、お客様にとっても私にとってもとても良い思い出です。

命の誕生に立ち会う責任と喜び ドライバーの心に残る特別な瞬間

マタニティタクシーは、陣痛が始まった妊婦さんを優先的に病院まで搬送するサービス。多くのタクシー会社が導入しています。ドライバーには、迅速さと慎重さの両方が求められる難しい対応が必要となります。

今回のケースでは、Aさんが「急ぎながらも慎重に」という絶妙なバランスを保ちながら、お客様をリラックスさせる声掛けを続けた姿勢が印象的です。車内での破水という緊急事態にも冷静に対応し、病院スタッフとの連携もスムーズに行ったAさんに、お客様もずっと感謝の気持ちを抱いていたようです。

命の誕生という人生最大の瞬間に立ち会ったドライバーとお客様の絆は、いつもとはまた違う特別なものになったかもしれませんね。


《取材協力》
現役女性タクシードライバー・Aさん
東海地方で2022年から昼勤のタクシードライバーとして勤務。夫もタクシードライバー。タクシードライバーとしてのモットーは「その場にあった接客を」。好きな道路は国道1号線。