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タクシーで「後ろを見るとお客様が泡を吹いていて…」危機を回避した女性ドライバーの“冷静な決断”

  • 2025.6.1
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出典:Photo AC ※画像はイメージです

タクシードライバーとして働いている20代女性のAさん。2022年からタクシードライバーとして勤務し、日々さまざまなお客様を乗せて走っています。

今回は、そんなAさんが、初めて警察に助けを求めることになった、「とある乗客との緊迫したエピソード」を語ってくれました。

泡を吹いて俯く乗客…初めて警察を頼った夜

これは、私が初めて警察を利用した際のエピソードです。

雨が降る夜勤中のことでした。よくタクシーを利用していただく居酒屋に配車指示があったので向かいました

そのお店は比較的客層が若いこともあり、かなりお酒が入っているお客様が多い印象のお店です。

その日もかなり酔った状態のお客様が乗ってきたので、大丈夫かな…?と思いましたが、「○○まで」と地名を言われたので安心して車を走らせました。

市をまたぐ橋を渡ったあたりで、後ろからいびきのような声が聞こえたため、寝ているのかなと思いながらも、特に問題はなかったためそのまま向かいました。

お客様に言われた場所が近づいてきたので、「この辺りですかね?」と聞きました。しかし眠りが深いのか、何度聞いても反応がありません。

これではらちがあかないと思い、車を停めて後ろを見ると、なんとお客様は泡を吹いて俯いた状態だったのです。

ルールとして、お客様に触れることはできないため、後ろに回り、近くから何度もお声掛けをしました。ですが、意識がないような状態で、反応がありません。

さすがにこれは寝ているだけではないと思ったため、すぐ近くにあった交番に駆け込みました。

すると警察官の方が出てきて、お客様の意識の確認を行いました。意識は辛うじてあるようでしたが、急性アルコール中毒の可能性があったため救急車を呼ぶことに。

どこから乗せて、いつからこの状態だったのかなど、警察官の方から事情を聞かれたので事細かく伝えました。しばらくすると救急車が到着し、そのまま担架に乗せられて搬送されていったのです。

数日後、その時のお客様が会社を訪ねてきて、謝罪の言葉と運賃をいただきました。体調はすっかり回復されていたので、安心しました。

しかし、自分や他のドライバーが同じ目に遭うのは大変なので、お酒はほどほどにと伝えると、「これからはあんなことにならないように気をつけます」と仰っていました。

楽しく飲む分には良いですが、他人に迷惑をかけてしまう飲み方をするお客様もいるので、なるべく気をつけてほしいところです。

迅速な判断が救った命

お客様が泡を吹いて意識を失っている状況で、Aさんは冷静に警察へ助けを求めました。

急性アルコール中毒は、命に関わる危険な状態です。今回のケースでは、Aさんの迅速な対応により、お客様は適切な医療処置を受けることができました。無事に体調が回復されたようで何よりです。

深夜帯のタクシー業務では、こうした緊急事態に遭遇する可能性があります。Aさんのように、乗客の安全を最優先に考えた冷静な判断力こそが、プロのドライバーに求められる資質なのかもしれませんね。


《取材協力》
現役女性タクシードライバー・Aさん
東海地方で2022年から昼勤のタクシードライバーとして勤務。夫もタクシードライバー。タクシードライバーとしてのモットーは「その場にあった接客を」。好きな道路は国道1号線。